『半永久的』に資産を維持できる4%ルールの実態
資産運用関係で4%ルールという言葉を聞いたことがあるだろうか。
1998年にアメリカのトリニティ大学の教授3人が行った「トリニティ・スタディ」では、以下の結論が導かれている。
対象期間:1926年~1995年(70年間)
ポートフォリオ構成:株式50%、債券50%
取り崩し率:年4%
結果:30年後に資産が残っている確率は96%
つまり、資産の4%を年間生活費として取り崩す運用を続ければ、30年後も96%以上の確率で資産はほぼ目減りしないというわけである。言い換えれば、年間生活費の25倍の資産があれば、半永久的に資産が減らない可能性が高いという示唆だ。
ただし、このトリニティ・スタディでは米国株式の年平均成長率を7%、インフレ率を3%と仮定している。つまり年間7%で資産が成長し、物価が3%上昇すると仮定すれば、差し引き4%が使えるという計算である。
例えば、日本在住の投資家がS&P500に連動するETFで運用を考える場合、為替を無視すれば年間7%程度のアメリカ市場の成長力を享受できる。一方で日本のインフレ率は目標2%とされており、差し引き5%でも理論上は問題ないとの見方もできる。実際、S&P500の直近10年間の平均成長率は約10%に達しているため、さらなるアップサイドを期待できるかもしれない。

とはいえ、個人資産の大半を為替リスクにさらすことは日本在住者にとってはハードルが高い。どうしてもドル建てのほうが魅力的な金融商品が多いが、為替リスクを軽視したまま突っ走ると、痛い目にあう可能性がある。そこで今回は、過半を円建て資産で運用しながら4%ルールを適用したらどうなるか、簡単に試算してみる。
まずは個人総資産を1億円と仮定する。そのうち70%を国内投資とし、さらにその内訳として、現在5%の分配金利回りが見込めるREITを70%、倒産リスクが相対的に低く配当利回り3%程度の大企業株を30%という配分に設定する。それぞれの投資先銘柄はもちろん十分に分散する前提である。
残り30%は円建てのS&P500連動型ETFを購入する。因みに為替ヘッジなしの円建S&P500連動型ETFの過去10年間は14%ほどの年平均成長率を示している。これは最近の円安ドル高が進んだ影響が大きいと考えられるが、相当な成長力だ。
さて、このポートフォリオで「総資産の4%=400万円」を年間生活費として取り崩したらどうなるか。まずは国内のREITと株からの配当収入を計算しよう。
REITの分配金:
1億円 × 70% × 70% × 5% × 80%(税金控除20%) = 約196万円
日本株の配当金:
1億円 × 70% × 30% × 3% × 80%(税金控除20%) = 約50.4万円
両者を合計すると246.4万円である。よって、400万円の生活費から引くと、残りは153.6万円となる。これをS&P500連動型ETFのキャピタルゲインなどから取り崩せばよいわけだ。
過去10年のように年平均10〜14%の成長を見込めるなら、総資産の30%に相当する3,000万円は年300〜420万円ほど増えている計算になる。年間150万円ほど取り崩しても、まだ十分に余力があるということだ。
実際のところ、これは過去のデータをもとにした単純試算でしかない。しかし、国内投資については配当のみを利用し、元本を取り崩さずに運用を続ければ、国内資産だけでも成長の恩恵を受ける可能性がある。さらに年金や事業収入など、他のキャッシュフローもあれば、いっそうリスクを分散できるだろう。
全額をこの4%ルールに頼るのは時期や為替の影響もありリスクが高い面は否めない。しかし、若者を含む富裕層が資産防衛と拡大を考えるうえで、この4%ルールを頭に入れておくことは有益だと感じている。
特に企業年金やちょっとした副業的なものなど複数の収入源と組み合わせれば、今流行りのFIREしたとしても安定感のある財務管理が可能になるのではないだろうか。
私もそろそろ30年以上勤務した会社を退職しようとする時期だ、近い将来自分なりの退職後の生き方やそれに伴う財務の考え方について紹介したいと思っている。

