ぬくみ

首には棘が咲いてゐる。

風がやさしく吹くたびに、
なぜだか、 それはひどく疼くのである。

首には棘が咲いてゐる。

誰かの手ではない、 あなたの手ばかりが、
白き痕となつて、 いつまで経つても離れない。

私は今日も歩いてゐる。

歩けば歩くほど、 右の掌ばかりが、
夕焼けのやうな熱を帯びる。

掌の線は薄れ、 運命といふものは、
雨に濡れた墨のやうに、 滲むのみ。

ああ、もしも。

人を抱いても傷つけぬ あたたかな手が、

この身にひとつ、 あればよかつた。

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