お友達トラブル第1位「物の貸し借り」は園との連携のチャンス
保育園での貸し借りトラブル。お友達に叩かれて(噛まれて)しまった、あるいは逆に叩いて(噛んで)しまったという報告を受けると、保護者としては複雑な気持ちですよね。
「うちの子は玩具を独り占めしてしまうのかな」
「園の先生はうちの子を面倒に思っていたりしないかな」
「お友達と仲良くしてほしいのに」
と、モヤモヤした気持ちを抱えてしまうことは、決して珍しいことではありません。
今回は、そんな困り感を持つお母さん方からよく寄せられる相談をもとに、園と保護者が「チーム」として連携し、お子さんが安心して過ごせる環境を作るためのヒントをお伝えできればと思います。
1. 園からの報告にモヤモヤしたら:まずは「そのときの子どもの姿」に目を向ける
トラブルが起きた時、園からの説明が「お子さんの非」を強調しているように感じたり、誠意ある謝罪に感じなかった時カチンとくることはありませんか?園の対応として、客観的に事実を伝えたつもりでも、お母さんからすると”責められた”と感じることがあるかと思います。
そんな時こそ、まずはお子さんのその場の対応に意識を向けてみましょう。
・やられても反撃しなかった。
・「貸して」と言えた。
・貸したくない時に断ることができた。
これらのやりとりは全て社会性の第一歩です。今までできていなかったことであれば、なおさら大きな成長です。このお子さんの対応を、まずはお母さんが一番に認めてあげましょう。“園は事実を言ったのだ”と唱えつつ、お子さんの成長にフォーカスすることで、お母さん自身の心もぐっと楽になるのではないでしょうか。
2. 園との連携は「相談・提案型」のスタイルで
とはいえ、叩いたり噛んだりすることはダメということは覚えていってもらわなければなりません。また、貸し借りの手続きもより柔らかい(敵を作らない)表現を身につけていけることが望ましいですよね。
今後のお子さんの成長を園とも協力して見守っていきたいと思った時、先生の対応の気になる点について改善してもらうのは勇気がいります。そこで、否定から入るのではなく、家庭での成功場面を共有する「相談・提案型」のコミュニケーションが有効です。
例えば、
「家でも同じような傾向があり、貸し借りの練習中です。
家ではこのように対応すると落ち着いてうまくいったのですが、この対応について、先生方はどう思われますか?
大人が統一して同じ関わりができると、うちの子は安心するのと同時に、適切な振る舞いが定着しやすいと思うので、園でも同じような対応は可能でしょうか?
無理のない範囲で、一緒に試していただけませんか?」
といったことです。
このように伝えることで、ただの“注文”にならず、先生方も「子どものために深く考えてくれる保護者」として信頼を深め、前向きに協力してくれるようになるかと思います。
3. 「見通し」と「安心感」を仕組みでサポートする
貸し借りについては、言葉の成長の面が影響しています。
しかし、言葉以外にも原因となることがいくつか考えられます。
玩具を囲い込んでしまうお子さんは、不安や見通しの立たなさが影響していることが多いです。
大抵の保育・療育現場では、貸し借りを無理に強いることはしていません。それでも囲い込んでしまうお子さんについては、いくつかのお助け方法が考えられます。
・否定言葉ではなく約束言葉:「だめ」「やだ」だと角が立つので、「あとでね」「〇〇したらね」といった言葉を覚えていけると良いです。
・安心ボックスの活用:玩具を安心材料にしている可能性があるので、その場合は“ここは誰にも触られないよ”“入りきらないものはみんなで使うよ”という安心ボックスを作ると良いです。園によっては個別のロッカーに作品を置く、などの環境設定をしていますが、これも同様の配慮の一つと考えられます。
大人が仲介する時に、貸し借りに向き合わせず違う遊びに誘う、という方法もありますが、お子さんによっては仲介方法がなかなか高度であるのと、貸し借りは1日に何度もあり、避けては通れない(向き合わせないということが難しい)ので、お子さんのやりとりレベルによって調整してあげると良いでしょう。
まずは家庭で「あとでね」の言い方や「安心ボックス」の効果を試し、成功体験を積んでみてください。園に提案する際も「家で効果があったものを、園でも試していただけませんか?」とツールごと持参すれば、先生方の負担も少なく、スムーズに連携できるはずです。
最後に:一人で抱え込まず、プロを味方に
お子さんのことは誰よりも大切だからこそ、悩みは尽きないものです。
保育の現場にいる方々も、多くのお子さんを見ながら一人一人の成長に合わせて、関わりを工夫しているかと思います。
お母さんが一人で全てを抱え込む必要はありません。
園の先生を「相談相手」として上手に頼り、無理のない範囲でコミュニケーションを取っていきましょう。話しやすい先生に話すだけでもすっきりするかと思います。
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「この場合は、園にどう伝えたら良いの?」
「協力体制をつくる心の余裕なんてない!」
と思った時には、ぜひ専門家に間に入ってもらいましょう。
これからの園生活を前向きなものにできるよう、お手伝いさせていただきます。
感覚タイプ診断や、やりとりの発達段階についても、個別にお伝えすることができます。
児童精神科クリニックを経て、現在は児童デイサービスに勤めておりますが、組織の枠組みに縛られず、お子様と保護者様の力になりたいと考えています。
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