面倒な女の女性論(第二回):天地真理――それでも人は、彼女を見てしまう
「天地真理」という名前は、
不思議な吸引力を持っている。
最近、天地真理(74歳)の写真が公開された。

その写真に対して上がったのは、
「かわいい」
「笑顔が素敵」
「思ったより元気そう」
といった、好意的な声だった。
何年か前、週刊新潮に掲載された天地真理の写真は、
「老後破産」という刺激的な見出しとともに、
白髪の目立つ“お婆さん”として写されていた。
今は施設で過ごしているという、
かなり衝撃的な内容だった。
あの写真と比べれば、
今回の写真は、
はるかに印象が良い。
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天地真理は、昭和40年代、
「清純」「可憐」「無垢」を体現するアイドルとして登場した。
私が子どもの頃、天地真理は絶好調だった。
歌やドラマ番組だけではない。
小学校低学年だった私の身の回りには、
マリちゃんをイメージした人形や文房具、玩具があり、
彼女は「アイドル」という枠を超えて、
子ども向け商品のキャラクターにもなっていた。
天真爛漫な「愛され女子」。
そういう存在だった。
だが一方で、
「元ソープ嬢」という噂は、
すでにこのころから存在していたらしい。
清純の象徴であるはずのアイドルに、
早い段階から
「汚れた噂」がまとわりついていたのだ。
子どもだった私は、
そんなことはまったく知らなかったが、
1970年代、テレビには
天地真理が必ず登場していた。
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そんな天地真理に、
ある日、私ははっきりとした「異変」を感じた。
屋外でのトーク番組。
ゲスト出演だったと思う。
その日、
天地真理は俯いたまま、
ニコリともせず、
一切しゃべらなかった。
司会者が話を振っても反応はない。
ただ黙って座っているだけ。
子どもだった私は、
強い不安を覚えた。
――マリちゃん、どうしたんだろう。
――なにか、おかしい。
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その後、
精神の病という報道が伝わり、
天地真理は実質的な引退状態に入った。
一般的なアイドルなら、
このまま消えて終わったのかもしれない。
だが、天地真理は違った。
いきなりの日活ロマンポルノ出演という
衝撃的な復活。
そしてヘアヌード写真集。
結婚、出産、離婚。
娘を子役にさせたいと、
必死にワイドショーでアピールしていた時期もあった。
ダイエットとリバウンドを繰り返しながら、
太ったおばさんと化した姿を
自ら晒してバラエティに登場していた時期もある。
そして、
週刊新潮に掲載されたあの写真。
これほど定期的に
「何か」を見せ続けてきたアイドルが、
他にいるだろうか。
いつも人に、
「あのマリちゃんが!」
と思わせ、アッとさせる。
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天地真理は、
完璧なアイドルではなかったと思う。
歌はお世辞にもうまいとは言えない。
美人ではあるが、
知性や地頭の良さを感じさせるタイプでもない。
天才でも、努力家でもない。
その代わり、
どこか危うく、
どこか足りなかった。
それが身近に感じて親しみやすさがあったのかもしれない
でもこの「完成していない感じ」が、
見る側に想像の余地を与えたのだと思う。
人は、
完成された存在よりも、
崩れそうなものを見続けてしまう。
天地真理は、
最初からその要素を持っていた。
だから今も、
どんな境遇に陥っても、
人は彼女を見てしまう。
どんな姿で登場しても、
天地真理は人目を惹きつける。
――あのマリちゃんが、今はこんな感じ。
それが、
人の心を離さない理由なのだろう。
そして天地真理自身も
それを十分理解しているので、
多分これかも天地真理は姿を現す
そして私もこれからもずっと
彼女を見てしまう。
