秘めていく話
その人は 思考を言葉に置き換える時、
とても丁寧に時間をかける。
視線を斜め45度に落として、
ゆっくりと言葉を束ねてゆく。
その唇から言葉が放たれるまでの間、
わたしは その人を見つめる。
緩やかな 額
睫毛の 角度
少し伸びた 髭
その人を照らす 光の粒
その ひとつひとつまでも
言葉を待ちながら、
言葉を待つふりで、
その人を 見つめる。
密かに、堂々と。
その人が 言葉を放つとともに
「……ね?」
と 穏やかな視線をこちらに向けた時、
悪戯を見つけられてしまったようなわたしは ドキリとして、曖昧に 微笑み返す。
そうして、心の中で 静かに呟く。
「 …… なんのはなしですか ?」
