アポロ8号と13号の「8の字軌道」の違いと13号の決死のPC+2噴射

(質問者=私)
アポロ8号とアポロ13号、ぱっと見では両者とも8の字を描いて月を
廻って(8号は10周、13号は約半周)地球に帰って来た印象だよね。
しかし、両者の軌道には大きな違いがあった。そこを深掘りしてみよう!

アポロ8号とアポロ13号の軌道における最大の決定的な違いは、
アポロ8号が「非・自由帰還軌道」に切り替えて月周回に入ったのに対し、アポロ13号は最初から最後まで地球に自動で戻れる「自由帰還軌道」
の安全圏に(最終的には)留まり続けた点です。

自由帰還軌道(Free-return trajectory)とは、地球を出発した後、
一切のエンジン噴射をしなくても、月の重力に引っ張られて
自動的にUターンして地球に戻ってこられるようにあらかじめ
緻密に計算された1本の巨大な楕円軌道のことです。

ぱっと見はどちらも「8の字」を描いて帰ってきたように見えますが、
その中身(エンジンの噴射と軌道の性質)は全く異なっていました。
小学校4年生でもわかるように、この2つの大冒険の裏側にあった
軌道の秘密を詳しく解説します!

🚀 軌道の違いが一目でわかる比較表
・アポロ8号
 ・基本の軌道タイプ: 非・自由帰還軌道(途中で軌道を変えた)
 ・月の裏側でのエンジン噴射:大噴射した(月を回るブレーキのため)
 ・もしエンジンが壊れていたら?:宇宙の迷子になっていた
・アポロ13号
 ・基本の軌道タイプ :自由帰還軌道(安全な8の字)
 ・月の裏側でのエンジン噴射:噴射していない(月の重力で
  Uターンした)
 ・もしエンジンが壊れていたら?:そのまま地球に帰ってこられた

1. アポロ8号:あえて危険な道を選んだ「月周回」
アポロ8号は、人類で初めて月の周りを回った宇宙船です。
・最初は安全な8の字だった:地球を出発したときは、万が一エンジンが
 故障しても自動で地球に帰れる「自由帰還軌道」に乗っていました。
・途中でブレーキを踏んだ:しかし、そのままでは月の重力で
 パチンコのように弾き飛ばされて、すぐに地球に帰ってしまいます。
 月をじっくり10周まわるためには、月の裏側に隠れた瞬間に
 エンジンを逆噴射して、ブレーキをかける必要がありました。
・そこで、月の裏側に到達した瞬間、進行方向とは逆向きに約4分間
 エンジンを噴射(逆噴射)しました。
 これにより宇宙船はブレーキがかかり、月の重力を振り切れなくなって、
 高度約110キロメートルの綺麗な丸い「月周回軌道」に捕まりました。
・帰るときに大噴射した:月を10周したあと、再び地球に向かうために
 強力なエンジンを約3分間噴射して、月の重力を脱出し地球へ戻る
 軌道に乗りました。もしこの噴射に失敗していたら、乗組員は月を回る
 軌道から抜け出せず、宇宙の迷子になるところでした。
つまり8号は、「エンジンの力を信じて、安全な8の字を途中でやめた」
軌道でした。

💡 補足:なぜ大事な噴射をわざわざ「月の裏側」でやるのか?
アポロ8号の全行程の中で、最も緊張するこれら2回の噴射は、
どちらも地球からの電波が月に遮られて通信が完全に途絶する「月の裏側」で行われましたが、これは偶然ではなく、軌道力学上の必然です。
月の周回軌道に入ったり、逆にそこから抜け出したりするための最も効率的なポイント(近月点)が、自由帰還軌道のルート上、どうしても月の裏側に位置してしまうためです。
NASAの管制官たちは、通信が切れている数十分間、噴射が成功したか
どうかを祈るように待つしかありませんでした。

2. アポロ13号:8の字の安全ネットに救われた「奇跡の生還」
アポロ13号は、月に向かう途中で酸素タンクが爆発する大事故に
見舞われました。
・最初は着陸しやすい別の軌道にいた:実は13号は複雑な着陸地点を
 目指すために、最初は自由帰還軌道から自動では帰れない
 「非・自由帰還軌道」に軌道を変更して飛んでいました。
・事故のあと、すぐに「8の字」に戻した:爆発が起きたとき、
 司令船のメインエンジンが使えなくなりました。
 そこで飛行士たちは、まだ無事だった着陸船の小さなエンジンを使い、
 大急ぎで自動的に地球へ帰れる「自由帰還軌道(8の字の安全ネット)」
 へと軌道を修正しました。
・月の重力だけでUターンした:13号は月を周回する予定をあきらめ、
 月の裏側を通るときにはエンジンを噴射せず、月の重力に引っ張られる
 力だけでくるりとUターン(スイングバイ)しました。
つまり13号は、「壊れたエンジンを使わず、月の重力を使った
天然の8の字」で帰ってきたのです。

💡 まとめ:2つの「8の字」の決定的な差
・アポロ8号の8の字:人間の手でエンジンをコントロールし、
 計画通りに月を回るために「一度崩した8の字」。
・アポロ13号の8の字:エンジンが壊れたため、自然の力を借りて
 命からがら逃げ帰ってきた「命綱としての8の字」。

同じように見える飛行ルートですが、アポロ8号は「攻めの軌道」、
アポロ13号は「守りの軌道」という真逆のドラマが隠されていました。

もしよろしければ、次は以下のどちらについて詳しくお話しましょうか?
・アポロ13号が地球に早く帰るために、月の裏側を過ぎたあとに行った
 「決死の加速噴射」の裏話
・宇宙船が自動で帰ってこられる「自由帰還軌道」の仕組み
 (重力のパチンコ効果)

(質問者=私)
「宇宙船が自動で帰ってこられる「自由帰還軌道」の仕組み
 (重力のパチンコ効果)」
地球を出発した宇宙船は、地球から好きなだけ離れられる第二宇宙速度
以上のスピードを持っているから、その後エンジンが故障すれば減速できず地球からどんどん離れて行ってしまう。地球方向へ向きを変えることも
不可能。そこで、月を利用する。
月の進行方向の前方を横切り自分の運動エネルギーの一部を
月の公転エネルギーとして与え減速、ついでに月の重力に引っ張られて
半周少し廻らせてもらい地球方向へ向きを変える。
どういう速度・角度で月の前方を横切るかが肝心。
減速が足りないと月の横を通り抜けて地球から離れるばかりだし、
減速し過ぎると月の衛星になってしまうか月に落ちてしまうし、
月から離れる際には地球に向かう方向に機首が向いているように
しなければいけない。そこで前もって綿密に軌道を計算しておく。

自由帰還軌道の仕組みについて、完璧な素晴らしい整理です!
おっしゃる通り、アポロ宇宙船は地球の重力を振り切るほどの
猛スピード(第二宇宙速度に近い、時速約4万キロ)で飛び出すため、
途中でエンジンが壊れたら自力では絶対にブレーキもUターンも
できません。

まさにその大ピンチを救うのが、書かれている通りの「月の重力と
公転を使った天然のブレーキ&Uターン」です。

この仕組みを、さらにイメージしやすくなるよう、
3つのポイントに分けて深掘りしてみましょう!

1. なぜ「月の前」を通るとブレーキがかかるの?(エネルギーの受け渡し)
宇宙船が月の「進行方向の前方(前)」を横切るのが一番のポイントです。
これを分かりやすく例えると、「走っているトラックの目の前を、
横から自転車でギリギリ通り抜ける」ようなものです。
・月の前を通る(ブレーキ):月は時速約3,600キロで進んでいます。
 その目の前を宇宙船が横切ると、月の強力な重力に後ろから
 「おーい、待てよ!」と引っ張られます。
 これにより、宇宙船はエネルギーを月に吸い取られる形になり、
 スピードがガクンと落ちます。
・もし月の後ろを通ったら?(加速):逆に月の後ろを通り抜けると、
 今度は進む月に後ろから引っ張られて、パチンコのようにビューンと
 加速して地球から遠くへ吹き飛ばされてしまいます。
アポロ13号は、きっちり「月の前」を通ることで、地球に帰るための
絶妙なブレーキをかけました。

2. まるで針の穴を通すような「速度と角度」の計算
まさに書いていただいた通り、自由帰還軌道は「時速4万キロで飛び
ながら、たった1つの正解のルート(針の穴)をすり抜ける」ような
超神業(かみわざ)です。
もし計算が少しでもズレると、次のような最悪の事態になっていました。
・スピードが速すぎる・角度が浅すぎる
 👉 月の重力を振り切ってしまい、そのまま宇宙の果てへ直進
   (二度と帰れない)。
・スピードが遅すぎる・角度が深すぎる
 👉 月の重力につかまりすぎて、月に激突するか、月の周りを回り続ける
   (戻れない)。
・ジャストな速度と角度(自由帰還軌道)
 👉 月の重力でスピードを落としつつ、月の裏側をくるりと半周して、
   お面がひっくり返るように機首がぴったり地球を向く。
アポロ計画のときは、ビルと同じくらい大きな当時の最先端のコンピュー
ターを使って、この「奇跡の角度」をあらかじめ何パターンも計算して
宇宙船に覚え込ませていました。

3. アポロ13号を襲った、もう一つの試練「地球への再突入角」
月からUターンさせてもらうところまでは完璧に計算できても、
実はもう一つ大きな関門がありました。
それは「地球に戻ってきたときの角度」です。
月の重力でせっかく地球に向けて投げ返してもらっても、
地球の空気(大気圏)に突入する角度が「1.5度」でもズレたら
全滅という極限状態でした。
・角度が浅すぎる(1.5度より平ら): 石が水面を跳ねる(水切り)
 ように、大気圏に弾かれて二度と戻れない宇宙の彼方へ
 飛んでいってしまう。
・角度が深すぎる(1.5度より急): 空気抵抗と摩擦熱が強すぎて、
 カプセルが燃え尽きるか、中の飛行士が凄まじいG(重力加速度)
 で押しつぶされてしまう。
アポロ13号は、事故の衝撃でこの角度も少しズレてしまっていました。
しかし、飛行士たちは地球が窓に見えるのを目印に、手動で小さな
エンジンを噴射して、この「針の穴を通すような角度」に一発で宇宙船を
誘導し、大気の力だけで安全に減速して生還を果たしたのです。

自然の力を100%利用したこの「自由帰還軌道」は、まさに人間の知恵と
宇宙のルールが作った究極の安全ネットでした。

(質問者=私)
今なら「スイングバイという技術がある→加速だけでなく減速スイングバイもある→自由帰還軌道も一種の減速スイングバイだ」という流れで
原理を理解できるけど、スイングバイが知られていなかったボイジャー計画以前に普通の人が自由帰還軌道の原理を理解するのは難しかったんだろう
なあ。俺もまったくイメージできなかったし。
ところで、「アポロ13号が地球に早く帰るために、月の裏側を過ぎたあとに行った「決死の加速噴射」の裏話」って?

まさにその通りですね!
おっしゃる通り、現在はボイジャー計画などの大活躍で「スイングバイ」という言葉や仕組み(惑星の重力で加速・減速する)が広く知られていますが、アポロの時代(1960〜70年代)は一般の人にとって「エンジンもかけずに月を回って帰ってくる」なんて、まるで魔法かキツネにつままれたような話だったはずです。
当時その原理を直感的に理解できた人は、本当に少なかったと思います。

さて、お待たせしました!
アポロ13号が月の裏側を通り過ぎた直後(約2時間後)に行った、
「決死の加速噴射(PC+2噴射)」の裏話について、詳しくお話しします。

実は、そのとき宇宙船の中では、映画『アポロ13』でも描ききれなかった
ほどの、命をかけた大博打(ばくち)が行われていたのです。

🚀 なぜ、せっかくの「8の字」なのに噴射が必要だったの?
前にお話しした通り、13号は「月の前を横切る減速スイングバイ」に
よって、自動的に地球へ帰れるルート(自由帰還軌道)に乗ることは
できました。
しかし、そのまま「何もしない天然の8の字」で帰ると、
大きな問題が2つありました。
・地球に帰るのが遅すぎる:そのまま大気圏に突入するルートだと、
 あと4日(約100時間)もかかってしまいます。
・帰る前に全員が窒息(ちっそく)・凍死する:事故によって宇宙船の
 電気がほぼ全滅していたため、水も作れず、空気(二酸化炭素を
 フィルターで取る機能)も、命を守るバッテリーも、あと2日〜3日分
 しか残っていませんでした。
つまり、「自動で帰れるけど、生きて地球にたどり着けない」
状態だったのです。
そのため、どうしても「時速を上げて、帰る時間を1日近く早める」
必要がありました。

🚨 決死の噴射:3つの恐ろしい裏話
飛行士たちは、月の裏側をぐるっと回って地球側に出てきた瞬間、
着陸船のエンジンを4分24秒間も噴射する大勝負に出ました。
これが通称「PC+2(近月点通過2時間後)噴射」です。

この裏には、次のような信じられないドラマがありました。

① そもそも「着陸船のエンジン」はそんな目的で作られていない
アポロ宇宙船のメインエンジン(司令船側)は事故で壊れていたため、
本来は「月にふわっと降りるためだけ」に作られた着陸船の
小さなエンジンを使わなければなりませんでした。
このエンジンは、宇宙船全体をものすごい猛スピードに
加速させるようには設計されていません。
さらに、後ろに重たい司令船をくっつけた状態(普段とは逆の形)
で押すため、一歩間違えれば宇宙船がキリモミ状態になって
バラバラに壊れる危険がありました。

② 爆発した「機械船」をくっつけたまま走る恐怖
宇宙船の後ろには、爆発してボロボロになった「機械船」という
大きなパーツがまだくっついていました。
本当は捨てた方が軽くなってスピードが出せるのですが、
これを切り離してしまうと、地球に突入するカプセル(司令船)
の底にある「熱をガードする盾(ヒートシールド)」が
宇宙の冷気で冷やされすぎて、ヒビ割れてしまう恐れがありました。
そのため、「爆発した爆弾(壊れた機械船)を後ろに引きずったまま、
無理やりエンジンを吹かす」という、ものすごく恐ろしい状態での
噴射だったのです。

③ もしエンジンが止まったら、大西洋のド真ん中に落ちる
この噴射は、ただスピードを上げるだけでなく、「地球のどこに落ちるか」の調整も兼ねていました。もし噴射が短すぎたり、途中でエンジンが
止まったりしたら、アメリカ軍の救助チームが全くいない大西洋の真ん中に不時着することになっていました。
そうなれば、たとえ地球に帰れても、今度は海でおぼれて助からない可能性が高かったのです。

🏆 結果:人間の知恵と計算の完全勝利
飛行士たちは、宇宙船のすべての電源を切り、凍りつくような暗闇の寒さの中でじっと耐えながら、コンピューターの指示通りに完璧なタイミングで
エンジンを点火しました。
結果、エンジンは1秒の狂いもなく最後まで燃え尽き、宇宙船は
時速約3,000キロもスピードアップ、時速約4万キロメートル(マッハ36
以上)まで加速され、地球への帰還時間を約10〜12時間も短縮し、
救助隊が待つ太平洋へピンポイントで帰ってくることができたのです。

「減速スイングバイ」で地球への道筋を作り、その直後に「自力のロケット噴射」で一気にダッシュをかける。この絶妙な組み合わせこそが、
アポロ13号の乗組員3人の命を救った「奇跡の作戦」の正体でした。

アポロ13号のこの決死のドラマ、本当に知れば知るほど
鳥肌が立ちますよね。

(質問者=私)
ところで、エンジンでも機械でも初期動作不良ってよくあるよね。
で、しばらく回してるうちに治ってきたりする。
アポロ8号、10~17号も地球を何周かしてから月に向かう際には最初は
自由帰還軌道を採っていた?(で途中、「こりゃ大丈夫そうだ」って
なった時点でもっと効率の良い軌道に変更)
自由帰還軌道って燃料ゼロで安全性最重視の軌道だから、
他は犠牲になるよね。
上でAI様が挙げた速度の他にも、月の高緯度地域に
着陸したい場合には不利そうな気がする。

素晴らしい洞察力です!
おっしゃる通り、機械の「初期不良」を警戒して地球の周りでテストする
こと、そして「自由帰還軌道は安全だけど、着陸場所などの面で大きな犠牲(デメリット)がある」という点は、まさにアポロ計画のエンジニアたちが頭を悩ませ、実際に採用した戦略そのものです。

当時のNASAのリアルな運用と、自由帰還軌道の弱点について、
2つのポイントに分けて詳しく解説します!

1. 「まずは様子見」:地球を周回しながらのチェック
ご想像の通り、アポロ宇宙船(8号、10号〜17号すべて)は、
地球からいきなり月へ向かったわけではありません。
・地球を1.5〜2周して「初期不良」をチェック:ロケット発射後、
 まずは地球の周りを回る低い軌道(待機軌道)に入りました。
 ここで数時間かけて、エンジン、コンピューター、電気系統が
 正常に動いているかを徹底的に点火テスト・確認しました。
 これを「システムチェックアウト」と呼びます。
・「よし、大丈夫だ!」で月へ出発:機械に問題がないことを確認して
 初めて、サターンVロケットの第3段エンジンを再点火し、
 月へ向かう軌道(TLI:月遷移軌道突入)へと飛び出しました。

🚀 最初はみんな「自由帰還軌道」だった?
実は、月へ向けて出発した「直後」の軌道については、
ミッションの時期によって戦略が変わります。
・アポロ8号、10号、11号、12号(初期)
 👉 ご指摘の通り、出発した最初の段階から「自由帰還軌道」に
   乗せました。まだ月着陸の経験が浅く、一番安全なルートで
   様子を見るためです(※12号は途中で変更)。
・アポロ13号、14号〜17号(中期〜後期)
 👉 地球の周りでチェックは済ませているので、月へ出発する瞬間から、
   自由帰還軌道ではない「非・自由帰還軌道(ハイブリッド軌道)」
   に直接飛び乗るようになりました。
   理由は、ご指摘の通り「自由帰還軌道には大きなデメリットが
   あるから」です。

2. 自由帰還軌道の「大きな犠牲(デメリット)」
「燃料ゼロで戻れる安全な8の字」は一見完璧に見えますが、
探査を進める上では次のような致命的な弱点がありました。
① 着陸場所が「赤道付近」に縛られる(高緯度が狙えない)
 まさに大正解です!自由帰還軌道は、地球と月の重力のバランスだけで
 決まるため、月の「赤道(真ん中)」に近いエリアにしか
 宇宙船を導けません。
 月の北極や南極に近い「高緯度地域」や、傾いた場所にある魅力的な
 クレーター、山脈などに着陸しようとすると、立体的な角度が足りず、
 自由帰還軌道のままでは絶対にたどり着けません。
② 燃料の効率(燃費)が実は悪い
 自由帰還軌道は、安全にUターンするために「月の前方を深く回り込む」
 ようなルートをとります。
 しかし、いざ「月へ着陸しよう」とする場合、このルートから
 月の周回軌道に入るには、余計なブレーキを踏まなければならず、
 逆にたくさんの燃料を消費してしまうのです。
③ 月での滞在時間が短くなる
 自由帰還軌道に縛られていると、月と地球の位置関係の制限を
 強く受けるため、月に長居することができなくなります。

🛠️ NASAが出した結論:「ハイブリッド軌道」への進化
アポロ11号で月着陸に成功し、12号以降でもっと科学的な調査
(山脈や古いクレーターへの着陸)をしたいと考えたNASAは、
次のような賢い方法に変えました。
・地球出発時は、月の高緯度を狙える「非・自由帰還軌道」で飛び出す。
・ただし、月へ行く途中で何かあれば危ないので、すぐに自由帰還軌道へ
 戻せるような、絶妙なルートを計算して飛ぶ(これがアポロ13号を
 救ったハイブリッド軌道です)。
・安全が確認できたら、途中でエンジンを少し噴射して、
 完全に自由帰還軌道を離れ、目的の着陸地へと向かう。

科学的な「攻め(高緯度への着陸)」と、万が一の「守り(自由帰還への
復帰能力)」を両立させた、ものすごい執念の軌道設計だったのです。

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【この質疑の後の後日の感想・補足】

・この時のAI様、「小学校4年生でもわかるように解説します!」
 という易しめモードでスタートしている。何故に小学4年生?

・アームストロング船長はうれしい!
 8/5は本物のアームストロング船長が生まれた日、
 8/25は亡くなった日なので、この期間になるべくアポロ関連の対話を
 紹介しようと、8/5~6に5つ、8/10に1つ上げた。
 ↓
 アポロ11号が月に行ってから57年。もうあまり関心を持つ人は
 いないかな、そうだとしたら悲しいことだ、という懸念とは裏腹に
 ビュー数がけっこうな勢いで上がっていることを発見!
 アームストロング船長はうれしい!
 読んでくれた皆さん、ありがとう!
 
・アポロ関係では、過去に上げた
 「ジンバルロック Part.2 - アポロの場合」
 「アポロ月着陸船の着陸プログラム、P63、P64の次がP66だった
  のは何故?」
 もあります。(後者はnoteに一番最初に上げた記事で、どのくらいの
 長さが良いのかという加減がわからなかったのでけっこう長いです)

・「アポロ計画エピソード集2 - 14、15、16、17号」の最後の補足で挙げた
 Apollo by the Numbers: A Statistical Reference (NASA SP-200-4029)
 もオススメ。(NASAが作った344ページの本。無料!)
 あと、NASAのサイトに行くと、各号のMission Reportを始めとする
 各種レポート、Press Kit、Flight Plan、Saturn V Flight Manual、
 などの無数の資料が閲覧・ダウンロードできます。

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