アポロ11号の月着陸船「イーグル」の上昇段が今でも月を回っている!?
(質問者=私)
アポロ11号の月着陸船「イーグル」の上昇段が今でも月を回ってる
って主張している人がいるらしいけど、真相はどうなの?
アポロ11号の月着陸船「イーグル」の上昇段が今でも月を回っている
という主張は、単なる都市伝説や陰謀論ではなく、2021年に発表された
真面目な科学的研究論文に基づく有力な仮説です。
これまでは「切り離されたあとに月の重力で引き寄せられ、
数年以内に月面に墜落した」と考えられていましたが、
最新のシミュレーションでその常識が覆りつつあります。
イーグルの現状や、なぜ今も回っていると言われているのか、
その理由は以下の通りです。
🚀 そもそも「イーグル」はどうなった?
・2つに分離した:月着陸船は下半分の「下降段」と、
上半分の「上昇段」に分かれます。
・足跡とともに残る下半分:ニール・アームストロング船長たちが
降り立った「下降段」は、今でも月面に残されています。
・乗り捨てられた上半分:宇宙飛行士が司令船に戻るために使った
「上昇段」は、司令船とのドッキング解除後に月周回軌道へ
そのまま放置(遺棄)されました。
この上半分の行方が今回の議論の的です。
📉 なぜ「墜落した」と思われていたのか?
月の重力は均一ではなく、マスコン(質量集中)と呼ばれる
重力の強い場所が点在しています。
この影響で、月を回る人工物の軌道は徐々に歪み、最終的には
引きずり込まれて月面に激突するのが普通です。
アポロ計画の他の着陸船上昇段 は、意図的に月面に墜落させられたか、
自然に数か月で墜落したことが確認されています。
しかし、アポロ11号の上昇段だけは追跡データが途中で途絶え、
どこに落ちたのか正確には分かっていませんでした。
🌌 「今も回っている」と言われる科学的理由
2021年、カリフォルニア工科大学の独立研究者ジェームズ・メアドル(James Meador)氏が、NASAの最新の月重力マップデータ
(GRAIL探査機のデータ)を用いてシミュレーションを行いました。
1. 奇跡的な軌道の安定性:イーグルが遺棄された初期軌道を
計算にかけたところ、月の不均一な重力、太陽や地球の引力、
太陽光の圧力などをすべて考慮しても、軌道が奇跡的に安定し続ける
ことが判明しました。
2. 50年以上耐えている可能性:シミュレーション上、イーグルの軌道は
周期的に変化するものの、50年以上が経過した現在でも月面に衝突せず、
今なお高度100km前後の軌道を回り続けている可能性が高いという結果が
出ました。
⚠️ 今も残っているかは「五分五分」
科学的な計算上は生存可能ですが、確実に残っているとは言い切れません。
理由は、機体そのものの寿命です。
・燃料爆発の可能性:遺棄された当時、イーグルのタンクには
余った推進剤(燃料)が残っていました。これが経年劣化で
漏れ出したり、爆発したりして機体がバラバラになったか、
軌道が大きく変わって墜落した可能性も十分にあります。
現在、この「見失われたイーグル」を地球からのレーダー観測や
月探査機によって発見しようという試み(レーダー探査の実現性に
関する研究など)も議論されています。
もし本当に発見されれば、宇宙開発史上、最もドラマチックな再会に
なるかもしれません。
もしこの宇宙のミステリーについてさらに知りたければ、
他のアポロ着陸船がどうなったのかや、月重力の歪み(マスコン)の
仕組みについてもお話しできますが、いかがいたしますか?
(質問者=私)
ぜひ、お願い!
アポロ計画で月へ向かった他の着陸船たちの驚きの末路と、
イーグルの生存を支える月の奇妙な重力の謎について解説します。
🛰️ 他のアポロ着陸船(上昇段)はどうなった?
アポロ11号のイーグルは「放置」されましたが、12号以降の着陸船
(上昇段)は、そのほとんどが意図的に月面に衝突させられましたが、
これには科学的な目的がありました。
アポロ12号以降、宇宙飛行士たちは月面に「地震計」を設置していました。
乗り捨てた着陸船をわざと時速数千キロで月面に激突させ、人工的な月震(地震)を起こすことで、月の内部構造を調べるのです。
各船の具体的な末路は以下の通りです。
・アポロ12号(イントレピッド):意図的に墜落。地震計が約1時間に
わたり「鐘のように響く」振動を観測。
・アポロ14号(アンタレス):意図的に墜落。
・アポロ15号(ファルコン):意図的に墜落。
・アポロ16号(オリオン):ドッキング解除後に制御不能になり、放置。
約1年後に自然に墜落したとされています。
・アポロ17号(チャレンジャー):意図的に墜落(これが最後の
人工衝突)。
・アポロ10号(スヌーピー):月着陸の「リハーサル」だったため
月面には降りず、上昇段は太陽を回る軌道へ放棄。
今も宇宙を漂っており、2011年以降にアマチュア天文家らによって
発見・確認されています。
🧲 月重力の歪み「マスコン(質量集中)」の仕組み
「宇宙に行けば重力はどこでも同じ」と思われがちですが、
月はそうではありません。月には重力が異常に強い場所があり、
これをマスコン(Mass Concentration = 質量集中)と呼びます。
なぜ重力が歪んでいるのか?
1. 巨大隕石の衝突:大昔、月に巨大な隕石が何度も衝突し、
クレーター(盆地)ができました。
2. マグマの噴出:その衝撃で月の地殻が薄くなり、地下深くから
重くて密度の高い「玄武岩質のマグマ」が湧き上がって
盆地を埋め尽くしました。
3. 重いエリアの誕生:このマグマが冷えて固まった結果、
表面から見ると平らな「月の海」ですが、地下には周囲より
圧倒的に重い物質が詰まったエリアが完成しました。
人工衛星への影響
このマスコンの上を月を周回する人工衛星(や放棄された着陸船上昇段)が通過すると、下からグイッと強い力で引っ張られます。
これを繰り返すと、綺麗な円だった軌道がどんどん歪んで楕円になり、
最終的には高度が下がりすぎて月面に激突してしまいます。
アポロ16号の着陸船が1年足らずで落ちたのもこれが原因です。
🧐 なぜ「イーグル」だけが生き残れたのか?
では、なぜ11号のイーグルだけが50年以上も耐えられているのでしょうか?
2021年の研究によると、イーグルが切り離された「初期の高度と角度」が、マスコンの引力、地球の引力、太陽光の圧力などが絶妙に打ち消し合う
「奇跡のポケット(安定軌道)」に偶然ぴったりハマったからだ
とされています。
計算上は、軌道が大きく膨らんだり縮んだりしながらも、
絶妙なバランスで墜落を回避し続けているのです。
(質問者=私)
月に降りていない13号の着陸船( アクエリアス )の結末もお願い!
13号は月へ向かう途中で機械船の酸素タンクが爆発する大事故に見舞われ、月面着陸を断念しました。そのため、この「アクエリアス」は本来の目的である月面着陸には使われず、電力を失った司令船の代わりに「宇宙の救命
ボート」として大活躍し、3人の宇宙飛行士の命を救った伝説の船と
なりました。
アクエリアスのその後の末路は、他の着陸船とは全く異なります。
・地球の大気圏で燃え尽きた:飛行士たちが地球へ帰還する直前まで
身を寄せていたため、地球のすぐ近くで切り離され、
1970年4月17日に地球の大気圏に突入して燃え尽きました。
・プルトニウムの行方:アクエリアスには、月面実験用の原子力電池
として「プルトニウム238」が積まれていました。これが大気圏突入で
飛び散らないよう、頑丈な容器に入れられたまま、太平洋のニュージー
ランド沖(トンガ海溝の深さ約1万メートル)の海底に安全に沈められ、
今もそこに眠っています。
(質問者=私)
ちなみに13号の機械船放棄のタイミングは、他のアポロ計画の
放棄のタイミングと一緒だった?
結論から申し上げますと、アポロ13号における機械船(サービス
モジュール:SM)の放棄(切り離し)は、他の正常なアポロ計画とは
異なりかなり早い時間(数時間前)に行われました。
・通常ミッションでの機械船(SM)切り離しタイミング:大気圏突入の
約15分前
帰還直前まで機械船の電力や推進システムを使用するためです。
・13号の機械船(SM)切り離しタイミング:大気圏突入の4時間36分前
爆発により機械船が完全に機能を失っていたため、被害状況を
写真撮影し早めに切り離しました。
13号では機械船を大気圏突入の約4時間半前に捨てた後も、
しばらく「司令船オデッセイ +月着陸船アクエリアス」という
通常あり得ない形態で飛行を続け、最終的に着陸船を切り離したのは
大気圏突入のわずか1時間ほど前でした。
ちなみに、3人の宇宙飛行士を乗せて無事に地球の海へと着水した
13号の司令船「オデッセイ」は、事故原因の調査のために一度
バラバラに分解され、その後、見事に修復・再組み立てが行われ、
現在はアメリカ・カンザス州にある「コスモスフィア宇宙博物館(Cosmosphere)」に誇らしげに展示されています。
機体には、大気圏突入時の激しい摩擦で焦げた生々しい痕跡が
今も残っています。
もし次に進むなら、「太陽の周りを今も孤独に回り続けている
アポロ10号(スヌーピー)の発見劇」や、「月面に取り残された
着陸船の足跡」についてお話しできます。
どちらの旅へご案内しましょうか?
(質問者=私)
両方案内して!
それにしてもアポロ10号(スヌーピー)をアマチュアが見つけた
ってのが驚き。
しかも月周回軌道ではなく太陽周回軌道(惑星軌道)でしょ?
ありがとうございます! では、アマチュア天文家たちが成し遂げた
「スヌーピー」の奇跡の発見劇と、月面に残された着陸船の「いま」
の2つの物語へご案内します。
まさに仰る通りで、地球から遥か彼方の「太陽周回軌道(人工惑星)」
になった、わずか幅4メートルほどの小さな機体を地上から見つけ出す
のは、砂漠の中から1本の針を探すような不可能に近い挑戦でした。
🐶 物語1:アポロ10号「スヌーピー」の奇跡の発見劇
アポロ10号は、11号の本番直前に「月面の高度15kmまで迫る」
という最終リハーサルを行いました。
役目を終えた着陸船の上半分「スヌーピー」は、月重力に邪魔されない
よう、わざとエンジンを限界まで噴射させて月軌道を脱出させ、
太陽を回る軌道(人工惑星軌道)へと放り投げられました。
それから40年以上、スヌーピーは完全に宇宙で行方不明になっていました。
始まりは一人のイギリス人アマチュア天文家
2011年、イギリスのアマチュア天文家ニック・ハウズ(Nick Howes)氏が
率いる天文学者やアマチュアのチームが、「スヌーピー捜索プロジェクト」を立ち上げました。
数百万キロ〜数億キロ彼方の宇宙を漂うスヌーピーを見つけるため、
彼らは以下の方法をとりました。
・軌道の割り出し:NASAの古いデータを掘り起こし、40年分の太陽や
惑星の引力影響を計算。
・クラウド型望遠鏡の活用:世界中の高性能なロボット望遠鏡を
ネット経由で動かし、ターゲットエリアの空を撮影し続けました。
2018〜2019年の大発見
そしてプロジェクト開始から数年経った2018年、ついに計算ルート上に
「不審な小天体(小惑星候補)」が発見されます。
この天体は「2018 LH」と名付けられました。
翌2019年、さらにデータを分析したハウズ氏は、天文学会で「この天体が
スヌーピーである確率は98%以上だ」と発表しました。
・サイズが一致:レーダー観測による大きさがスヌーピーとぴったり同じ。
・軌道が一致:1969年にNASAが放り投げた軌道を逆算すると、
この天体の動きと完璧に重なる。100%の断定にはさらなる接近観測が
必要ですが、天文学界ではこれがスヌーピーであると事実上
信じられています。
アマチュアの情熱が、数億キロ先の宇宙の遺産を特定したのです。
🌕 物語2:月面に取り残された着陸船(下半分)の現在の姿
一方、アポロ11号から17号まで、合計6機が月面に残してきた
着陸船の下半分(下降段)は、今どうなっているのでしょうか?
今でも「そのまま」立っている
月には大気がなく、風も雨も吹きません。
そのため、宇宙飛行士たちが去った50年以上前と全く同じ姿で、
今でも月面に静かに立ち続けています。
星条旗や、飛行士たちが残した足跡、月面車(バギー)もそのままです。
現代の探査機が「激写」している
「アポロは本当に月に行ったのか?」という陰謀論を完全に過去のものに
したのが、2009年にNASAが打ち上げた月周回探査機「ルナー・リコン
セイサンス・オービター(LRO)」です。
LROは高度をわずか20〜50kmまで下げて月面を極めて高解像度で
撮影しました。その写真には、以下のものがハッキリと写っています。
・白い四角い影:着陸船の下降段が太陽光を浴びて落とす、
くっきりとした影。
・黒い線:宇宙飛行士たちが歩き回って、月の砂(レゴリス)が
踏み固められた「足跡のルート」。
・月面車(バギー):アポロ15・16・17号が乗り捨てた車本体と、
そのタイヤ痕。
これらの機体は、人類が初めて他の天体に到達した動かぬ証拠として、
現在はアメリカの法律などで「宇宙歴史遺産」として保護する動きも
進んでいます。
地球に帰ってきたカプセル、月を回り続けるイーグル、太陽を回る
スヌーピー、そして月面に佇む足跡たち。
アポロの機体たちは今も宇宙のあちこちで、人類の黄金期を伝えています。
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【この質疑の後の後日の感想・補足】
・太陽周回軌道(惑星軌道)に移っちゃってるアポロ10号「スヌーピー」を
アマチュアが発見したっていうのが、やっぱスゴい。
そう言えば、ボイジャーからの信号をキャッチしたオランダのアマチュア
の集団もいた(NASAもそれがボイジャーからの信号だと認めた)。
もうかっこよすぎだろ!
