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スモールビジネスを強くする魔法の比率。みがるが辿り着いた『8:2の法則』


■ 100%を目指すと、ビジネスは息苦しくなる

前回の記事で、SNSやWebサイトの役割分担についてお話しした際、最後に少しだけ触れた『8:2の法則』
今回は、私たち「みがる」の根底に流れる、この重要な法則について深掘りしてみたいと思います。

起業したばかりの頃、人はどうしても「100%」を目指してしまいます。 100%完璧なサービス、100%論理的な経営戦略、100%お客様に寄り添う姿勢……。
しかし、スモールビジネスにおいて「どちらか一方に100%振り切る」ことは、実は非常に危険です。

世の中のビジネス書にはよく「選択と集中」と書かれていますが、
私たちが実践の中で定義した「みがる流の8:2の法則」は少し違います。

それは、「メインとなる8割の『らしさ(優しさ、自由、感情)』を爆発させるために、あえて真逆の性質を持つ2割の『強固な枠(論理、ルール、責任)』を意図的に組み込む」というものです。

何かを強固にし、かつしなやかにするためには、あえて異質なものを混ぜ合わせる。これが、私たちが辿り着いた組織づくりの本質でした。

① メディア戦略における「8:2」の仕掛け

まずは前回のおさらいも兼ねて、分かりやすいメディアやデザインの話から。

私たちの公式Webサイトは、同業者やケアマネージャーさんが見る
「信頼の土台」です。
そのため、記載する情報は「カチッとした論理的な事業内容(8割)」で構成されています。
しかし、デザインまでガチガチのお堅いものにしてしまうと、冷たい印象を与えてしまいます。
そこで、全体のデザインには徹底して「温かみや優しさ(2割)」という異質な要素を混ぜました。

逆に、Instagramはどうでしょうか。
こちらは「会社の温かい空気感を伝える窓」なので、スタッフの日常や優しさといった「エモーショナルな共感(8割)」で構成しています。
しかし、ただの仲良し日記では仕事に繋がりません。だからこそ、
時折「プロとしての確かな専門性や事業所としての信頼(2割)」をピリッと効かせるのです。

100%の論理は人を遠ざけ、100%の感情は信頼を落とす。
異質な2割を混ぜることで、メディアは最強の営業マンへと変貌します。

② 「エンジニア×看護師」夫婦の衝突から生まれた基盤

この法則は、私たち夫婦の役割分担、そして「みがる」の現場ルールにも色濃く反映されています。

私は元々、難易度の高いタスクやシステム構築に向き合ってきたテクニカルエンジニアです。
一方で、妻は長年医療の現場で人と向き合い続けてきた看護師です。
事業を立ち上げる際、この「論理(夫)」と「感情(妻)」の視点の違いから、私たちは真っ向から衝突しました。

効率とリスク管理を重んじる私は、当初「業務フローやマニュアルは、すべて言語化してルール化すべきだ」と主張しました。
しかし、現場の最前線に立つ妻は、こう言って譲りませんでした。
「現場のケアを、ガチガチに言葉やルールで縛りたくない。必要なケアは人によって違うし、その日の空気や場面に合わせて、柔軟に決めていきたいから」

たしかにその通りです。
現場の直感や人への手ざわり感こそが、私たちの最大の価値であり、それをマニュアルで100%縛り付ければ「みがるの温かさ」は死んでしまいます。 しかし、私のエンジニアとしての視点も譲れませんでした。
すべてを「空気」や「個人の裁量」という曖昧なものに委ねてしまえば、
それは単なる属人的な危ういサービスになり、組織としてスケール(拡大)できなくなってしまうからです。

徹底的に話し合った末、私たちはひとつの答えに辿り着きました。
「現場のスタッフが『8割の個性と柔軟性』を最大限に発揮するためには、絶対にブレない『2割の強固な土台(ルール・大前提)』が必要だ」と。

現場の優しさを守るために、裏側の仕組み(バックオフィスや最低限の安全ルール)は、エンジニアの視点で冷徹なまでにガチガチに固める。
この「冷たくて論理的な2割のシステム」があるからこそ、現場は安心して「8割の温かいケア」に全力投球できるのです。

③ 「みがる」に込めた、自由と責任の法則

そして最後は、私たちが会社に込めた哲学の話です。

「みがる(身軽)」という社名には、スタッフにもお客様にも、重い荷物を下ろして身軽になってほしいという願いが込められています。
働き方においても、細かく管理するのではなく、
自らの裁量で動ける「身軽な自由(8割)」を最大限に尊重したいと考えています。

しかし、ただ縛りがないだけの状態は、自由ではなく「無秩序(カオス)」です。
私がエンジニア時代からずっと大切にしている考え方があります。
それは、「正しい自由というものは、責任ある選択によって支えられなければならない」ということです。

8割の自由を満喫するためには、その土台として「自ら考え、選び取る責任(2割)」という重りが必要不可欠なのです。
この2割の重りがあるからこそ、私たちは地に足をつけたまま、自由に、身軽に飛び回ることができます。

■ 医療・介護業界における最大の「異質」とは

完璧な円を目指す必要はありません。
少しだけ異質なものが混ざっている「いびつさ」こそが、大企業や既存の組織には出せない、スモールビジネス最大の武器になります。

実を言うと、医療・介護という専門性の高いこの業界において、
最大の「異質な2割」は、無資格・未経験のよそ者である「私自身」なのです。

業界の常識やしがらみを知らないからこそ、
忖度なしにガチガチの合理的なルールや仕組みを裏側で構築できる。
無知だからこそ、
この業界が長年「仕方がない」と抱えてきた我慢や、
ご家族や当事者に強いてきた忍耐に対して、
「もっと身軽(みがる)であるべきだ!」と堂々と叫び、
新しい当たり前を体現していくことができると考えています。

あなたのビジネスの「8割」を占めている強みは何ですか?
そして、それを安全に輝かせるための「異質な2割」は何でしょうか。

メディアも、組織も、働き方も。
この『8:2の法則』を意識するだけで、息苦しかったビジネスの景色が、
少しだけ風通しの良いものに変わるかもしれません。

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江原 靖人 | 生活支援・保険外看護 合同会社「みがる」 読んでいただきありがとうございます。もしこの記事が、あなたの心を少しでも「身軽」にできたなら嬉しいです。いただいたサポートは、より多くの方の重い荷物を下ろすための発信活動や、「みがる」の事業運営に大切に活用させていただきます!