逆さ火山
逆さ火山が噴火していたんですよ。
噴火口から細かい砂を噴き上げていたんです。
これはただごとではないと思いまして、
確認する必要があると思いまして、
だから裸足のまま外へ出ていったんです。
私の靴は汚れていたから。
世界に何が起きているのだろうと考えながら歩いていたんです。
横断歩道に差し掛かったので、渡ろうと思って、右を見て左を見て、
白い縞を歩き出したらそのシマウマが、むくりと起き上がってきたんですよ。
「これはツイているぞ」と思って。
サッとシマウマに飛び乗って。気分はカウボーイですよ。
これがパンダやパトカーだったらどうなっていたでしょうね。
シマウマだったのでツイてましたね。
これがおにぎりだったら乗れないですよ。
シマウマだったのでツイてましたね。
しばらく、走ったところで、ついに、現れたんです。
軒下にぶら下がったUFOが。
私は馬から降りて、叫びました。
「電波を止めろっ」
「私をコントロールするなっ」
UFOは下に向けて光線を出したかと思うと、
シマウマを吸い込んでしまいました。
シマウマだったのでツイてましたね。
シマウマが叫んだと勘違いしたんでしょう。
バカめと思いました。
シマウマを吸い込んだUFOはそのまま風鈴に化けました。
風鈴は電波の受信器なんです。
その後のことは覚えていません。
家に帰ったら逆さ火山の噴火はおさまっていたので、
これはツイているぞと思って、
噴火が止まっているうちに叩き割って、
中の砂を全部飲み干しました。
喉乾いてたんだよね。
すると私にみるみるパワーがみなぎってきて、
今しかないと思って。
「それで、彼を殺した、と。
分かりました。もう少しあなたのことを調べないといけないようです。
お医者さんに相談しますが、いいですか?」
調べない方がいいよ。
いや、調べてもいい。
私は病気でもかまいません。
でも、あの日、彼を許せなかった私まで病気だったことにはしないでください。
それには電波なんか関係ないんです。
