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裏側で支える人から#41

小坂「うむむ……」


ある日の婦人科病棟。小坂は悩んでいた。今度予定入院してくる患者さんが外国籍患者さんなのである。主治医の早川先生は長年の付き合いなのか話せているが、改めて入院となると難しいことが多い。


小坂「入院パンフレットは英語版あるからいいとしても、食事とか洗濯、売店に関しては日本語だけだしなぁ。」


中村「悩んでるみたいね」|* ॑꒳ ॑)ヒョコッ


小坂「師長、来週の予定入院患者さんなんですが……」


会議から戻ってきた師長に経緯から話す。


中村「ほぉほぉ。パンフレットは英語版で通じるとしても、ってことね。」


小坂「そうなんです。」


中村「じゃあ国籍は……英語圏ね。北川さん呼ぼうか。ええと、内線内線...」


小坂「北川さん……?」


患者さんの入院の日。この日は外来で診察をした後に病棟に上がってくる手はず。


小坂「緊張する...」



小坂もわからないなりに小さい地図を作ってみたり、普段日本語で案内していることを英語でまとめてみた。保育士をしている姉と従姉にも手伝ってもらった。


すると


北川「お疲れ様でーす。小坂さんはどちらに?」


小坂「……はい!」


北川「ここの病院で非常勤通訳をしてる北川悠理です。よろしくね。」


小坂「よろしく、お願いします...」


北川「患者さんは今からなんだよね?ある程度情報貰える?」


小坂はこれまでの治療経過や家族情報、主治医との関係について伝える。


北川「OK。観光客とかじゃなくて在留してる方なのね。ご主人が日本で働いてるからってことか」


小坂「そうですね。元々ずっと外来通われてて、ほんと軽い手術なんですが入院になって、って感じです。」


北川「だと病院1階の外来フロアは何度も来たことあるってことよね?わかった。」



数分後、エレベーターが到着し、患者さんと早川先生、旦那さんが到着。


早川「あ!悠理ちゃんや!久しぶりやんなぁ」


北川「久しぶり!どこまで話してる?」



早川「これからの治療計画とかいつ手術するとかそんな感じ。病棟の話はしてへん」



北川「だと小坂さん、普通に話す感じで話してもろて大丈夫です。同時通訳するので。」



小坂「わかりました⁝(ФДФ)⁝」



患者「この看護師さん緊張されてますね」(英語)



北川「そうなんです。〜さんが初めての外国籍患者さんみたいで」(英語)


小坂「では病室をご案内します。」




小坂「1日のスケジュールはこちらになります。術後は検査やリハビリが始まりますので適宜ご案内させていただきます。」



英語版パンフレットを読みながら説明を聞く患者さん。旦那さんも隣で覗き込みながら読んでいる。



小坂「次にこの病棟のことについてご案内します。こちらの地図をご覧下さい。今いる部屋がここになります。ちょうど向かいが女性用トイレで、食堂の中に自由に飲めるウォーターサーバーがあります。手洗い場はここになります。歯磨きも大丈夫です。」



小坂手作りの地図を楽しそうに見ながら話を聞いている患者さん夫婦。時折北川に話しかけているようだ。



北川「これは誰が作ったんですか、だって」



小坂「私と私の姉、従姉で作りました。初めて作ったので上手にはできませんでしたが…」



患者「Oh,really? Wonderful!!」



北川「これまでこんな可愛いもの見たことないって。良かったね(*'▽'*)」



小坂「ありがとうございます😊」





小坂「お食事に関しては制限ありますか?」



患者「乳成分アレルギーあるからそこだけかな。工場とかで使ってる分には大丈夫。」(英語)



小坂「わかりました。乳成分アレルギーですね。納豆などの日本食はどうですか?」



患者「大歓迎よ。毎日納豆食べていたもの。」(英語)



少し驚く北川と小坂。



小坂「承知致しました。」


翌日麻酔科医を務める伊藤万理華の説明にも北川が同席し、手術日を待つことに。


北川「もし通訳いなくて伝わるか不安な時は、消化器外科病棟看護助手の清宮レイちゃん頼るといいよ。相談室にも吉田綾乃クリスティーさんいるけど。」


小坂「ありがとうございます。」


落ち着いた頃、患者さんは小坂手作りの地図を片手に、病棟内を散歩しながら色々な場所を確かめている。自動販売機に普段飲み慣れている飲み物があったのか、安心した様子で何本も買っていたらしい。



その後無事手術は成功し、1週間で退院していった。小坂にとってはとても緊張感がある期間となった。


北川悠理
乃木坂市立総合病院の医療通訳担当で、市内にある大学で医療通訳の研究をしている研究者でもある。(准教授)清宮レイと同様、幼少期から家族の影響でアメリカと行き来しながら過ごしていたため、現地のフランクな会話のような通訳が特徴。


早川聖来
乃木坂市立総合病院婦人科ドクター。手術を伴う治療だけでなく東洋医学にも精通し、鍼灸師の資格も持つ。漢方を活かした負担の少ない治療を目指す。
北川とは年齢差こそあれ古くからの知り合いで、今回の患者さんの初期対応から共に担当している。

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