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【掌編小説】ネコ #せりふ三題噺

「…………ッカアァーッ! 風呂上がりのビールは最高だねぇ! これがまた美肌温泉の後だから尚更だぁ」

 短い黒髪の湿り気が、美肌を気にする女性らしさとそれに反するオヤジっぽい言葉を吐き、空いたグラスに二杯目を注ぐ。

「うん、温泉、気持ちよかったね」

 旅館の部屋で肩を並べて、大きな癖の髪を結わえて普段着ている少し窮屈なパジャマではない、浴衣の夜の熱ってた体をビールで冷やす、大人になった私たちの大人ならではの楽しみ仕方を味わっている。

「お料理も美味しかったし、露天風呂からの星空も素敵だったね」

「ああぁ〜……あと一年ちょっとで卒業かぁ」

 グラスのビールを半分ほど飲み、床に後ろ手をつき思い出を仰ぎ見る着崩れた浴衣の薄桜色に染まった首筋に目がいってしまい、それを誤魔化。

「来年の今頃は色々と大変な時期だもんね」

「卒業後どうしてるかなんて全然想像できないや、今わかることは、今回行けなかった猫旅館に行ける事くらいかな、まさか半年以上まで予約一杯だったとはね」

 手首を曲げての猫真似をしておどけて見せる彼女、そう、猫好きの私たち二人は猫で有名な旅館に行く予定だったのだけれど。

「ビールのあてに猫欲しいなぁ、肉球プニプニしたいなぁ、ネコ耳嚙みたいなぁ」

「おヒゲもいいよね、シャワシャワしたいね」

 ビールで赤らんだ顏の細めた目の含み笑いでにじり寄り、頬を撫で唇を寄せてくる、アルコール混じりの息と手のぬくもりが伝り、顔を背けるもこの強引さには勝てず冷めてきた体がまた火照り始める。

「ちょ……ちょっと……もう酔ってるの……?」

「ヒゲもいいよねぇ〜、ヒゲと言えばまずは代表格の鼻の横の一番長い上唇毛……上に上がって目の上の眉上毛、再び下に下がって、唇の端の際どい部分の口角毛、さらに下がって敏感な顎下の下唇毛、そして極めつけは、人で言えば耳の下の部分にあたるのかな? 頬骨毛、ここが最高でこれしか勝たんのだよ、私のかわいいネコちゃん」

 今日もまた押し流された長い夜が始まっていく。


参加させてもらいました! せりふ三題噺!!

■セリフ
 「これしか勝たんのよ」
■三題
 ・温泉
 ・パジャマ
 ・頬骨

 最初、頬骨を鎖骨だと思い込んでしま書き終えた後で、他の方の作品を呼んで、……あれ?……と焦りました、頬骨とはまたマニアックな……(お前が言うな)、でもまた一つ、マニアックな知識を得られました✨
 頬骨毛を見つけた時、これは使わなければ!! っと😃
 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました🙇 こういうのを自分みたいなのが書いて大丈夫かなと、変な不安を拭えない事をここに記します。


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