魚の出す音について
魚が出すユニークな「音」、特に大きな音を出す魚のエピソードと、その音が人間社会でどのように利用されてきたかについて、詳しくご紹介します。
海の騒音メーカー!人間には聞こえにくい「魚の叫び」の秘密と利用法
魚は静かに泳いでいると思われがちですが、実は多くの魚が様々な音を出してコミュニケーションをとっています。中には、人間の生活にも影響を与えるほどの大きな音を出す「海の騒音メーカー」もいます。
1. 海底から響く「唸り声」:イシモチとニベの群れ
最も有名な「鳴き魚」は、日本でもよく釣れるイシモチ(石持)やその仲間のニベです。
音の発生源: これらの魚は、体内の浮袋の周りにある特殊な筋肉を振動させることで、「グーグー」「ブー」あるいは「ギー」といった連続音を出します。
「夜の合唱団」: 特に産卵期や夜間の群れが集まる時、これらの魚が一斉に音を出し始めると、その音は海底から水上まで響き渡ります。静かな海域では、漁船の船底を通して、まるで「大きなカエルが唸っているような音」や「モーターが回っているような音」として聞こえることがあります。
通信手段: この音は、主に群れの集結や産卵の同調に使われていると考えられており、彼らにとっては非常に重要なコミュニケーションツールです。
2. 関西以西の珍魚:グンギョ(軍魚)の「叩き音」
アコウダイやカサゴの仲間にも音を出すものがいますが、グンギョ(軍魚)という魚は、特にユニークな音を出します。
音の発生源: グンギョは、硬いエラ蓋や咽頭歯(のどの歯)をこすり合わせたり、浮袋を叩いたりして、「コンコン」「カチカチ」といった、まるで木や石を叩くような音を出します。
用途: この音は、主に縄張りの威嚇や、捕食者に対する警戒信号として使われます。
3. 魚の音は人間社会にどう利用されたか?
魚が出す音は、古くから漁師たちにとって重要な情報源でした。
漁業での利用(魚群探知の原型): 昔の漁師は、水中に耳を近づけるなどして、イシモチなどの「鳴き魚」が発する音を聞き分け、魚群の有無や規模を判断していました。これは、現代の魚群探知機が発達する前の、原始的な魚群探知法と言えます。音が聞こえる場所を狙えば、効率的に漁を行うことができたのです。
軍事・海洋調査への影響: 現代では、水中マイク(ハイドロフォン)を使った海洋調査で、魚の出す音は重要な研究対象となっています。特に大規模な群れが発する音は、ソナー(音波探知機)のノイズとなることがあり、軍事目的や地質調査など、人間が水中から情報を得る際の「騒音源」としても認識されています。
このように、魚たちの「おしゃべり」は、彼ら自身の生存戦略であると同時に、私たちの海の利用にも深く関わってきたのです。
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