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micosirop
【34】 仲直りみたいな、いつもの海 | どうしようもなく、どっぷり浸かった恋の話
夜、久しぶりに会うことになった。
『空いてる?』
『いけるよ』
久しぶりの短いやりとり。
家の近くまで、迎えに来てもらっていた。
なぜか身支度に時間がかかって、
慌てて家を飛び出した。
友達と散歩中の親とすれ違う。
「あ、さっきそこで待ってたよ、彼氏?」
友達のおばさんに聞かれた。
「あー、そんな感じ…かな」
笑って誤魔化した。
「若いのはいいなぁ」
冷やかされながら、通り過ぎた。
その先で、
スマホを片手に車にもたれかけて、待っていた。
やけに絵になる姿に、
最初に会った日のことを、少し思い出した。
「ごめんごめん」
「おぅ」
「さっきの、親と友達」
「まじで、今から行けるん?」
「いけるいける、行こ」
少し笑って、そのまま車に乗り込む。
「海行こか」
久しぶりと言っても、1週間ぶり。
それでも、私たちには久しぶりだった。
お互い別れてから、初めて。
さっきのやりとりで、
少しだけ空気が和らいでいた。
コンビニでホットコーヒーを買う。
夜の海は静かで、
何も変わっていなかった。
並んで歩く。
「寒ない?」
「ちょっと寒い」
そう言って、手をつないだ。
そのままポケットに入る。
前と同じやのに、少しだけ遅れて馴染む感じがした。
波の音だけが続いていた。
しばらくして、2人で座る。
海を見ていた。
「やっぱ寒い」
腕を組んだ。
少し温まる感じがあった。
何も話さないまま、時間だけが流れる。
「キスしていい?」
初めて聞かれた。
「え…、なんで…」
「なんか…、初めましてかなって」
少しだけ間があって、
気づいたらもう、
触れていた。
離れて言った。
「これやわ」
小さく笑う。
「初めましてじゃなかった」
「…はいはい。で、明日はどうする?」
そのまま、夜は普通に続いていった。
なんか、仲直りをした気分だった。
🎵 愛とか恋とか / Novel bright
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