教えて/ [夏休み]シロクマ文芸部
<夏休みゆっくり過ごしてください>
机の上に置かれた用紙。
〈離婚します〉ではなかったことにほっとする。
仕事を頑張って家族の生活を守るんだと思っていた。
少しでも収入を増やして家族のやりたいことができるようにしてやる。それが俺の役目だと思っていた。
だが、夏休み前に他の社員は家族で帰省するだとか旅行するだとか楽しそうに話をしている。最後に家族と出かけたのはいつだっただろうか。
翌日の夕方、玄関が開けられる音がして息子が大きな箱を抱えて帰ってきた。
「ごめんね、もうすこしゆっくりする時間つくってあげたかったんだけど」
妻が言う。
「だって、ママいつも言ってるよね、分からないことは聞きなさいって。パパはプラモデル作るの上手なんでしょ?」
手にしたプラモデルの箱を俺に見せながらいう。
俺は息子の頭を撫ぜてやりながら妻に言った。
「俺に、教えてくれないかな。家族との過ごし方を」
妻は驚いた表情をしてから笑った。そしてうなずく。
俺も、笑っていた。
こちらの企画に
参加させていただきました。
小牧幸助さん
ありがとうございます。
見出しイラストはぽてさんに描いていただきました
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