妖精さん/ [風が吹く]シロクマ文芸部
風が吹く。私はそれを待っていた。
今日、この日に強い風が吹く。
私は親友のマリナに場所を指定して立ってもらった。
服はワンピース、腰までの髪は何もせずに垂らしてもらっている。
マリナは私のお願いをにこやかに笑って聞いてくれた。
風が吹いた。
マリナは私がお願いしていたように少し顔を上げ、両手を前に開いてくれる。
そのそばをタンポポの綿毛が風に舞っていく。
私はカメラをかまえる。
シャッターをきる音だけが響いた。
風がやんでマリナが私のそばに来た。
「とれた?」
のぞき込んでくるマリナ。
「うん、ありがとう」
私はマリナに抱きついた。
まるで妖精のような彼女に会ったときから彼女をモデルに写真を撮りたかった。
このシチュエーションでとりたかった。
たんぽぽの綿毛に囲まれたマリナの写真。
「あのね、今度はタンポポ畑の真ん中でとりたいんだけど」
私はマリナに話しかける。
「付き合うわよ。あなたは私を妖精にしてくれるんでしょ」
対となった写真は私の代表作となった。
了
こちらの企画に
参加させていただきました。
小牧幸助さん
ありがとうございます。
見出しイラストはぽてさんに描いていただきました
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