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指先が静かになるまで│ 夜に小さく灯る言葉


夜になると、

なぜか折り紙を触りたくなることがある。


祈りなのか、

鎮魂なのか、

それとも、

ただ細かい作業がしたくなっただけなのか。

理由は、自分でもはっきりしない。


正方形の紙を一枚取り出して、

折って、戻して、

また折る。


決められた順番をなぞっているだけなのに、

頭の中は、少しずつ静かになっていく。



羽根の先が、

ぴん、と揃うと気持ちがいい。

嘴がまっすぐ立つと、

「よし」と小さく思う。


同じ折り方のはずなのに、

出来上がる鶴は、一羽ずつ違う。


羽根が太めだと、

なんだか、ころんとして可愛い。

少し不格好だけれど、

手の中に収まる感じがやさしい。


羽根が細いと、

すっとして、凛として見える。

首が長めで、

少し遠くを見ているような顔になる。


どちらが正解、というわけでもない。

太い羽根も、

細い羽根も、

その折り目の癖が、そのまま残っているだけ。


途中で、

左右がずれてしまうこともある。

折り目が甘くて、

思ったより嘴が短くなることもある。


それでも、

やり直さない。

紙を広げ直して、

完璧に折り直そうとはしない。


少し歪んだままのほうが、

指先の感触が、

ちゃんと残っている気がするから。


祈りかどうかは、

決めなくていい。

誰かのためか、

自分のためかも、

無理に分けなくていい。


折っているあいだ、

今日のざわつきが、

紙の中に

一つずつ畳まれていく。


何かを願わなくても、

何かを背負わなくても、

ただ手を動かしているうちに、

指先のほうが先に静かになる。


並べてみると、

同じ大きさの紙なのに、

どれも少しずつ違っている。


それぞれに個性があって、

それぞれが、

ちゃんとそこにいる。


今夜は、

答えを出さなくていい。

意味をまとめなくていい。


折り終えた鶴を、

机の端にそっと置いて、

今日も一日、

ここまで来たことを認める。


おやすみなさい。


指先が静かになるまで、

それで、十分な夜🌙


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