入学式の養殖。初対面編
俺は初めて一年生と呼ばれる者になった時に出席番号順に並んだ女の子と手を繋いだ。正しくは繋いでねと言われててそうした。だから繋ぎたかったわけじゃなかった。別に嫌でもないけど、入学式で大人が決めた形式だ。肩の凝るスーツもネクタイも父と母が買って持ってきて、似合う似合う、かっこいいよ!とちやほやしてきて着て欲しいのが見え見えだった。少しこそばゆいが着るのが正解だ。俺こんなの好きじゃねえし、と、いつものだるんとした黒いスウェットや気に入ってる赤いパーカーを着てはいけないのは悟った。記念撮影もした。笑顔笑顔!もっと真ん中に寄って!俺は写真が嫌いだ。早く帰りたい。人の注目が嫌いだ。でも今日は俺たちの為に開かれた大事な式なんだ。
なんだよ、ここ。幼稚園の半ズボンも嫌いだったけど。だって冬だろ?なんで長い靴下をはくのか?とか。白だし。ベレー帽も小学校になったら2度と生きてる限りかぶんないからなっ!でもみんな嬉しそうなんだ。どこをみてもそんな顔してるんだ。なんかいらいらするな。
何着てても手を繋がされても俺は俺だからな。なんで手を繋ぐんだろうね?と隣の女の子がそこで初めて声を出した。初めて会った人とこんなに長く手を繋いだのは初めてだよ。と後ろから声がした。ざわざわと声が広がり先生が口に一本指をあてる。お互いの目を見ながら前を向く頭は一瞬で動きが揃った。先生は少し残念そうに下を向いた。すぐに、口を三日月の形にしてどこも見てない目で、笑う。
