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夜桜系男子

でも貴方には私が似合うね。
花の香りの遊歩道を自転車で通り過ぎた。見上げた先は白く濁っていて香りがなければ目に留めなかっただろう。
目的地は居酒屋。今夜は送別会だ。
大学を卒業する先輩たちと気軽にお酒を飲めるのは最後だ。もうこれ以上は飲まなくてもいいくらい夜ばかり会っていた。あの頃ビールを飲んでいたのか。17歳だった気もする。もうあの店を辞めて10年、帰郷した時通ったら、もう跡形もなく消えてしまっていた。確かにあの日、夜風の中で桜の匂いをかいだ。そして隣の自転車の誰かとその話をしていた。あの時確かにここに居た。ライトアップされた桜の下でキラキラしたメイクを放つ恋人が少し笑う。スマホでシャッターを切る。桜と恋人が私を見てと熱を伝えてくる。顔を上げて花の隙間の空を探す。
桜ばかり見てないで!腕を引かれて
プラスチック容器に入ったワインを出す停車中の車へ歩き出す。

でも貴方には私が似合うね。
花びらはころころと歩く人たちの足元で踊った。

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