Googleが公式でここまでやる時代に、AI屋は何を売るのか
Googleが、AIでビジネスプロフィールを操作できる機能を正式に出しました。2026年6月のことです。
これを知ったとき、正直ちょっと焦りました。
私の商売は、小規模なお店のAI活用のお手伝いです。Googleのお店情報を整えたり、口コミが集まる仕組みを作ったり。
そこにGoogle本体が、公式のAIで入ってきた。「うちの仕事、なくなるのでは」と思いました。
なので、自分が運営に携わる店で、実際に試してみました。
結論から言うと、考えが変わりました。
■ 何ができるのか:まず触ってみた
やり方はシンプルです。gemini.google.com を開いて、自分のビジネスプロフィールをつなぎます。
あとはチャットで「@Google ビジネス プロフィール」と指定して話しかけるだけ。
最初に打ったのは、これです。
「最新のクチコミに対する返信の下書きを作成して」
驚いたのは、口コミの本文をこちらが貼っていないことです。
Geminiが自分で店の口コミを取りに行って、それに対する返信案を出してきました。コピペ作業はゼロです。
しかも、★5の英語の口コミに対しては、英語の返信案と、その日本語訳まで付いてきました。
質は、高いです。ここは正直に書いておきます。手直しするところは、ほとんどありませんでした。
■ ただし、投稿はしてくれなかった
ここからが、この記事でいちばん書きたかったところです。
返信案を出したあと、Geminiはこう続けました。「返信するには、こちらのURLから」と。
つまり、下書きまで。
実際に投稿するのは、オーナーである自分が、自分の手でやる必要がありました。
これ、公式のヘルプには書いていません。触って初めて分かったことです。
Googleほどの技術力があれば、投稿まで自動でやらせるのは簡単なはずです。
でも、やっていない。
返信は、店の言葉だからだと思います。
■ 条件は、けっこう厳しい
もうひとつ、触る前に知っておいたほうがいいことがあります。利用条件です。これは公式ヘルプに明記されています。
・オーナー確認済みのビジネスプロフィールを、1つだけ持っている人に限る
・個人のGoogleアカウントであること(仕事用・学校用のアカウントは不可)
・複数のプロフィールを管理している人は使えない
つまり、2店舗目を出した瞬間に使えなくなります。会社のアカウントで運用している場合も対象外です。
日本語には対応しています。料金については公式に記載がなかったので、「無料です」とは書かないでおきます。
■ 私の線引きが、これで決まった
この体験で、自分の商売の線が決まりました。
AIが書くかどうかではなく、「中身が誰のものか」で決める。
たとえば、お客様にアンケートに答えてもらって、その回答をもとに口コミの下書きを用意する仕組み。これは作っていますし、これからも売ります。
中身は、お客様が実際に感じたことだからです。AIがやっているのは「文章にするのがめんどくさい」を肩代わりする部分だけ。
逆に、口コミ返信の自動化。これは作りません。
技術的には作れます。むしろ簡単な部類です。
でも、返信の中身は、AIがお客様の気持ちを推測して書いたものになります。店の言葉ではない。
Googleでさえ、そこは人間の手に残していました。
自分が取っていい仕事ではない、と思っています。
■ ついでに気づいたこと:機能があっても、使われていない
検証のついでに、自分の店のプロフィールをあらためて見直しました。
電話番号が、登録されていませんでした。
AIの仕事をしている人間の、自分の店で、です。
Googleは前から「プロフィールの強度」という表示で、不足している項目を教えてくれています。誰でも見られます。
でも、見ていなかった。
「機能がある」ことと「使われている」ことは、まったく別だと痛感しました。
今回のGeminiの新機能も、たぶん同じです。使える条件の人でも、そもそも開かない。
■ AI屋は、何を売るのか
Googleが公式でここまでやるなら、「作業」は売り物になりません。営業時間の入力代行も、返信文の代筆も、いずれ値段がつかなくなると思います。
残るのは、判断のほうです。
何を書くか。どの写真を選ぶか。何を自動化して、何を人間の手に残すか。
AIが強くなるほど、売り物は「作業」から「判断」に移る。
それでいいと思っています。作業が減るのは、単純にありがたいので。
■ まとめ
・2026年6月、GoogleがGeminiとビジネスプロフィールの連携を正式提供。自分の店で実際に試した
・口コミ返信の下書きは自動で作れる。こちらが口コミを貼る必要もない。英語の口コミには日本語訳付き。質は高い
・ただし投稿はオーナー自身の手。Googleでさえ「店の言葉」は人間に残していた
・条件は厳しめ。プロフィール1つのみ・個人アカウント限定で、2店舗目を持つと使えない
・私の線引きは「AIが書くか」ではなく「中身が誰のものか」。返信の自動化は作れるけれど、作らない
この連載の前作はこちらです。
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