「指示型」から「支援型」へ。リーダーが変われない本当の理由
「部下の自主性を伸ばしたい」「指示待ちのチームを変えたい」
管理職研修の場で、こうした課題を口にするリーダーは本当に多いです。
しかし、現場で実際に指示型から支援型へ変われるリーダーは、
決して多くありません。
なぜでしょうか。
研修講師として数多くのリーダーと向き合ってきた中で見えてきた、
3つの本当の理由をお伝えします。
理由①:指示型は「成功体験」だから
多くのリーダーは、プレイヤー時代に高い成果を出し、
その延長線上でマネジャーに昇進しています。
つまり、今のほとんどのリーダーにとって
「自分で判断し、指示を出し、結果を出す」というスタイルは、
これまでの人生で一番うまくいってきたやり方なのです。
現に私自身も、コーチングを学ぶ前は、
指示型バリバリでやっていました。
それまでの上司のほとんどが指示型だったので、
それを踏襲するしか方法を知らなかったから。
支援型リーダーシップに切り替えるということは、
その"成功の型"を一度手放すということ。
頭では必要性を理解していても、
感情的には手放しがたいものがあります。
私の場合は、指示型で手痛い失敗をしたことを
きっかけにコーチングを学んだことが、
手放すきっかけになりました。
理由②:問いかける余裕がない
支援型リーダーシップの基本は、
答えを与えるのではなく、
問いを投げて相手に考えさせることです。
しかし、
多くの現場のリーダーはプレイングマネジャーであり、
日々の業務に追われています。
部下に問いかけ、相手が考える時間を待つよりも、
自分で答えを言ってしまったほうが早い。
こう思っているリーダーは多いです。
支援型リーダーシップが根づかない最大の壁は、
スキル不足よりも、この時間的・心理的な余裕のなさにあると
感じています。
理由③:変化を部下が望んでいるとは限らない
意外と見落とされがちなのがこの点です。
指示型のマネジメントに慣れてきたメンバーにとって、
急に「あなたはどう思う?」と問いかけられることは、
心地よいことばかりではありません。
「指示してくれたほうが楽」
「自分で考えるのが不安」
と感じるメンバーも一定数存在します。
まずは自分で考える習慣を身につけてもらうこと。
そして自分で考えることのメリットを感じていただくこと。
そのためには、リーダーの質問と承認が欠かせません。
「○○さんは、どうするのが一番いいと思うの?」
「いい考えだと思うよ」
1日1回そういう会話ができたら、
1ヶ月で20回、1年で240回です。
習慣にするには回数を重ねることが必要不可欠です。
変わるための、最初の一歩
支援型といっても
「すべての場面で支援型に切り替える」わけではありません。
マネジメントには、指示命令、ティーチング、アドバイスなど
場面に応じて必要な関わり方があります。
まず、部下に考えさせた方が成長につながるという場面を
探してみましょう。
そして、1日1回、1つの場面だけ、
「指示する前に、ひと呼吸おいて質問してみる」ことです。
質問も、日々の業務の中で"使える"ようになるまでには、
リーダー自身のスキルアップも必要です。
また、小さな成功体験の積み重ねが必要です。
いきなり完璧な支援型リーダーを目指すのではなく、
「今日はこの1つだけ」という小さな行動目標を
積み重ねることが、結果的に一番の近道になります。
まとめ
指示型から支援型へリーダーが変われない理由は、
● 指示型がこれまでの成功体験であること
● 問いかける時間的・心理的な余裕がないこと
● 部下側も変化を望んでいるとは限らないこと
の3つです。
支援型リーダーシップは、
知識として理解するだけでは身につきません。
小さな行動の積み重ねと、チーム全体での対話の中でこそ、
少しずつ根づいていくものだと感じています。
