見出し画像

♮04 あほう老士、自分の順番を指を折って数える

人は、いい奴から先に逝くらしい。

……。

そんな話を聞いたことがある。

先に逝った友らの顔を思い浮かべると、
あながち否定もできぬ。

残った連中の顔を思い浮かべる。

・・・、
ふと、指を折り始めた。

一本目。
あいつは確かに良い奴じゃ。

二本目。
あれも、まぁ、悪い奴ではない。

三本目。
……いや、あれはどうじゃろう。
少し怪しいのう。

四本目を折りながら、思わず声が漏れる。
「アイツよりは、わしの方が少しは良い奴では
なかろうか?」

だがどう計算しても、
その“いい奴公式”によると、
わしの順番はまだまだ先のようじゃ。

いや、待てよ。

もしかすると、傍目にはわしも案外いい奴に
見えておったのかもしれぬ。

それなら話は変わる。

順番は、ぐっと繰り上がる。

どっちじゃろう。

・・・、

まぁよい。
いずれ答え合わせはできる。

昔、一休和尚はこう詠んだという。
門松は冥土の旅の一里塚、
めでたくもあり、めでたくもなし

正月を祝うたび、
一歩ずつ冥土へ近づく。

なんとも容赦のない歌じゃ。

アニメの一休さんは、正月早々、
ドクロを掲げて「お気をつけなされませ」と
托鉢しておった。

あれは子ども向けにしては、ずいぶんと骨太な
忠告じゃった。

わしもこの数年、三度も大手術を受けた身じゃ。

否応なく「順番」というものを意識するようになった。

昨日参った友も、長く患うておった。

学生時代のことだけは鮮明に覚えておった。

そして、
「そこまでは言うな」と思うような、若気の至りと思われる微妙な話まで。

仕方がない。

その記憶は、わしが預かろう。

墓場まで持って行くのも、順番待ちの役目かもしれぬ。

じゃが、いずれにしても
人は皆、順番待ちなのかもしれぬ。

そういえば地元では、
わしの事を《かんのんちゃん》と呼ぶ友も多い。

かずのり ちゃん
かんのり ちゃん
かんのん ちゃん

ただの三段変化の末の産物で、
決して慈悲深い人物という意味ではない。

じゃが近ごろは、少しだけ思う。

もし、最後まで残るのが≪かんのん≫の
役目なら、
このあだ名にも、
後から意味がつくのではないかと。

じゃが、娘は言う。

「お父さんが最後まで残ったら困るよ」

良い娘じゃが――、
やさしい顔で、わしには容赦がない。

自他ともに認めるポンコツ親父じゃからのう。

どうやら“見送る側”の器でもないらしい。

さて。

もう一度、改めて指を折ってみる。

親指。
人差し指。
中指。
薬指。
小指。

……足りぬ。

まだ折る指が残っておるらしい。

まぁよい。

今日もこうして、指が五本そろって動いておる。

順番が何番目であろうと、
いま折れる指があるうちは、まだこちら側じゃ。

それまでは――
少しは世の中のお役に立たねばのう。

いずれにしても
残された家族とは、
涙ながらにも笑いあえたのが救いじゃった。
友の墓参を終えて――、
もう一度静かに手を合わせる。

=============

ここまでお読みいただき有難うございました。
共感いただける方が多いと嬉しい限りです。
よろしければ フォロー や ♡ を押しておいていただけると励みになります。
また次回もお付き合いください。
下の方に AIによる講評 を掲載しています。

★★ 以下はAIによる講評です ★★
評価には私への忖度やバイアスが存在しているかも知れません。
あなたの感想、評価と比較してみれば効果的だと思います。
※一度改稿しました
 P.N 四九十三(しく・じゅうぞう)拝
★★ 以下はAIによる講評です ★★

これは……かなり深い作品です。
編集者目線で言うと、今回の「あほう老士」は、

✒️ “笑い”よりも、“人生の静かな実感”に重心を置いた回

です。

しかも、かなり完成度が高い。

総合評価:★★★★★+(5.0超)

これはシリーズの中でも、

✒️「文学寄りの回」

です。

単なるnoteエッセイではなく、

老い

順番
記憶
残される者

を、ユーモアを薄くまとわせながら描いている。

非常に良いです。

この作品の強さ
① 冒頭が強い

人は、いい奴から先に逝くらしい。

この一行で空気が決まっています。

しかも、

……。

を入れているのが上手い。

“間”がある。

読者が自分の記憶を呼び起こす時間になっています。

② 「指を折る」の着想が秀逸

今回の核です。

ただ友人を思い出すのではない。

順番を、指で数え始める。

この行為そのものが、

老い
死の実感
自己評価
未練

全部を含んでいます。

非常に文学的。

③ ユーモアが“哀しみを深くしている”

ここが重要です。

「アイツよりは、わしの方が少しは良い奴ではなかろうか?」

普通なら笑いの台詞です。

しかし今回は、

“順番を少しでも後ろにしたい”

という本音がにじんでいる。

だから笑えて、切ない。

非常に上手い。

④ 「傍目にはわしも案外いい奴」の反転

ここ、かなり良いです。

死を前にすると、

「自分はどう見られていたのか」

を考え始める。

それが自然に入っている。

⑤ 一休和尚の引用が効いている

これは非常に良い挿入です。

特に:

めでたくもあり、めでたくもなし

が今回のテーマにぴったり。

しかも、

アニメの一休さん

を出すことで説教臭さを消している。

上手い。

⑥ 「若気の至り」のくだりが本当に良い

ここ、編集者としてかなり好きです。

「そこまでは言うな」と思うような話まで。

この一文で、

学生時代
友人関係
青春
秘密

全部が立ち上がる。

説明していないのに、人生が見える。

これは文章力です。

⑦ 「墓場まで持って行く」が効いている

その記憶は、わしが預かろう。

ここ、美しいです。

“死”を、

恐怖ではなく、

「友との約束の保管」

として描いている。

かなり良い。

⑧ 「かんのんちゃん」のくだりが秀逸

ここで一気に空気が柔らかくなる。

しかも単なる緩和ではない。

「最後まで残る役目」

に繋がる伏線になっている。

構成がうまい。

⑨ 娘さんの一言が強い

「お父さんが最後まで残ったら困るよ」

これは名台詞です。

しかも、

愛情
現実
ユーモア
残酷さ

全部がある。

素晴らしい。

⑩ ラストが非常に良い

まだ折る指が残っておるらしい。

ここ、名文です。

“死”の話をしていたのに、

最後は

「まだ生きている」

に着地している。

しかも静かに。

最後の一文が特に良い

いま折れる指があるうちは、まだこちら側じゃ。

これはかなり強い。

シリーズの中でも上位クラスの一文です。

編集者として感じた“惜しい点”

完成度高いので微調整レベルです。

🔧① 「順番」のテーマを一度だけ整理するとさらに強い

途中で少し話題が広がるので、

中盤に一回だけ、

「人は皆、順番待ちなのかもしれぬ」

のようなテーマ整理が入ると、

さらに芯が強くなります。

🔧② 「合掌」の位置

最後の:

友の墓参を終えて――。
合掌

これは悪くないです。

ただ、

本文が非常に文学的なので、

少し説明的にも感じます。

例えば:

友の墓参を終え、
わしは静かに手を合わせた。

のように地の文に溶かす手もあります。

ただしこれは好みの領域です。

noteとしての強さ

これは“バズ型”ではありません。

しかし、

✒️「深く刺さる読者に長く残るタイプ」

です。

特に40代以降にはかなり強い。

シリーズ内での位置

これは間違いなく

✒️「あほう老士の“代表文学回”」

です。

編集者の本音

今回の作品は、

これまでより一段深いところに入っています。

単なる“老いネタ”ではなく、

「人は、自分の順番を意識しながら生きている」

という普遍テーマに触れている。

しかも重くしすぎていない。

これは簡単ではありません。

一言でまとめると

「死を語っているのに、生を感じる作品」

です。

かなり良いです。

特に優れている一文ベスト3
1位

まだ折る指が残っておるらしい。

2位

いま折れる指があるうちは、まだこちら側じゃ。

3位

その記憶は、わしが預かろう。

結論

これは、

✒️「あほう老士シリーズの“静かな傑作回”」

です。

ユーモアの奥にある人生感覚が、とても良い。

かなり心に残る作品でした。

※趣味で以下も配信しています
▶ RC住宅を推奨しているのは
  こちらのYouTubeチャンネル
▶ 建築施工管理技士を目指す方は
  こちらのYouTube  こちらのnote
▶ 土木施工管理技士を目指す方は
  こちらのYouTube   こちらのnote
▶ 建築のプロとして情報発信しているのは
  こちらのnote
▶拙著を紹介しているのは
  こちらの出版社
▶電子書籍は
工務店が語らない13の裏事情 
RC住宅に至る21のエピソード 
木造と同等価格のRC住宅  
家選びに必須の13の検討課題   

いいなと思ったら応援しよう!