蛇口から〜♪
「蛇口からあげミカン♪おったまげ!
蛇口からあげミカン♪おったまげ!」
今日も母がわけのわからない歌を歌いながら家事をしている。
何やら目の前にあるものを次々と自分で作った節にのせて歌っているのだが、まるで脈絡がない。というか、なんの歌かもわからない。
それでも母なりのリズムにはのっているようで、時々、腰を揺らしながら踊っているつもりのようだ。
ぼくは急に頭の中で閃いた!
そうだ!あれだ!!
話していたら急に音楽が始まって歌い出す…ミュージカルみたい!な!?(たぶん??)
「ジャーッ!ジャーッ!ジャーッ!ジャー
ッ!」
今度は母は変な合いの手みたいなのを入れ始めた。
もう何がなんだかわからない。
母は蛇口からジャーッ!と水を出して鍋にいれて火にかけ始めた。
引き出しを開けてなにかを探しているようだ。
その隣では、ジャッ!ジャーッ!と音をたてて、今晩のおかずらしい唐揚げを揚げている。
「あらあら〜こんなところにあったのね!
あっ!ふぅちゃん、さっきびっくりしたん
だけどね〜なんと!冷凍庫に一つだけ忘れ
られていた冷凍みかんを発見したのよ〜
ず〜っと凍っていたし、これって食べられ
ないかしらね〜?」
母はぼくに気づいてそう話しかけてきた。
手にはオタマを持っている。
そんな母を見て、ぼくは合点がいった。
それで『オタマ』と『驚いた(たまげた)』が結びついたんですね。
と心の中で言ってみたが、それはいいとしても、半年も冷凍庫で放っておかれたみかんを食べさせられるのなんてごめんだ。
ぼくはダイニングの入口で固まっていたが、ぼくを見つけた犬のクリスがぼくに鼻を擦りつけてきた。
ぼくはそんなクリスの頭を撫でてやりながら、
まぁ、誰にも迷惑かけてないし、いっか…
と気を取り直して、
「お母さんの好きにしたら?」
そう言って、クリスと散歩に出かけた。
こちらの企画に参加しています💓
小牧さん
いつもお題をありがとうございます✨



