キレてないですよ! inインド
小心者旅行(15)
さすがにキレたよ。
ブッダガヤ編
キレちゃった度 ★★★★★
登場人物
・ 小シン → タイガー・ジェット・シンの小型版英語にはうるさい
・ 子分 → 何か子分っぽいだけ。すぐチ○コ出す。
・ 小ブッチャー → 宿の人?。エセ医者?。
2004年7月19日(月)
インドの聖地ブッダガヤ、異国情緒あふれるこの地で、僕は昨晩から体調を崩していた。
今は幾分良くなったかな?
しかし、このままではエネルギー不足。
「食べないと…」
僕はゾンビのような足取りで、1階の食堂へと向かった。
ダールとチャパティを口に運びながら、早くアイツラ何とかしたい、この地獄絵図から脱出したいと切に願った。
しかし、神様は僕を見放したらしい。
再び、あの2人組が僕の部屋に現れたのだ。
シン「体調はどうだ?」
彼らの問いかけに、僕は心の中でため息をついた。
正直、「ほっといてくれればすぐに治る!」と叫びたかったが、大人の対応として「少し良くなったよ」と答えた。
すると、小柄な男、通称「小シン」が、ぬめっとした手で僕の額に触れてきた。
ちょっと気持ち悪い。
シン「熱がある!医者を呼ぶぞ!」
頼むから、僕のパーソナルスペースを侵略しないでくれ。
静かになりたいだけ!
そう心の中で叫んだ時、救世主が現れた。
宿の人が体温計を持ってきたのだ。
しかし、その風貌は、伝説のプロレスラー、アブドーラ・ザ・ブッチャーのミニチュアオッサン版。僕は彼を「小ブッチャー」と名付けた。
狭い部屋に3人のインド人が集結し、異様な熱気に包まれる中、検温の結果は37.2度。
僕は「大丈夫だ」と言ったが、小シンは「この体温計は赤ちゃん用だ!」とわけの分からない主張し、さらに「この人は医者だから50ルピー払え」と言い出した。
早くこのカオスから解放されたかった僕は、仕方なく50ルピーを支払った。
小ブッチャーは、まるで勝利を収めたレスラーのように、満足げに部屋を出て行った。
体温を測っただけで50ルピー稼ぐとは…
僕は呆れながらも、ようやく訪れた静寂に安堵した。
しかし、一時の平和もつかの間、今度は子分が「何か日本のものをくれ」と言い出した。
小シンも「君のためにバイクで送ったり、宿を紹介したんだぞ」と畳み掛けてくる。
最後に小シンが
「You are crazy!」
僕はついに堪忍袋の緒が切れた。
「Get Away!!」出てけ!
我ながら驚くほどの大声が出た。
小シンは、まるで貞子に遭遇したかのように、後ずさりながら逃げていった。
子分も「ジョーク、ジョーク」と言いながら退散した。
部屋に静寂が訪れ、僕は自分の豹変ぶりに戸惑った。
体調が万全であれば、もう少し優しく対応できたかもしれない。
そう思いながら、僕は疲れ果てて眠りについた。
午後3時頃、目が覚めると体調が回復していた。
リハビリも兼ねて、僕は「地球の歩き方」に載っていた日本寺を訪ねることにしたが、結局僧侶は見つからず、
向かいのホーム、路地裏の窓、こんなとこにいるはずもないのに
ブツブツ歌いながら近くのツーリストインフォメーション(民家のような場所)で地図をもらうことにした。
そこには、12歳くらいのインド人の男の子がいた。
「地図はお父さんが持ってる。もう少しで来るから、ここで待ってていいよ。暑いでしょ?」
彼はそう言って、僕を気遣ってくれた。
その優しさに、僕はさっきの2人との違いを痛感した。
彼はラージギル出身で、温泉のことや自分の故郷のことを教えてくれた。
クリケットが得意だと言って、ラケットを貸してくれたりもした。
その後、彼のお父さんがやってきて、地図をくれた。
「優しい子ですね」
僕がそう言うと、お父さんは誇らしげに言った。
「自慢の息子です」
その言葉に、僕は感動した。
僕もいつか、こんな風に言える父親になりたいと思った。
※この文章の私は20代後半独身。現在は自慢の息子と、娘がいます。
パバ(私)はポンコツだけど (´д`)
夜、汗を流すためにシャワーを浴びながら、僕は今日一日を振り返った。
子分や小シンも、悪い奴じゃない。
ラージギルの男の子のように、僕ももう少し人に優しく接するべきだ。
そう思いながら、僕はついに訪れた静かな夜を楽しんだ。
怒りと優しさ、そして人間模様が交錯するこの場所で、僕は大切なことを学んだ。
そして、悟りを開いた…かどうかは、まだわからない。
第16話に続く
