早稲田合格、その日の決断
― 東大理Ⅲ現役合格に導いた、受験戦略と子育ての記録 ―
二月十五日、日曜日。
午前九時。
早稲田大学政治経済学部経済学科・共通テスト利用の合格発表の日でした。
娘と一緒にパソコンを開き、結果を確認します。
「合格!」
画面に表示された文字を見た瞬間、思わず顔を見合わせました。
実は、この合格は私たちにとって予想以上に嬉しいものでした。
共通テスト後、多くの受験生が利用する判定システム「バンザイシステム」では、政治経済学部は決して良い判定ではありませんでした。
そのため、法学部は可能性があると思っていましたが、政治経済学部は半ば挑戦だと思っていました。
だからこそ、この合格は本当に嬉しかったのです。
我が家では以前から一つだけ決めていたことがありました。
もし法学部と政治経済学部の両方に合格したら、進学手続きは政治経済学部で行う。
娘も私も、その方針で一致していました。
ところが、私立大学の入学手続きは想像以上に慌ただしいものです。
法学部の共通テスト利用合格発表は二月十一日。
第一次納入期限は二月十八日。
政治経済学部経済学科の合格発表は二月十五日。
第一次納入期限は二月二十四日。
国立大学前期試験を目前に控えていても、待ってはくれません。
しかも、この日は日曜日。
翌日からは通常どおり仕事です。
「今日しか動けない。」
そう思った私は、娘に
「予定どおり政経へ入学金を納めてくるね。」
と伝え、日曜日でも窓口営業している銀行へ向かいました。
ところが、銀行へ向かう車の中で、ふと考えました。
本当にこれでいいのだろうか。
今は政治経済学部へ進学すると決めている。
でも、あとから
「やっぱり法学部で司法の道へ進みたい。」
そう気持ちが変わる可能性もあるかもしれない。
十八歳です。
将来への考えが変わることは、決して不思議ではありません。
一度納入期限を過ぎてしまえば、もう選択肢は戻りません。
銀行の窓口で少し考えた私は、
結局、法学部と政治経済学部の両方へ第一次納入金を振り込みました。
娘には内緒でした。
帰宅しても、そのことはすぐには話しませんでした。
「選択肢だけは最後まで残してあげたい。」
それが親としての正直な気持ちでした。
もちろん、一方の入学金は後に放棄することになります。
決して安い金額ではありません。
それでも、お金を理由に十八歳の娘の未来の選択肢を狭めたくはありませんでした。
親としてできることは、最後まで可能性を残してあげること。
それもまた、受験期の大切な役目だったように思います。
その数日後には、いよいよ東京大学理科三類二次試験。
本当の大勝負が、すぐそこまで迫っていました。
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