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「親が9割」って本当?中学受験で子どものやる気を守るために、親が手放すべきこと

「また間違えてる」「なんでこんな問題が解けないの」——そう言いかけて、ぐっと飲み込んだことはありますか。

中学受験のサポートをしていると、いつの間にか親のほうが必死になっている瞬間があります。子どものためにと思って始めたことが、気づけば子どもを追い詰めていた、なんてことも。

以前の記事では秋以降の併願戦略と志望校の絞り方を書きました。今回はもう少し手前の話——親の関わり方とメンタルの軸を整理してみます。受験期間を通じてずっと影響し続けるテーマなので、早い時期から意識しておいて損はないと思っています。

「親が9割」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。ただ、この言葉を「合否の9割が親で決まる」と受け取ると、ちょっと怖くなりすぎる。僕の解釈は少し違っていて、「子どものやる気を守れるかどうかに、親の関わり方が大きく影響する」という意味で捉えるほうが実態に近いと思っています。合格するかどうかは最終的に子ども本人の力ですが、その力を伸ばせる環境をつくれるかどうかに、親の姿勢がかなり関係してくる。今日はそこを一緒に整理してみます。

「管理する親」が無意識にやっていること

中学受験の親サポートでよくある落とし穴は、関わりすぎることではなく、「管理」と「サポート」を混同してしまうことだと思っています。

子どもが塾から帰ってきた夜10時。まだ宿題が終わっていない。親は「早くやりなさい」と声をかける。子どもは「わかってる」と言いながら、なかなか机に向かわない。親はイライラして「何時だと思ってるの」と言う。子どもは黙り込む。

この流れ、どこかで見覚えがあるかもしれません。

問題は、この場面で親が「管理者」の立場に立ってしまっていることです。スケジュールを決める、チェックする、指示を出す。子どもはそれを受け取るだけ。これが続くと、子どもは「言われたからやる」という状態になっていきます。勉強の主体が、子ども自身から親に移ってしまうんです。

教育研究家の小川大介さんは、親の役割を「伴走者」と表現しています。レースを走るのはあくまで子ども。親は隣で走りながら、声をかけたり、水を渡したりする存在。ペースを決めるのも、ゴールを目指すのも子ども自身、という視点です。「管理者」と「伴走者」。言葉は似ているようで、子どもへの影響はかなり違います。

テスト結果を「受け取る」ときが、一番の分岐点

親の関わり方が最もはっきり出るのが、模試や組分けテストの結果を受け取る瞬間だと思っています。

「なんでこんな点数なの」「この前も同じところを間違えたよね」「ライバルの○○くんは何点だった?」

これらは言葉として出なくても、表情や雰囲気で伝わります。子どもは親の顔色を読むのがとても上手です。

受験経験者の親御さんの話などで繰り返し出てくるのが、「テストの点数に親の感情を乗せない」というポイントです。点数が悪かったとき、親が落胆した顔を見せるだけで、子どもは次のテストで「失敗したらどうしよう」と萎縮してしまう。萎縮した状態で勉強しても、なかなか力はつきません。

では、何と言えばいいのか。

「どこが難しかった?」「これはできてるじゃん」「次はどうしたいと思う?」

結果に対して感情的に反応するのではなく、次の行動に目を向ける問いかけ。これだけで、子どもの受け取り方はかなり変わります。数字ではなくプロセスを見る、というのが基本的な考え方です。

スランプ期に、親がやりがちな「励まし」の落とし穴

小5の秋から小6にかけて、多くの子どもが成績の伸び悩みを経験します。いわゆるスランプ。このとき親がどう関わるかで、その後の伸びが変わると言われています。

スランプ期に親がやりがちなのが、「もっとがんばれ」「あとちょっとで追いつける」という励まし方です。悪意はまったくないし、むしろ愛情から出てくる言葉です。でも、すでに精一杯やっている子どもにとって、「がんばれ」は「今のお前では足りない」と聞こえることがあります。

印象に残っているのが、ある中学受験専門家の方が話していた「存在承認と行動承認を分ける」という考え方です。

行動承認というのは「よくがんばったね」「宿題全部やったね」という評価。これも大切です。でも、それだけだと子どもは「成果を出さないと認めてもらえない」というプレッシャーを感じやすくなる。

存在承認というのは「あなたがいてくれるだけで嬉しい」という無条件のメッセージ。テストの点数とは関係なく、ただそこにいる子どもを肯定する。これがあることで、子どもは「失敗しても大丈夫」という安心感の中で勉強できるようになります。

受験の成否がかかっている場面で「点数と関係なく大丈夫」と思えるのは、言うのは簡単で実践は難しい。それでも、この軸を持っているかどうかは、長い受験期間のなかで積み重なっていくと思っています。

親自身が消耗しているとき、子どもに何が伝わるか

少し、視点を変えます。

中学受験の親サポートは、正直かなりハードです。毎日の送り迎え、スケジュール管理、塾との連絡、弁当の準備、家庭学習の確認。これをフルタイムで働きながらやっている家庭も多い。気づかないうちに、相当消耗しています。

消耗した親が子どもにどう接するか。言葉は選んでいても、声のトーンや表情には出ます。夜中12時に「もう1問やろう」と言う親の顔を、子どもはちゃんと見ています。「お父さん、しんどそうだな。ごめんね」と感じている子どもが、集中して問題を解けるかというと、難しい。

親のメンタルを整えることは、直接子どものためになります。これは精神論ではなく、かなり実際的な話です。

疲れているときに完璧なサポートをしようとしなくていい。「今日は一緒に少し休もう」「今日は早く寝よう」という選択肢も、受験においては戦略になりえます。

子どものスケジュール管理を「手放す」ステップ

最後に、一つ具体的な話をします。

多くの家庭で「スケジュール管理は親がやる」という状態が続いています。何時に何をやるか、どの教科から始めるか、全部親が決める。それ自体が悪いわけではないけれど、小6の秋には「子どもが自分で考えて動ける」状態が理想です。本番の入試会場に親は入れないから。

ここまで「管理者ではなく伴走者に」という話をしてきましたが、それを実践するうえで一番わかりやすいのが、このスケジュール管理の主体を少しずつ子どもに渡していくことだと思っています。

一つ試してみてほしいのが、「明日の計画を一緒に立てる」ことです。

「明日、何をどの順番でやる?」と子どもに聞いてみる。最初はうまく答えられないかもしれません。そのときは「算数の宿題と国語の読解どっちを先にしたい?」と選択肢を絞って聞く。それだけでも、子どもの中に「自分が決めた」という感覚が生まれます。

これを毎日続けると、3ヶ月くらいで子どもが自分からスケジュールを組むようになってきます。親は確認者に回れる。その状態が作れると、親も少し楽になります。

中学受験は、子どもが主役です。当たり前のことですが、ついつい忘れてしまう。

「もっとうまくサポートしなければ」と自分を追い込みすぎているなと感じたとき、少し立ち止まって、「今日の自分は管理者だったか、伴走者だったか」と問いかけてみてください。

その問いだけで、次の声かけが変わることがあります。

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