夢見るシニア、見事に撃沈。シニアモデルに応募してみた顛末
人生100年時代と言われ、シニア市場は拡大の一途。
広告では、若々しく活躍するシニアの姿があふれている。
「シニアモデル」で検索してみると、
「第二の青春」「夢にチャレンジ」「ほとんどが未経験者」
「60代、70代からでもOK」など、魅力的な言葉がずらり。
やりがいに飢えていた私の妄想は、ここで見事に暴走。
気づけば「今すぐ応募」をポチっと押してしまった。
——同じような方、実は多いのではないでしょうか。
応募方法はとても簡単で、自撮り写真を送るだけ。
すぐに面接の案内が届き、私は2つの事務所と面接をした。
どちらの事務所からも
「ぜひ一緒に活躍しましょう」「しっかりバックアップします」と
熱心な言葉と合格通知。
正直、うれしかったですね。
この時点で、気分は半分モデルさん。
気になる費用はというと、
G事務所:93,500円
S事務所:270,000円
内訳は、所属管理費・プロフィール撮影費・レッスン費など。
さすがに、ど素人が簡単に活躍できるとは思っていないので、
転んでも痛くないように、私は安い方の事務所と契約をすることにした。
(ちなみに、印象が良かったのは高い方だったが…ここは現実優先で)
プロフィール撮影は、とにかく気分が上がる。
プロのメイクにカメラマン。
皆さん、あらゆる方法で私を褒めてくれる。
「還暦の記念にもなるし、この写真が事務所のHPに載るのか〜」
そう思うと、登録費用も「高くないかも」とすら感じてしまうから不思議。
この時点で、完全に舞い上がっている私。
オーディション対策のレッスンも楽しく、
実際のCMの絵コンテを使って演じてみたり、ポージングを学んだり。
他のシニアの方もいて、変に気負わずに参加できた。
その後、事務所から
「プロフィールが完成したら案件を案内します」と連絡が来て、
いよいよHPに自分が載るのか、とわくわくして待つ。
…が。
待てど暮らせど、私のプロフィールは掲載されない。
その一方で、仕事案件のメールはどんどん届く。
「まあ遅れているのかな」と思い、
いくつか応募してみたものの、結果はすべて、
『書類選考不採用』
プロフィールが出来ていないからでは、と不審に思い、事務所に問い合わせをいれてみた。
「プロフィールはどうなっていますか?」
すると返ってきたのは、
「とっくに出来ていますが、表情が良くなかったので、HPには載せないと判断しました。」
「………。」
ドラえもん状態。
せめてHPに載りさえすれば——
そんなささやかな希望(もはや妄想)は、見事に打ち砕かれた。
……夢見るシニア、撃沈。
その後、
「すっぴん・実名OKで美容液使用前後の撮影」という案件で、
初めてオーディションに呼ばれた。(おそらく、すっぴん・実名OK案件だからかと)
前日には、社長自らのZoom面談で
オーディション対策が行われた。
準備不足で、もたつく私に、あからさまにイライラし、
「時間がないのよ」
「貴方は表情が暗い」
「もっとプロ意識を持って」
と、なかなかの勢いで叱咤。(はっきり、切れていた)
……切れた社長が夢に出てきそうで、またも撃沈。
(「未経験OKって書いてありましたよね?」という言葉は、もちろん飲み込んだ)
オーディションは自分なりに頑張ったものの、あっさり、不採用だった。
その後も案件メールは届き続けているが、
「事務所がお勧めしない私」という敗北感があり、
今はエントリーする気になれない。
レッスンで一緒だった人たちが、
しっかりHPに掲載されているのを見ると、
「載せる価値がなかったのは私だけか…」と、更に落ち込むばかり。
何はともあれ、
私が欲しかったのは、
「自己表現できる場所」だったのかもしれない。
それが今は、noteになっている。
エッセイを書くのは楽しいし、
ここでは自分の言葉で、好きなように表現できる。
だから、
事務所のHPに載せていただかなくても(まだ言う、笑)もう結構です。
