相貌失認の初デート〜顔がわからない女のラブコメ惨劇〜
こんにちは。
前回、5歳の私が経験した「母が三人に見えた結婚式ホラー」に続き、今回はその続編のようなお話を書かせてください。
あの母三人事件からウン十年
顔の認識ができない、いわゆる「相貌失認(そうぼうしつにん)」という特性と共に人生を歩む私は、恋愛というデリケートなイベントにも、当然のように壁を感じながら生きてきました。
しかし、そんな私にも、恋の予感が訪れる瞬間があったのです。
そして迎えた2人きりの初デート。
さて、ここで問題です。
Q.「顔が覚えられない女が、1回だけ会った男性と初デートをすると、どうなるでしょう?」
選択肢は以下のとおり。
A:ちゃんと顔を思い出してハッピーな再会!
B:記憶にないけど空気で何となく見分けられた!
C:完全に誰が誰だかわからなくて混乱!
……はい、正解はもちろん、
C.完全に誰が誰だかわからなくて混乱!
顔が覚えられない私が初デートをすると、「デート相手の顔がわからない現象」が起こるのです。
「いやいや、どんな顔でも覚えとこうよ!」
「好きになった人の顔くらい思い出せるでしょ?」
……そう思ったあなた。
まったくもって正しいご意見です(笑)
でもね、本当に本当に思い出せなかったのです。
しかも、1回ちゃんと会っている人です。
そのときは、ちゃんとお話もして、いい雰囲気で。
そして数日後。
いざ「初デートだ〜♡」とワクワクしながら待ち合わせ場所へ向かった私は、誰が彼かわからないという、まさかの展開に直面しました。
目の前にいるはずなのに、顔がわからない。
連絡はとってるのに、本人を特定できない。
恋愛感情どころか、人間関係としてアウト。
そんなある意味、最初から終わっている恋愛話を今日はお届けします。
相貌失認(そうぼうしつにん)って何?
顔がわからないってどんな感じ?
そして、どうやって恋愛してるの??
そんな疑問も、このエピソードでわかるかもしれません。
そして、今となっては笑える思い出話に、どうかお付き合いください。
出会いは「友達の友達」から始まった
ある日、男友達が「いいやついるんだけど、今度みんなでお茶しない?」と誘ってきました。
私は女友達を連れて、4人でのカフェタイムへ。
そこに現れたのが、のちに私の夫となる彼でした。
その場では特に印象的な会話をしたわけでもなく、1時間程度の雑談タイムで解散。
でもそのあと、なぜか彼から連絡があり、なぜか私も「また会ってもいいかも」と思って、連絡を取り合うように。
そして、
「じゃあ今度、2人でごはんでも行こうか」
という、なんとも健全かつありがちな流れになりました。
そう。恋愛の初期ってだいたいこんな感じですよね。
待ち合わせに来たけど、顔が…わからん
当日、待ち合わせ場所に早めに着いた私は、やや緊張気味。
そこに「もう着いたよー」と彼からメッセージが。
まではよかったんです。
でも、あたりを見回しても……誰が彼なのかわからない!!!
顔が……顔が思い出せない!!!
「いや1週間前に会ってるじゃん」
「連絡だって毎日取ってたじゃん」
と、頭の中の冷静な自分は言ってきます。
でも、視界の中に彼っぽい人がいないのです。
いや、もしかしたらいるのかもしれない。でも、私にはわからないんです。
彼はどこ?
私は咄嗟に声を頼りにしようと、彼に電話をかけました。
すると、少し離れた場所にいた男性が携帯を耳に当てて会話を始めました。
「いた!!!あの人だ!!!」
と思った私は、携帯で話しているその男性に手を振りました。
結果。
ぜんっぜん違う人でした。
あちらの男性、戸惑いながらも苦笑いで会釈。
その向こうの端っこに、本物の彼が立っていました。
彼:「……ショックなんだけど」
おっしゃるとおりです。
ごまかしスキルMAX発動
私はとっさに言いました。
「ごめん、視力が悪くてよく見えなかったの…」
いや、ウソじゃない。視力もそんなによくない。でも本当の理由は、顔の認識が苦手な相貌失認(そうぼうしつにん)なんです。
でも当時は自分の症状に名前があるなんて知らなかった。
「なんでこんなに人の顔が覚えられないんだろう」
「どうして私はこんなにわからないが多いんだろう」
そう思って、自分を責め続けていました。
それでも、恋は進む
不思議なことにその日のデートは、そのあともなんとなくいい感じに進みました。
彼は私を「変わってるけど、いい子」と思ってくれたらしく、徐々に距離が縮まり……。
最終的にその顔を間違えられた男は、今の夫になりました。
顔を覚えてなかった私を、ちゃんと見てくれた人。
周りと同じでなくても、中身ややりとりを通して人を見てくれる人。
だから今も、横にいてくれるのかもしれません。
顔がわからなくても、心は伝わる
「人の顔がわからない」って、日常ではとても不便です。
でも、だからこそ、人の印象って顔だけじゃないと感じるようになりました。
声や話し方、雰囲気、におい、空気感。
私にとって、人の覚え方は、そんな複数の感覚を総動員してつくるパズルのようなものです。
そのパズルが完成したとき、やっと「あ、この人か」となるんです。
だからこそ、顔を間違えてしまった初デートも、今では懐かしい思い出となりました。
さいごに
あのとき、自分がASDで相貌失認(そうぼうしつにん)があることを知らずに生きていた私は、ただ「変な人」「失礼な人」と思われていたかもしれません。
でも、こういう体質があるって知ってからは、「これは脳の個性なんだ」と少しずつ受け入れられるようになってきました。
自分のことを知るって、すごく大事です。
そして、あなたにも、誰にも言えなかった困りごとや、ちょっと変わったエピソードありますか?
それって、もしかしたら「誰かの安心」になるかもしれません。
「わかる」「それ自分もある」と言ってもらえる世界があることを、今の私は知っています。
だからこそ、こうして書いています。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
次回は「スーパーでクラスメイトの親に会ったけど、誰かわからず塩対応した話(ガチで)」でも書こうかな。笑
スキしてもらえたらとっても嬉しいです!
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