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「赤字だから、まず電気を消そう」は危ない。中小企業のコスト削減で最初に見るべきもの

「最近、電気代も高いし、少しでも節電しよう」

経営が厳しいとき、こういう話はよく出ます。

使っていない部屋の電気を消す。

エアコンの設定温度を見直す。

営業時間終了の少し前から、不要な照明を落とす。

もちろん、全部大切です。

私自身、無駄なコストはできる限り減らした方がいいと思っています。

ただ、会社の経営を考える立場になってから、強く感じるようになったことがあります。

それは、

「節約すること」と「経営を改善すること」は、必ずしも同じではない。

ということです。

特に会社の数字が厳しいときほど、

目の前で分かりやすく削れそうなものに、すぐ飛びつかない方がいい。

今日は、中小企業のコスト削減について、私が大事だと思っている考え方を書いてみます。


「5分早く消す」は、本当に優先順位が高いのか

例えば、ある施設を運営していたとします。

夜まで営業しているので、当然かなり電気を使います。

そこで、

「少しでも電気代を減らしたい」

となった。

これは正しい。

では、

「照明をいつもより5分早く消そう」

という施策を始める。

これも別に間違ってはいません。

年間で積み上げれば、多少の削減にはなるでしょう。

問題は、

それが本当に、いま経営者が最優先で考えるべきことなのか。

ということです。

例えば同じ電気代でも、

一般的な室内照明と、

大型設備を動かすための電力では、

当然インパクトが違います。

もっと言えば、会社全体の損益を見れば、

電気代そのものより、

人件費。

賃料。

保守費用。

外注費。

仕入れ。

システム利用料。

などの方が、はるかに大きいかもしれません。

それなのに、

目の前で分かりやすいからという理由だけで、

「電気を5分早く消そう」

に全力を注いでしまう。

私はこれを、

具体に入りすぎている状態

だと思っています。


コスト削減で最初に見るのは「How」ではなく「Where」

コストを下げようとすると、

私たちはつい、

「どうやって削るか」

から考えます。

つまり、

How

です。

でも、その前にもっと重要な問いがあります。

Where。

つまり、

「どこにコストがかかっているのか」

です。

会社全体で1億円の費用がかかっているとして、

年間10万円の項目を20%削減しても、

2万円です。

一方で、

年間2,000万円かかっている項目を5%改善できれば、

100万円です。

もちろん、実際の経営は単純な算数ではありません。

削減しやすさも違います。

顧客への影響も違います。

将来への投資という意味もあります。

それでも、

どこに大きな金額があるのかを把握してから考える

という順番は変わらないと思っています。

だから経営者であれば、

まず現場の電気スイッチを見る前に、

損益計算書を見る。

費用の構成を見る。

前年差を見る。

売上に対する比率を見る。

その上で、

「ここは改善余地がある」

という場所を特定する。

そこから具体へ降りていく。

この順番が大事です。


「人件費が高い」→「人を減らす」ではない

ここで、もう一つ気をつけなければならないことがあります。

例えば費用を見た結果、

人件費が大きいと分かった。

では、

「人を減らそう」

なのか。

私は、そうではないと思っています。

例えば、ある業務に4人配置しているとします。

調べてみたら、

仕組みを変えれば2人で回せそうだった。

ここで具体だけを見ると、

4人 → 2人

です。

だから、

「2人減らせば、人件費が下がる」

となる。

でも、一度抽象へ戻ってみる。

そもそも会社がやりたいことは、

「人を減らすこと」でしょうか。

多くの場合は違います。

本当にやりたいのは、

同じ経営資源で、より大きな価値を生み出すこと

ではないでしょうか。

だったら、

4人でやっていた仕事を2人でできるようにしたあと、

残った2人には別の仕事をしてもらう。

新しいサービスを考えてもらう。

営業活動をしてもらう。

顧客対応を改善してもらう。

新しい売上を作ってもらう。

という選択肢もあります。

そうすれば、

人件費そのものは変わらなくても、

人件費に対して生まれる価値は大きくなる。

経営改善とは、

単純に「費用を下げる」だけではありません。

費用に対して得られる価値を上げる

ことでもあります。


「削る」ことだけを考えると、会社は小さくなる

経営が苦しいときは、

どうしても守りに入りやすくなります。

電気を消す。

備品を安いものに変える。

残業を減らす。

採用を止める。

人を減らす。

もちろん、必要な場面はあります。

でも、

「削る」

だけで経営を考え続けると、

会社そのものまで小さくなっていきます。

人を減らす。

サービスを減らす。

営業時間を減らす。

投資を止める。

すると、

売上を作る力まで落ちてしまう。

だから私は、

コスト削減を考えるときほど、

「このお金をなくせないか」だけではなく、「このお金からもっと価値を生めないか」

という問いも必要だと思っています。

削減と生産性向上は、似ているようで少し違います。


現場を見ることと、目の前だけを見ることは違う

「経営者は現地現物が大事だ」

という話があります。

私はこれは本当にその通りだと思っています。

数字だけ見ていても、

現場で何が起きているかは分かりません。

実際に現場を見る。

働いている人を見る。

お客様を見る。

設備を見る。

作業を見る。

極めて重要です。

ただし、

現場を見ることと、目の前に見えたものだけで判断することは違います。

例えば現場へ行って、

誰もいない部屋の電気がついている。

「もったいない。消そう」

これは正しい。

でも経営者としては、

そこで終わってはいけない。

「この会社では、他にどんな無駄がある?」

「そもそも費用構造はどうなっている?」

「この無駄は、全体の中でどれくらい大きい?」

と、一段上へ戻る。

具体を見る。

抽象へ戻る。

また別の具体を見る。

この往復が必要です。


小さな改善を否定しているわけではない

ここまで書くと、

「小さな節約なんて意味がない」

という話に聞こえるかもしれません。

そうではありません。

むしろ私は、

小さな無駄も減らした方がいいと思っています。

電気を消す。

紙を無駄にしない。

使っていないサービスを解約する。

不要な作業を減らす。

全部やればいい。

ただし、

小さな改善だけで、経営改善をやった気にならない。

これが大事だと思っています。

年間数万円を削減する施策と、

年間数百万円の構造を変える施策。

どちらもできるなら、両方やればいい。

ただ、

人と時間には限りがあります。

だからこそ経営では、

「何から手をつけるか」

が重要になります。


コスト削減で考えたい3つの順番

私は、コストを考えるとき、

大きく次の順番で見るようにしています。

1.どこにお金がかかっているか

まず全体を見る。

費用構造を見る。

金額の大きいところを把握する。

2.なぜその費用がかかっているか

単純に「高い」で終わらせない。

何のための費用なのか。

何が原因で増えているのか。

3.削る以外の選択肢はないか

やめる。

減らす。

自動化する。

別の方法に変える。

配置を変える。

同じ費用から生まれる価値を増やす。

ここまで考える。

その上で具体策へ落としていく。

私はこの順番の方が、

「とにかく節約しよう」

よりも、経営改善につながりやすいと思っています。


「何を削るか」より「どこを見るか」

会社の経営が厳しい。

だからコストを下げたい。

この問題に、

一つの正解があるとは思いません。

会社によって事情は違います。

ただ、

目の前に見えた節約案へすぐ飛びつくより、

一度全体を見る。

数字を見る。

優先順位を考える。

そして、

大きなところから具体へ降りていく。

それだけでも、

経営判断はかなり変わると思っています。

「何を削るか」を考える前に、「どこを見るか」を決める。

コスト削減だけに限らず、

これは仕事を進める上でも、

かなり大事な考え方なのではないかと思っています。

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