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「ママ大丈夫?」、3歳の一言に、救われた日

その日は、朝から寝不足だった。

下の子の夜泣きで何度も起こされて、まともに眠れたのは数時間だけ。頭は重いし、体もだるい。それでも子どもたちの世話は待ってくれないから、いつも通りの朝を、無理やり体を動かして乗り切っていた。

たぶん、顔にもかなり出ていたんだと思う。

リビングでぼんやりしていた私に、上の子がふと近づいてきた。そして、じっと私の顔を見て、こう言った。

「ママ、大丈夫?」

たった一言だった。それも、3歳の子どもが言うにしては、ずいぶん大人びた聞き方だった。

その瞬間、なぜか胸の奥がぎゅっとなった。

普段、「大丈夫?」と聞かれることなんて、育児をしていると、ほとんどない。むしろ聞くのはいつも私の方だった。「大丈夫?」「痛くない?」「眠い?」。子どもを心配することはあっても、自分が心配されるという状況に、すっかり慣れていなかった。

しかも、聞いてきたのは、まだ3歳の子どもだった。自分のことで精一杯なはずの年齢なのに、私の顔色や様子を、ちゃんと見ていた。「疲れてる」とか「しんどそう」とか、そういう言葉は知らなくても、なんとなく「いつもと違う」と感じ取って、それを素直に聞いてくれた。

「大丈夫だよ、ありがとう」

そう答えながら、油断すると涙が出そうになった。寝不足のつらさとか、体のだるさとか、そういうものが全部消えたわけじゃない。それでも、その一言だけで、なんだか少し救われた気がした。

育児をしていると、自分の状態を後回しにすることに、すっかり慣れてしまう。しんどくても、疲れていても、子どもの前ではなるべく普通にしていようとする。それが当たり前になりすぎて、自分がどれだけ無理をしているか、自分自身でも気づきにくくなっていた。

そんな中で、一番近くにいる小さな存在が、誰よりも先に気づいてくれた。

上の子は、その後もいつも通り遊び始めて、さっきの一言のことなんて、もう忘れているみたいだった。でも私の中には、あの「ママ、大丈夫?」という声が、しばらく残っていた。

大変な日々の中で、ふとした瞬間に、子どもの方から差し出されるやさしさがある。それは、こちらが思っているよりずっと大きな力を持っていて、疲れきった心を、少しだけ立て直してくれることがある。

あの日、救われたのは、間違いなく私の方だった。

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