初バイト、レジが怖かった日|スマイル|君といたカフェテラス100号
おはようございます
なんだか
初バイトの日って緊張しますよね
覚えることもたくさんあって
レジの打ち間違いとかありそうで…
…そうでした
今日の声は
『スマイル』がお送りします
元気なのは取り柄なので笑
あ、もうこんな時間
それでは行ってきます
また後ほど
いらっしゃいませ
バックヤードのロッカールーム。
店内より
少しだけ静かな場所。
ロッカーの扉を閉めると
油のはねる音が
遠くなる。
鏡の前。
前髪を整える。
黒の制服。
まだ少しだけ
身体に馴染んでいない。
はじめてのカウンター
ポニテにバイザー
黒の制服がぎこちない
ポニーテールを結び直して
バイザーの角度を整える。
ポーチからリップ。
ひと塗り。
唇を軽く合わせる。
深呼吸。
小さく息を吐く。
メモ帳を開く。
袋詰め。
ドリンク。
氷。
レジ操作。
自分で書いた文字なのに
まだ少し頼りない。
新人メモ。
でも
今のわたしには
いちばん心強い味方。
手を洗う。
指先に残る水滴。
タオルで拭く。
もう一度
鏡を見る。
よし。
カウンターへ向かう。
一歩出ると
空気が変わる。
熱。
油の匂い。
フライヤーの音。
ジュッ。
スタッフの声。
注文の声。
ピークタイム。
背後に先輩の圧
店内はピークタイム
スタッフの声が飛び交う
カウンターの下には
小さく折ったマニュアル。
見えない場所に
そっと忍ばせてある。
袋を広げる。
カサッ。
紙の音。
商品を入れる。
ジュースの準備。
氷。
カップに落ちる。
カラン。
その音が
少しだけ落ち着く。
横には先輩。
動きが速い。
でも
乱れていない。
袋を渡すとき
手元がきれい。
自然に
仕事が流れていく。
注文が入る。
ご注文をどうぞ
OJ、ワンプリーズ
ドリンク。
カップ。
氷。
ジュース。
順番を思い出す。
レジ画面。
数字。
はじめて
他人のお金を扱う。
もし
打ち間違えたら。
もし
お釣りを間違えたら。
ボタンを押す指が
少し慎重になる。
口元が震えながらもオーダーする
今は楽しそうな会話より
ミスしないか精一杯
そのとき。
耳元で声
元気よくね、大丈夫
いらっしゃいませ、こちらで承ります
耳元で
先輩の声。
大丈夫。
ゆっくりでいいよ。
肩の力が
少し抜ける。
さすが、わたしも
先輩は
レジ横のトレーを
軽く指で押して
ここね。
と
小さく教えてくれる。
顔を上げる。
店内の景色。
カラフルなタオル。
大きなロゴのTシャツ。
腕に巻いた
フェスのリストバンド。
グッズ袋。
今日は
音楽フェスの帰りの人が多いらしい。
汗で少し
よれたシャツ。
声が少し
かすれている人。
でも
みんな楽しそう。
今日の曲の話。
笑い声。
その横で
袋を広げる。
包装紙。
角をそろえる。
きれいな包装紙を丁寧にラッピング
忘れてないかチェックして…
大丈夫だね
商品。
ストロー。
レシート。
もう一度
確認。
大丈夫。
商品を手渡す。
お待たせ致しました
ありがとうございました
ありがとうございました。
その瞬間
胸の奥の緊張が
少しほどける。
先輩が
小さくうなずく。
良かったよ、最初は誰でも緊張する
一緒に休憩行こうか
いいね。
その目線だけで
安心する。
ピークタイムは
少しずつ落ち着く。
外を見る。
フェス帰りの人たち。
その中に
小さな子ども。
大きなTシャツ。
腕を振りながら
歩いている。
転びそうになって
また笑う。
それを見て
気づけば
わたしも
少し笑っていた。
先輩が言う。
休憩
行こっか。
はい、ありがとうございます
バックヤードの椅子。
制服には
まだ油の匂い。
紙コップのコーヒー。
湯気。
一口。
苦い。
でも
少しおいしい。
今日のわたしは
まだぎこちない。
でも
ほんの少しだけ
出来たこともある。
笑顔で
商品を渡せたこと。
そして
気づいたら
わたしも
笑っていたこと。
お疲れ様でした
初バイト
上手くやれてたかな笑
まだ新米ですけど
おもてなしします
100年の想い、このひとときに
是非ご来店ください
お待ちしてますね
『スマイル』でした
先輩と
今もコーヒーをのんでいる
この時間は、まだ続いています
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今もコーヒーをのんでいます。
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