【妄想Divers】#007 遠い宇宙から来た、一瞬の永遠 〜光子が旅する、時間が無い不思議

遠い宇宙から来た、一瞬の永遠 〜光子が旅する、時間が無い不思議
夜空を見上げて、ふと息を飲んだ夜はありますか?
何十億光年も離れた星の光が、今、この瞬間に私の網膜に届いている。
その光は、宇宙の果てから、途方もない時間をかけて旅をしてきたはずなのに——。
光自身には、時間が無い。
……え? 何それ。頭おかしい?
いや、本当にそうなのです。
これは妄想なんかじゃなくて、物理学が教えてくれる、紛れもない事実。
想像してみてください。
遥か彼方の星の中心で、生まれたばかりの光子。
核融合の炎の中で、ぽんっと生まれた瞬間から、光速で宇宙を疾走し始める。
何十億年。人間の尺度で言えば、途方もない長い長い旅路。
銀河を横切り、星間物質をすり抜け、果てしない暗黒を突き進む。
なのに、その光子にとっては——
出発した瞬間と、地球に到着した瞬間が、ほとんど同じ「今」 なのです。
特殊相対性理論が言うには、光速で動くものにとって、固有時間はゼロ。
ローレンツ因子が無限大になって、時間が止まる。
光子は老いることも、疲れることも、退屈することもなく、ただ「ある」状態で宇宙を横断する。
時間をかけて移動したのに、時間が無い。
永遠の一瞬を旅してくる使者。
これ、めちゃくちゃロマンチックじゃないですか?
私たちは今夜、見上げる星の光を「過去」だと言う。
「この光は、何十億年前に放たれたものだ」と。
でも光子本人は、そんな時間軸なんて知らない。
生まれたての輝きそのままで、今日ここにいる。
まるで、時間という川を泳がずに、川そのものを飛び越えてくるような。
老いも死も感じない、永遠の少年みたいな存在。
もっと妄想を深めてみましょう。
もし私が光子だったら?
星の内部で何十万年も散乱を繰り返してやっと外へ出たとしても、
私にとっては一瞬。
ブラックホールの近くを通りかかったら、時間の流れがさらに歪んで……
いや、もう訳がわからない。
光の視点から宇宙を見たら、世界はどんなふうに見えるんだろう。
過去も未来も、すべてが一枚の平面みたいに広がって、
時間という概念が溶けてなくなってしまうのかもしれない。
夜空の星は、ただの点じゃない。
それぞれが、遠い宇宙から届いた「一瞬の永遠」の証人。
何十億年の旅を終えて、私の瞳の中で初めて「色」や「輝き」として存在を認められる。
光よ、ありがとう。
あなたは疲れを知らず、ただ光速で駆け抜けてきてくれた。
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