私は、雛人形が大好きだ
私とババの雛人形の話。
はじまり、はじまり。
私は、生まれたときに私用の雛人形がなかった。
まわりの友だちは、ちょうど時代的に段飾りを持っている子が多くて、それがとてもうらやましかった。
だから私は、ぬいぐるみを並べて、私だけの雛飾りを作っていた。
それで満足していたと思う。今でも覚えているから。
でも、それを見て母は、かわいそうだと思ったのだろう。
母は九人きょうだいの下から二番目。
娘のために祖母が買ってあげる、という風習に従いたかったのかもしれない。でも、そうはならなかった。
だから「自分で買ってあげる」という形は、どこか違ったのかもしれない。
母は、親戚のお姉ちゃんが持っていた雛人形を、私のところへ送ってもらった。
今思えば、御殿がついていたし、きっと高級な雛人形だった。
そして母は、段飾りの“段”を買ってくれた。
でも私は、うれしくなかった。
高級さなんてわからないし、お雛様の顔は少し怖かった。
たぶん、あれは“私のもの”じゃなかった。
その雛人形は、二年だけ飾った。
そのあと、早々に人形供養へ持っていった記憶がある。
それから、雛人形の話題は、あまり触れないものになった。
結婚して、娘が生まれた。
私は、本当に気に入った雛人形を娘に贈りたかった。
母は、私が気に入って選んだ、木目込みの立ち雛を娘に買ってくれた。
そして、自分でつるしびなを作ってくれた。
そのとき、ふいに言葉が出た。
「あの時さぁ……」
「あの時さぁ、ぬいぐるみのお雛さま、ほんとに好きだったんだよ。
でもね、もらったお雛さまは、好きになれなかった。」
母は少し驚いて、それから言った。
「そうだったんだね。」
それだけだった。
でも、その一言で、
私の中の小さなわだかまりは、すっとほどけた。
私は毎年、娘の雛人形を喜んで飾っている。
私は、雛人形が大好きだ。
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【ジジとババと、みなさまと私】

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