見出し画像

【毎週ショートショートnote】ときめきトゥーシューズ~妹の夢は儚く消えた~

 東京へ向かう列車は、田畑の景色を置き去りにして、都心に入るにつれ灰色のビルの間を進んでいく。
 小学生の妹二人は、都会の光景にいちいち大声で反応していた。
 中学生の私は恥ずかしいので、少し離れた場所で他人のふりを決め込む。

「あっ、私、アレに行くんだ!」

 突然、下の妹が窓を指さした。
 ビルの壁に大きく「バレー」の文字。
 もちろん、家にそんな予定はない。
 でも妹は幼く、思いつきをそのまま口に出す。
 私は二人の会話を聞き流していたが、こんどは上の妹が騒ぎ始めた。

「ほら! お前行けよ! 早く!」

 窓の外を見ると、電車が進むにつれて、ビルの陰で見えなかった文字が見えていた。
 そこには、「バレー」ではなく「キャバレー」の文字が。
 上の妹は腹を抱えて笑っていた。
 ときめきトゥーシューズの夢は一瞬で砕け、都会の現実がむき出しになった。
 だけど妹はすぐケロッとして、新しい夢を探すように窓の外を眺めていた。

 今回の作品は実話を元にしています。あの年頃のガキってなんで、あんなにうるさいんでしょうね。同じ列車に同乗した皆さん、さぞご迷惑だったことでしょう。
 トゥーシューズから昔のことを思い出してしましました。

こちらの企画に参加させていただきました。ありがとうございました。

#毎週ショートショートnote
#ときめきトゥーシューズ
#小説
#ショートショート
#掌編小説
#超短編小説

いいなと思ったら応援しよう!