2か月で離職した通訳さんから学んだ採用の現実
2か月一緒に働いた通訳さんが離職しました。
4月、通訳さんの採用面接を担当しました。
複数名の応募者の中から3名を選考しましたが、彼女はその中で3番目の評価でした。
正直に言うと、日本語能力は決して高くありませんでした。
それでも採用候補に残した理由があります。
それは、誰よりも強い意欲と想いが伝わってきたからです。
面接の段階から明るく素直で、人のために頑張れる人だと感じていました。
彼女の夢は、
「中国人と日本人の架け橋になること」
通訳という仕事を通じて、その夢を実現したいと話してくれました。
結果的に第一希望、第二希望だった候補者は別会社へ入社し、彼女が私たちの職場へ来ることになりました。
そして4月26日、私の隣の席で仕事が始まりました。
【想像以上に高かった壁】
彼女にとって、日本人と仕事をするのは初めてでした。
学校で学ぶ日本語と、職場で使う日本語はまったく違います。
特に製造現場は特殊です。
工業用語。
設備名称。
保全用語。
トヨタ用語。
日常会話では出てこない言葉ばかりです。
さらに新卒社員として会社のルールを学びながら、通訳業務も担当しなければなりません。
改めて振り返ると、通訳という仕事は本当に難しい仕事だと思います。
【努力は誰よりもしていた】
彼女はたくさん失敗しました。
それでも前向きでした。
私たちは一緒に目標を立てました。
「6月中に朝会通訳を一人で担当できるようになる」
その目標に向けて毎日早く出社し、前日の出来事を確認しながら事前に翻訳を準備していました。
努力量だけを見れば誰にも負けていなかったと思います。
ただ、現実は厳しいものでした。
翻訳ミスが多く、情報が正確に伝わらない場面もありました。
仕事のスピードも落ちてしまいます。
しかし、それは彼女が怠けていたからではありません。
単純に経験と能力が追いついていなかったのです。
能力不足は責められるものではありません。
学び、経験し、積み上げていくしかありません。
だからこそ、この2か月は一緒に悩み、一緒に頑張りました。
【離職という結果】
しかし今日、人事判断により離職が決まりました。
残念な気持ちはあります。
それでも今回の経験を通じて改めて感じたことがあります。
-採用は極めて重要である-
会社にとっても。
本人にとっても。
採用は単なる人員補充ではありません。
その人の人生にも影響する大切な判断です。
私がこの2か月で教えたことは、会社へ直接還元されることはありません。
しかし、無駄だったとは思っていません。
私自身も教える中で言葉を学び直し、多くの気づきを得ました。
彼女もまた、この経験から何かを得てくれていると思います。
だから、この時間には価値があったと信じています。
【適材適所という考え方】
今回感じたのは、能力の有無だけではないということです。
もしかすると彼女は、もっと日常会話を使う職場の方が日本語を楽しく学べたかもしれません。
その経験を積んだ後で製造現場に挑戦していたら、違う結果になっていた可能性もあります。
人には向き不向きがあります。
どこで働くのか。
どんな環境に身を置くのか。
その環境で自分の強みを発揮できるのか。
これは仕事をする上でとても大切なことだと思います。
【変化の速い時代だからこそ】
中国で働いていると、離職や転職は特別なことではありません。
変化のスピードが速く、人材の流動性も高い。
企業は即戦力を求めます。
一方で、育成に十分な時間をかけられない現実もあります。
厳しい話ですが、それが現場で感じる現実です。
だからこそ採用の見極めは重要になります。
同時に、本人も自分がどこで輝けるのかを真剣に考える必要があります。
今回の別れは残念でした。
それでも彼女が夢を諦めず、どこかで中国人と日本人の架け橋として活躍してくれることを願っています。
私もまた、この経験を次の採用と育成に活かしていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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