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なぜ英語は、勉強してもなかなか伸びないのか。TOEIC900超のツアーガイドが考えてみた


英語力を伸ばすのは難しい。
そう感じたことはないでしょうか。
僕もそう思います。たしかに英語学習は難しい。

でも、「英語は難しいよね」で終わってしまうと、その先にはただ苦しくて長い学習が待っているだけです。

では、なぜ英語学習はこんなにも「伸びている実感」を得にくいのでしょうか。

今回は、英語力をいくつかの要素に分けながら、自分なりに考えてみます。

英語力を因数分解してみる


まず、英語学習の中でも苦手意識を持つ人が多いリスニングについて考えてみます。
そもそも、「英語が聞ける」とはどういう状態でしょうか。

かなり単純化すると、

音を聞き取れる → 内容を理解できる

という状態だと思います。
そして、この「聞ける」は大きく3つの要素に分けられます。

・音の認知
・英語を理解する力
・語彙力

まず、音の認知。

英語の音そのものを認識できなければ、相手が何を言っているのか分かりません。

知っている単語だったとしても、実際の会話の中で音がつながったり消えたりすると、まったく別の音に聞こえることがあります。

そうなると、頭の中にある単語の知識と、耳から入ってきた音が結びつきません。

言語学では、この「音の連なりを意味のある単位として認識する力」は音韻認識(phonological awareness)と呼ばれています。母語であれば無意識にできていることですが、外国語ではこの認識そのものを一からトレーニングする必要があります。

次に、英語を理解する力。

聞こえてきた英語を一文ずつ日本語に訳していたら、通常の会話スピードにはなかなか追いつけません。

ある程度、英語を英語のまま処理する力が必要になります。

いわゆる「英語脳」と呼ばれるものに近いかもしれません。

そして最後が語彙力です。

そもそも相手が使っている単語を知らなければ、音を正確に聞き取れても意味は分かりません。

つまりリスニングは、単純に「耳がいいか悪いか」だけの話ではないということです。

ちなみに、この考え方を僕がゼロから思いついたわけではありません。
第二言語習得についての考え方や、英語学習系の発信でもよく出てくる話です。

僕自身も、英語学習系YouTuberのAtsueigoさんなどの発信から影響を受けています。
https://youtu.be/4BjkAsIfC2Msi=dGWj8drLHFTBDAZo

ここからが、今回いちばん考えたかった部分です。

英語の成長は、なぜ階段状に感じるのか


「英語は続けていると、ある日突然伸びたように感じる」

こんな話を聞いたことがある人も多いと思います。僕自身も、英語を勉強していて何度か経験しました。

しばらく何も変わっていないように感じる。

でも、ある時突然、

「あれ、前より聞こえる」

「なんか普通に話せている」

と感じる瞬間が来る。


昔から、これが不思議でした。

でも、先ほどの3つの要素で考えると、ある程度説明できるのではないかと思っています。
一つの弱点が、全体を隠しているのではないか

たとえば、

・語彙力はかなりある
・英文の理解力も高い
・でも音の認知だけが弱い

という人がいたとします。
この人は英語の知識そのものはかなり持っています。

しかし実際の会話になると、音が聞き取れないため、

「全然英語ができない」

と感じてしまうかもしれません。

逆に、英語の音はよく聞き取れるけれど、語彙が足りなければ意味は理解できません。

つまり、3つの要素のうち一つが大きなボトルネックになっていると、ほかの能力が伸びていても、リスニング全体の成長としては実感しにくいのではないか。

僕はそう考えています。

そして、その弱点がある水準を超えた瞬間、今まで蓄積していたほかの能力も一気に使えるようになる。

だから、

「ずっと停滞していたのに、ある日急に伸びた」

ように感じるのではないでしょうか。

フィリピン留学で出会った、少し極端な例
僕がフィリピンに短期留学していた時、あるクラスメイトに出会いました。

彼女はこんなことを言っていました。

「TOEICのリーディングは時間が余るくらいできる。でも、リスニングが本当に苦手」

TOEICを受けたことがある人なら、このアンバランスさが分かると思います。

リーディングを時間を余らせて解き切るには、かなり高い英文処理能力が必要です。

つまり彼女は、

「英文を理解する力」

については、すでにかなり高い水準にあったはずです。一方で、音の認知が弱かった。

だから、英語を読めば分かるのに、聞くと分からないという状態になっていたのだと思います。

ちなみに彼女は難関大学の英文学部の学生でした。

その後フィリピンで英語を勉強して、短期間で驚くほど会話力を伸ばしていました。
おそらく、ゼロから英語力を作り直したわけではありません。

すでに持っていた高い理解力に対して、弱かった音の認知が追いついた。

その結果、もともと持っていた英語力が一気に表面に出てきたのではないかと思います。

短期間でTOEICが何百点も伸びる人の正体
これは、英会話スクールや英語コーチングでよく見る、

「数か月でTOEICが何百点アップ」

という事例にも少しつながると思います。
もちろん、すべてのケースがそうだとは言いません。

ただ、元々まったく英語ができなかったのではなく、

「英語力を構成する要素のどこかだけが大きく欠けていた」

という人もいるはずです。

たとえば、

単語力はある。
文法も分かる。
でも音が聞き取れない。

あるいは、

英語はある程度聞こえる。
でも語彙が足りない。

こういう人は、弱点を正確に見つけて補えば、短期間でも大きく伸びる可能性があります。
これは英語スクールを否定する話ではありません。

むしろ、その人のボトルネックを見つけて重点的に補うことができたなら、それはスクール側の手腕だと思います。

英語力は、伸びていないのではなく「見えていない」だけかもしれない

ここから、もう少し考えてみます。

よく英語力の成長は「階段状」と表現されます。
しばらく横ばいが続いて、そのあと一段上がる。

でも、この横ばいの期間、本当に英語力はまったく成長していないのでしょうか。

僕は違うと思っています。

表面には出ていないだけで、少しずつ蓄積されているのではないでしょうか。

僕はこれを勝手に、

「不顕在英語力」

と呼んでいます。
もちろん、学術的な言葉ではありません。

ただ、言語習得の分野では、学習者が話せるようになる前にインプットを溜め込む期間を指す「サイレントピリオド」という概念があり、イメージとしてはそれに近いかもしれません。

たとえば新しい単語を覚える。
何度も英語を聞く。

英語で会話する。

英文を読む。

そうした経験は、すぐに「話せる」「聞ける」という形で表れなくても、何かしら蓄積されているはずです。

ただ、それぞれの能力のバランスが悪かったり、まだ必要な水準まで達していなかったりすると、実践で使える形としては表面化しません。

だから本人には、

「全然伸びていない」

ように感じる。

でも実際には、その下で少しずつ蓄積が進んでいる。 

見えている英語力と、見えていない英語力

もし英語力をグラフにするとしたら、僕たちが普段感じている英語力は、階段状になっているのかもしれません。

しばらく変化なし。

ある日、一段上がる。

またしばらく変化なし。

でも、その裏側にある本当の成長は、もっと緩やかな右肩上がりなのではないでしょうか。

その積み重ねがある水準を超えた時、

「聞こえる」

「話せる」

「理解できる」

という形で、初めて表面に出てくる。

だから、昨日までできなかったことが、突然今日できるようになったように感じる。

実際には突然ではなく、その前からずっと準備が進んでいたのかもしれません。

だから、すぐに諦めなくていい


もちろん、どんな勉強法でもいいと言いたいわけではありません。

効率のいい勉強法もあれば、遠回りになる勉強法もあります。

自分の弱点を分析することも大切です。

それでも、英語に継続的に触れて、理解しようとしたり、反復したり、実際に使ったりしているのであれば、

「今は成長を感じないから、全部無駄だった」

と考える必要はないと思います。

まだ表面に出ていないだけかもしれない。

まだ一つの要素が追いついていないだけかもしれない。

そう考えると、英語学習の停滞期も少し見え方が変わります。

英語力は、ある日突然生まれるわけではない。
見えないところで少しずつ積み重なって、条件がそろった時に表面に出てくる。

だからこそ、焦りすぎず、でも自分の弱点は冷静に見ながら、必要な量を積み重ねていく。
結局、それが英語を伸ばす一番確実な方法なのではないかと思っています。

機会があれば、具体的な弱点分析法についても書いてみようと思います。

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