りゅうおうの妻があらわれた!荻島安二《日本髪》【MoMAT】
東京国立近代美術館の所蔵展、MOMATコレクションは現在の期間、一つの部屋が仲田定之助、陽 咸二など大正時代あたりに登場するモダン彫刻の部屋になっている。その中ですぐに目に留まった作品がこれ。

びっくりした、ドラクエ1のりゅうおうかと思った。トサカみたいな部分が似すぎていて、頭の中でドラクエ1のボスBGMがなった。と思ったら女性なのでりゅうおうの妻か娘か妹か、、、高圧的に見える。
この作品は荻島安二の《日本髪》(1938)。初めて知った。タイトルなので髪に焦点を当てた彫刻なのだろうけれど、人間の髪の毛をここまで開かれた羽のようにデフォルメするとは!面白くもあり、きれい。横から見るとこんな感じで、少し俯くポーズで、肩の形と首の傾きのなめらかさが自然で魅惑的。

説明文にもあったけど、この荻島安二は初めて日本で石膏製洋マネキンを作った人らしい。それが1914年、安二30歳のことででその後島津マネキン(島津製作所)の正規顧問になっている。
「荻島さんは先端をいくモダンな彫刻家なので、マネキン制作にはうってつけで、島津マネキンは荻島さんゆえに伸びたと思います」「荻島さんの作品は、日本人向けの、日本人の特徴を生かしたもので、非常に印象にのこるものでした」(島津製作所専務取締役であった島津一郎氏)
日本のマネキン 〜人と作品〜 荻島安二 OGISHIMA Yasuji
なるほど、マネキンを作れるほどの人体の美しさへの理解度と、近代彫刻家のセンスが組み合わさっているのか。

もう一度《日本髪》を斜め下から覗いて、顔を正面から見てみると、、逆ハの字に吊り上がって右の方を見る目、微笑のおちょぼ口と、完全な日本人的美しさ。
鼻の細さや彫りの感じが何か見覚えがあるなーと思ったらブランクーシの彫刻だ!デフォルメした美しさがなめらかな質感にあるところが、抽象的な造形が代表のブランクーシ、特の一連の卵型彫刻シリーズに似たものを感じる。ブランクーシが日本髪の女性を彫刻にしても、こんな風になってたんじゃないか。

(2024年3月30日〜7月7日)展示風景より
コンスタンティン・ブランクーシ《眠れるミューズ》1910-11
石膏 大阪中之島美術館蔵
鼻の細さ、彫りの感じが似ている。ただブランクーシの活動期間は1900年代、抽象的な方向に行ったのも10年代くらいからで荻島安二と同時代。つまり同じ時代の方向性だっただけで双方の影響の与え合いはなさそう。そうすると荻島安二はやっぱり、ひな祭り人形など日本人形の伝統ある顔の美しさをモダンに昇華させたのかな。

末吉石舟作《古今雛》 江戸時代 1827年
日本的な顔の彫刻は、日本人形の滑らかさからか
隣には荻島安二作の人間全身の彫刻が2点、《波》と《風》(見出しは並んだ写真)。どちらも滑らかな肉体にめちゃくちゃ面白いポーズ。顔の表情をは作り込まれているわけではなく生気のない、それこそ人形みたいな顔。一瞬を切り取りながらもデフォルメされた形の美しさが楽しい。それにしても《風》みたいな両翼を開いた形が好きなんだな。


《風》が1937年、《日本髪》が1938年なのでそのあたりで何か広がった扇形の形状が好きになるきっかけがあったのだろうか。
荻島安二は他にも灰皿やポスターデザインなど多岐にわたる仕事をしていたらしく、大体が近代美術館所蔵で同じく展示中。

展示風景より

《メダル》1920-1930s
《灰皿》1935年
《灰皿(BAR BONTON)》date unknown

とてつもない反り方
参考記事↓
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