「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が開催中です。/東京国立近代美術館
11年前のスペイン旅行を懐かしく思い、「ガウディとサグラダ・ファミリア展」を観覧。
ガウディ建築の造形と発想に光をあてる企画展が、2023年9月10日(日)まで開催されています。ガウディの構想は壮大で、この聖堂が自分の代で完成するとは考えていませんでした。後に続く仲間たちのために、自分が思い描いた複雑な造形を、誰もが理解できるように模型としてのこしました。100点を超える図面や模型、写真などを交えつつ、ガウディの設計思想と造形原理や、建設プロセスが紹介されています。11年前に訪れた当時は理解できなかったことも多く、今回の展示で知識がアップデートされ有意義でした。
バルセロナは、スペインの中でもいち早く近代化を果たし、急速な人口増加を経験。近代化の影には格差拡大により劣悪な住環境と貧困に苦しむ人々も存在し、信仰心が薄らいだことで社会不安が増したとの反省から1882年に着工されました。「貧しい人々の聖堂」として知られることになるサグラダ・ファミリア聖堂は、こうした貧困層のために構想されたものだったそうです。翌年、2代目の建築家としてガウディが着任。140年の間に何度も建設は危機に直面し中断しましたが、ガウディとその遺志を引き継いだ人々によって問題は乗りこえられ建設は続けられました。2026年には聖堂中央の一番高い塔である「イエスの塔」が完成予定で、2036年「栄光のファサード」の完成により工事完了だそうです。長らく「未完の聖堂」と言われていたものの、ようやく完成の時期が視野に収まってきており、死ぬまでに完成を見られると思うと楽しみです。
自然豊かなスペインのカタルーニャ地方で生まれ育ったガウディは、自然界から造形の原理を引き出し、それを建築に応用しました。太陽の動きや光の入ってくる方向を考慮し、陽が昇る東側の外壁にキリストの誕生から青年期を物語る彫刻を施した「生誕のファサード」が、そして陽が沈む西側には最後の晩餐からキリストの磔刑と昇天を表現した「受難のファサード」が設けられています。ガウディは自然から生命力あふれる有機的な造形を着想するばかりでなく、造形は自然の法則に従うべきであるとの考えから、建物に均衡をもたらす理想的なアーチを求めて独自の実験を行っています。ロープの両端を固定して垂らすと下向きに逆アーチができ、ここに重さを計算した錘を複数下げることで、安定した釣り合いを示す形を探っています。これを上下反転して見れば、アーチの理想的な形を得ることができます。構造物に用いた場合、力学的に安定しているため、建築・橋梁においても採用されており、「錦帯橋」や「レインボーブリッジ」、「来島海峡大橋」などにこの懸垂曲線を見ることができます。サグラダ・ファミリアの建築に、この懸垂曲線が取り入れられていることを知ったのは大きな収穫でした。














2023.08
