【建築積算における概算⑤】概算金額が大きくズレるケースとその原因
第5回は、概算において金額が大きくずれてしまうケース及びその原因について、掘り下げていこうと思う。
概算金額はあくまで「現時点での条件に基づく目安」。
しかし実際の工事金額と比べて数千万円、場合によっては億単位でズレるケースも珍しくない。
今回は、特にズレ幅が大きくなる4つの典型的なパターンと、その背景を解説する。
1.設計変更
例
設計段階でS造(鉄骨造)・階高4mだったものを、RC造(鉄筋コンクリート造)・階高5mに変更。
構造の違いや階高増による躯体・仕上げ・設備のすべてに影響が出る。
→ 金額差:約1.4億円アップ
2. 土地条件(地盤改良・擁壁など)
例
地盤調査前の概算では平地想定。しかし調査の結果、軟弱層が5m続いており、杭工事+地盤改良が必要に。
→ 金額差:約4,500万円アップ
3.環境対応(ZEB、断熱性能)
例
発注者の要望で途中からZEB Ready仕様に変更。高断熱外皮、高効率空調、太陽光パネルなどを追加。
→ 金額差:約1.8億円アップ
4.インフレ・物価高の影響
例
見積から着工までの間に資材価格が上昇。鉄筋や木材の相場が20〜30%アップ。
→ 金額差:約4,000万円アップ
ズレを防ぐためのチェックリスト
1. 設計段階ごとにリスクを説明
2. 土地条件は調査を前提に概算提示
3. 環境性能は補助金情報とセットで検討
4. 価格変動リスクは契約条件に盛り込む
▷まとめ
概算は「正確に当てる」ためだけのものではなく、「ズレが生じうるポイントを事前に可視化する」ためのもの。
ズレが大きくなる条件を理解していれば、施主・設計者・施工者の間での信頼関係を損なわず、柔軟なコスト調整が可能になる。
#建築積算
#概算見積
#工事費用
#建設コスト
#設計変更
#土地条件
#地盤改良
#環境対応
#建築業界
#施工管理
#ZEB
#断熱性能
#物価高
#建設費高騰
#建築プロジェクト
