ハナミズキDAYS “すぐには”わからない、を楽しむ
はじめに
「まるでマカダミアナッツみたいな、蕾の形がおもしろい!」
駅に向かう途中、思わず立ち止まってしまった、1本の木の前。私の記憶が確かなら、この木はおそらくハナミズキの木。これまた私の記憶が確かなら、季節ごとにさまざまな変化を見せてくれる木。これまでも何度か「あれ、ハナミズキの木だったよな?」と立ち止まったことがありました。
そんなにも気になるのだから、これも何かのご縁。この木の季節ごとの変化を追いかけてみようと思い立ったのです。
インターネットで検索すれば、たいていのことはすぐにわかってしまう、今の世の中。そんな世の中で「調べず、観察してみること=“すぐには”わからないこと」を楽しんでみることにしました。
そんな日々の、キロクです。
★ショート動画バージョンはこちらから
0カ月目◎2023年3月

■2023年3月31日
マカダミアナッツみたいな蕾が、また一つ、また一つと、開いてきています。
1カ月目◎2023年4月

■2023年4月8日
やっぱり、ハナミズキの木でした。花が咲いているのを見ると、「ああ、またこの季節が巡って来た」と思うんですよね。今年は早かった気がするのだけれど。
前回ここを通りかかったのは、2023年3月31日のこと。その時はマカダミアナッツみたいな蕾が、また一つ、また一つと、開いてきているなぁという感じだったのですが、2023年4月8日に通りかかった時には、もう咲いていました。
ちなみに、ハナミズキの花は中心の黄緑色の部分で、小さな花がいくつも咲いています。
・・・ということを、昨年知りました。てっきり、ピンクや白色のところが花びらだと思っていたのですが、これらは「総苞片(そうほうへん)」という、中央の小さな花々を守る葉とのこと。
このことを書きながら、そういえば、その中心部分をしっかり見てくるのを忘れた! 花は咲いていたんだろうか・・・と思いました。今度通りかかる時は見てきます。
■2023年4月10日~
「ハナミズキの花が咲いている!」と思ったけれど、あれは本当に“咲いている”状態なの? そんなことがふと気になった2023年4月10日。小さな花の集まりが、ふと「まだ蕾なんじゃないの?」と思えました。
いつものハナミズキの近くを通りかかるたび、撮影し続け・・・4月10日、11日を経て、12日・13日くらいには、いくつかの花がちょっと咲いているような? なんか、ぺんぺん草に似ているような? 数日開いて17日、咲いているっぽいです。また数日開いて24日、満開のいい時は過ぎてしまったようで。25日の雨を経て、26日にはほぼほぼ苞(ほう/がくにあたる部分)は散っていました。
途中、間は空いてしまいましたが、続けて観察してきたことで、おそらくこれが“咲いている状態”を確認! でも、調べないので、「どうかな?」とよくわからないまま、過ごしています。「こうかな」「ああかな」と想像する時間もいとおしいものです。
2カ月目◎2023年5月

■2023年5月2日~
2023年3月19日からスタートして約2ヵ月半が経ちました。この短期間にも、さまざまな姿を見せてくれています。花が咲いた後には、実のようなものが出てきましたよ。
3カ月目◎2023年6月

■2023年6月12日~
この実のようなものは、どうなっていくのでしょうか?
4カ月目◎2023年7月

5カ月目◎2023年8月

6カ月目◎2023年9月

■2023年9月10日
ハナミズキの実、8月26日には「橙色」だったのが、9月10日には「赤色」に色づいていました。
■2023年9月13日
今回、動画も撮影してみました。写真の場合はほんの1秒ほどで撮れますが、動画は数秒ほどかけて撮ります。そうすると、それまでは意識していなかった虫や鳥の鳴き声、風の音にも気づくことができました。
気づけることが増えると、世界はこんなにも豊かになるんだと思います。この日は「あぁ、やっぱり秋」と感じていました。
■2023年9月24日
いつも朝や昼に撮影することが多いのですが、今回は夕方に。どの時間帯に見るかで、ちょっと印象も変わってくるような気がしますね。
7カ月目◎2023年10月

■2023年10月2日
この赤い実がどうなっていくのかを、見守っています。
■2023年10月4日
前回訪れたのはたった2日前。ハナミズキはゆるやかに変化していっているように感じていたので、この2日では何も変化がないかなぁと思っていたら!
あれ? 赤い実のそばに、にょきっと顔を出す、緑色の何か! このたった2日間での変化なのか? 「変化はないかな?」と探していたから気づけたのか?
写真を見返すと2日前には、この緑のにょきっとは見当たらなかったので、この2日間での変化! すごい! そんな喜びを感じた今朝でした。
■2023年10月9日
雨降りの後の、くもり空。17:00過ぎ。朝に見るのとはまた違う雰囲気のハナミズキ。赤い実より、赤く紅葉していく葉のほうに見とれました。
■2023年10月12日
赤い実が、一つ、また一つと、下に落ちていき・・・謎の緑の何かが、ぐんぐん大きくなってきています。この緑の何かは、何なのか? 観察を続ける日々。
■2023年10月18日
赤い実のまわりから、ひょこっと顔を出していた、謎の、緑の、何か。赤い実が落ちた後、ますます存在感が大きくなっています。このまま大きくなるだけなのか、また花か葉が開くのか。引き続き、観察を続ける日々。
ハナミズキを追いかけるようになってから、「ハナミズキの紅葉といえばこの姿」というのを覚えて。てくてく歩く中で、「あぁ、こんなところにもハナミズキの木があったのか」と発見する日々です。
■2023年10月20日
赤い実のまわりから、ひょこっと顔を出している、謎の、緑の、何か。これまでのハナミズキの写真を見返していて気づきました。そうだ! 追いかけ始めた3月19日にも、この何かを見ていて。それは蕾でした。もしかして、秋にも花が咲くの? わくわくが続きます。
■2023年10月22日~
ひょこひょこひょこっと顔を出している、謎の、緑の、何か。ここから、どうなっていくんだろう? と、わくわくしながら追いかけ中!
8カ月目◎2023年11月

■2023年11月2日
「もしかして、挨拶してもらえたんじゃない?」と心ときめいた出来事が!ハナミズキの日々を追いかけ始めて9カ月目。時々、「あのおっちゃんも、ハナミズキを愛でておられるのでは!」という場面に遭遇。
そして昨日、そのおっちゃんに「おはようございます!」と声をかけられたのでした。突然だったので、反射的に「おはようございます!」と返してしまったものの、なんだか嬉しくて。
が、その数秒後。自転車で通りかかった人などもまわりに2~3人いたため、「あれ、もしかして私じゃなかったかも」とキョロキョロ。心配に。今日会えたら、この謎は解けるんじゃないか! そう思って、わくわく・ドキドキして向かったら・・・残念! 今日はお会いできず。明日以降に続く!
写真は地面に落ちていた、ハナミズキの葉っぱ。「大きいなぁ」と思わず手に取ってみました。

■2023年11月8日
「もしかして、挨拶してもらえたんじゃない?」が、「あぁ、やっぱり挨拶してもらえた!」に変わった、今日。目を見て、挨拶し合うことができました。ハナミズキのご縁!
■2023年11月11日
もしかしたら、このまま冬を越すんじゃないの?
そんな予想が頭を過って心躍った今朝。そう、このハナミズキの木と出会った3月とほぼ同じ姿になってきたんです。
「ここからどうなるんだろう?」と楽しみにしていた“ひょこひょこひょこっと顔を出している、謎の、緑の、何か”。これは蕾で。花開く春まで、ぐっとこの中にエネルギーを込めているのでは! そうだったとしたら、すごい! なんて素敵なんだろう! と。
その妄想だけで、ドキドキしちゃいました。
9カ月目◎2023年12月
※振り返って、気づきました。この月だけ、写真を撮っていません! 前を通りかからなかったのか、見上げつつも撮らなかっただけなのか・・・
10カ月目◎2024年1月

■2024年1月19日
昨年の10月から、この姿。この蕾の内側に、ぐっとエネルギーをため込んでいるのです、きっと。春に向かって。
11カ月目◎2024年2月

■2024年2月16日
ひさしぶりに近くを通ったので写真を1枚。枝々の向こう側に月も見えました。通りすがりの人に「何、撮ってるんすか?」と声をかけられ、「ハナミズキです」と答えたら、「いいっすね」と言われて。なんだか、嬉しい気持ちになりました。
12カ月目◎2024年3月

■2024年3月17日
「あぁ、今日で出会って1年が経つんだ」と、ときめいてしまいました。
■2024年3月19日
いつものハナミズキの木と出会って1年。1年記念日♪ 季節は巡る。もう1年、まだ1年と感じるくらい、そばでいろんなことを教えてもらいました。
1年1カ月目◎2024年4月

■2024年4月4日~
外出先からの帰り道、電車の車窓から見えた、別のハナミズキ。花が咲いていたので、「もしかしたらあの木の花も♪」と見に行ったら、花が散って青々とした葉いっぱいになっていました。
その姿を見なかった12日間(4月4日から4月16日)。その“ほんの数日”のうちにも、大事な瞬間を見逃してしまう・・・ということを痛感した出来事。「あぁ、私。最近、心のゆとりがなくなっていたんだなぁ」ということに気づきました。なぜなら、この木のすぐそばを毎日のように通りかかっていたのに、寄ってみようという気持ちになれず。そうできないくらい、日々のことでいっぱいいっぱいになっていたんですね、きっと。
“誰か”に対してもそうなっていないだろうか。今一度、まわりを見つめ直すきっかけをいただきました。こう考えると、ハナミズキとの交流は、自分の心のゆとりをはかるバロメーターにもなっているんだなぁと気づきました。
1年2カ月目◎2024年5月

おわりに
この“いつもの”ハナミズキの木と交流する前2022年12月から、「おともだちの木」という1本の木と交流し始めていました。
「木々の緑が美しいなぁ」「今年もあの花が咲いているなぁ」と思っても、その瞬間、そう思うだけで終わり。その木が何の木で、どんな木かも知らず、自分の中に積み重ねていけるものがなかったからです。そこで、1本の木とおともだちになってみたらどうだろうと考えました。
その1本の木のおかげで、気づいたら今ではこの“いつもの”ハナミズキのほかに、ヤマモモやセンダン、ナンキンハゼ、百日紅、桜の木ともご近所づきあいができています。
以前なら、まちなかにある木を見て、「本来なら伸び伸びと伸びたかっただろうに。こっちに伸びた枝を切られてしまって」「思うままに伸びられず、窮屈だろうなぁ」「枝葉の中にごみを捨てる人が」「落ち葉が燃えるごみになってしまうなんて。土に還れるのになぁ」「人間の都合に付き合わせて申し訳ない」などかなしく、心苦しく、申し訳なさを感じていたのですが。
最近は「同じ、まち育ちですね」「散髪ですか? 私も散髪しました。えらい、角刈りにされてしまいましたね」「もしかして、年齢も近いんじゃないんですか?」と心の中で話しかけるようになっています。
仲良くなりたい、そんな木が、身近にいませんか?

いいなと思ったら応援しよう!
もしよろしければ、応援いただけると嬉しいです。いただいたチップは「ZINEづくり」に大切に活かし、励みにさせていただきます。完成したZINEのご紹介や、それを持って出展したイベントのレポートなども、こちらでお伝えしていきますね。