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子供のためのオルセー美術館(196)青い色はどこから/ルドン・パステルの花を重ねると

えないものをきたい


ルドンはひとり息子むすこのアリの横顔よこがおきました。いつものようにキャンバスのはじっこに、ほそせんでぼんやりと。
まだちいさくて無邪気むじゃきなセーラーふくのアリ。

アリのこうにえるものは、そら
いったいあれはなんでしょう。


ルドンは、こんなアリのの一枚を、あお帽子ぼうしをかぶったブルターニュの少女しょうじょきかえてしまいました。

どこかアリにもているけど少女しょうじょくちもとは、いまにもなにかはなし出しそう。

あなたはだれ。なにしてるの?

ゆめなかにいるようなそんな少女しょうじょのおはなしなら、ふわりとおもかんでは、どこかにすっとえてしまうのかも。


そして、この帽子ぼうしあおといったら。
おくまできらきらしたパステルのふか青色あおいろです。


それと、がついた?
ルドンのいた「だまし」の額縁がくぶちから、緑青色ろくしょういろっぱのえだがひとすじ、そのあお帽子ぼうしにとどいたのに。


パステルのはな

かるくて繊細せんさいなパステルは、はらはらとえてなくなりそう。ふるえるようにかさなったパステルの結晶けっしょうは、パステルのはな、とばれました。

でも、ルドンの純粋じゅんすいやさしいには、おもいがけない強烈きょうれついろとエネルギーのパステルのはなまれていたのです。


あお帽子ぼうしの少女のいまパリにあるけれど、だれらないゆめのどこかで、いつかばったり、この子にえるかもしれないね。


おしまい

ODILON REDON 
June fille au bonnet bleu
Début des années 1890 Pastel sur papier
オディロン・ルドン
青い帽子の少女  1890初期
パステル、紙

ルドンはここで、だまし絵の錯覚の技法を用いて重なり合うように見える額縁を描くことで、異なる表現の層を生み出している。いつものように、彼は媒体、あるいは彼が「素材の誘い」と呼んだもの、つまり画材そのものに導かれるままに制作した。
ルドンは、もともと別の構図(これも横顔の人物)を描いていたが放棄した後、この紙を 180 度回転させて、息子のアリの肖像画を描き、最終的には、その肖像を伝統的な鮮やかな青色のブルターニュの帽子をかぶった若い女性の肖像画に変えていった。

musée d’orsay 

パステル
パステルは、顔料に粘土やカオリンなどの白色充填剤を混ぜたもので、結合剤(通常はアラビアゴム)は、色のついた粉をアマルガム化させる。使用するつなぎの種類と量によって、パステルの硬さが決まる。パステルは、準備や乾燥の時間を必要としない「クリーン」な技法である。レオナルド・ダ・ヴィンチは、恐らく1499年にフランス人のジャン・ペレアルによって始められたと思われる、この「乾式彩色法」を最初に使った一人である。
パステルは時間が経つと壊れやすく、保存上の問題がある。ある種の顔料は光で劣化し、カビが発生し、ほこりは大敵である。また、振動に非常に敏感で、わずかな衝撃や傷が「パステルフラワー」を傷つけてしまう。そのため、ガラスで保護し、弱い光に当てなければならない。

musée d’orsay


Portrait d'Arï Redon au col marin
vers 1897
水兵服の襟をつけたアリ・ルドンの肖像 1897頃

1889年、最初の子供を亡くした後に誕生したアリは、オディロン・ルドンにとって大きな喜びをもって迎えられた。「唯一の子として、細やかな愛情に包まれて育ち、その存在によって家庭に絶えず喜びをもたらした。父親はしばしばその姿を描きとめたのである」(ロズリーヌ・バクー『アリとシュザンヌ・ルドンの寄贈』1984年)と記されている。
1897年のこの肖像画では、アリの横顔が画面右側に描かれている。このような中心を外した構図は、ナビ派の若い画家たちに好まれていたものであり、彼らはルドンに対して敬意と称賛を寄せていた。ルドンの作品にしばしば見られるように、背景はかすかで曖昧な筆致によって描かれており、それが作品に特有の純粋さと優しさを与えている。
1912年に雑誌『ラ・ヴィ』に掲載された記事の中で、ボナールはルドンに敬意を表して次のように述べている。「私はオディロン・ルドンの作品に深い敬意を抱いている。彼の作品で最も印象的なのは、相反するような二つの資質―非常に純粋な造形美と非常に神秘的な表現―が融合していることである」。同じ記事の中で、モーリス・ドニもルドンについて「彼は象徴主義の若い世代にとっての理想であり、我々にとってのマラルメであった」と語っている。

musée d’orsay 

お読みいただきありがとうございました。
パステルの儚い美しさ。ひと昔前のオルセー美術館では、パステルの作品は暗室に展示されていましたので、そのイメージを持っている方も多いかもしれません。(現在は普通の絵画と同様の展示)
本当は解説の不要なルドンの絵。穏やかで詩的なルドンの絵の神秘に、皆様何を思われたでしょう。

“Je veux rendre ce qui ne se voit pas.”— Odilon Redon
「私は目に見えるものではなく、見えないものを描きたいのです」ルドン

現在オルセー美術館では、ルドンの青い帽子の作品は展示していませんが、もう一つのアリの絵は展示され久しぶりの公開のようです。
オルセー美術館の展示替えは度々ありますので、お気に入りの作品に見事出逢えるか?
皆様もまずは行ってみて(ドキドキ)ですね。