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中くらいさん

8歳の娘をつい「おチビさんですねぇ」などと言って赤ちゃん扱いしてしまう。
すると彼女の小さな逆鱗に触れて
「おチビさんじゃない‼︎」
とプンツコされてしまう。

「じゃあ、おデカさん?」
「おデカさんでもない‼︎」
再びプンツコされる。
「じゃあ、中くらいさん?」
彼女は満足げに頷くと、
「中くらいさんでござる」
と、無事着地した。

その日以降娘は「中くらいさん」になった。
なお、語尾は「ござる」または「やんす」であることが多い。

夕食時、中くらいさんはテレビを見ながらダラダラ食べをしていて、敷物にお茶を少しこぼした。
「テレビ見ながらボーッとしてるからでしょ。ティッシュ持ってきな」
そう言い放つと、本当は椅子に座りたいのに、嫌々この敷物がある場所に座ることになったからこぼしてしまったのだと、お茶をこぼした原因を家具の配置のせいにしてきたので、
「座る場所のせいじゃないでしょ。中くらいさんならこぼさずに食べられるはずでしょうが」
私はピシャリと言い返した。

「……本当は、中身はおチビさんでござるよ」

涙は流さない泣き声で、そう訴えるのだった。
「そうでござるか〜」
私は小さな背中をさすった。

中くらいさん(中身はおチビさん)は、小学生になる頃より自室で1人で寝ている。しかし最近は寝かしつけを積極的に要求するようになった。

「こうしてお母さんがそばにいるだけでとっても安心するでやんす」

中くらいさんの言葉は直球で、眠る直前に高まった彼女の体温のように温かい。
その後、私の知らないポケモンの知識をペラペラと披露し始めた。151匹時代を生きる私には、まるで外国語のように右から左へ受け流された。

話が途切れたところで、もういいかなと布団を出ようとすると、腕をぎゅっと掴まれた。
「出て行こうとしたの、バレてるでやんすよ?」
中くらいさんは豆電球の薄闇の中で目を光らせてニシシと笑う。逃走計画はすべてお見通しである。
もう少しだけそばにいることにした。

温かい鼻息を顔で浴びながら、ゆっくりと呼吸する。体勢を変えようかと少し体を動かしたとき、

「もう行ってもいいでござるよ」

中くらいさんは私を優しく解放してくれた。

「おやすみでござる」
「おやすみでござるよ」

私はそっと布団から出て、リビングへと戻った。


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