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狐火バーベキュー

「楽しかったな、去年の夏の」
「ああ、BBQ。川でやったやつか」
「肉うまかったし、ビールも旨かった」
「こんな風に夜空もきれいだったな」
「あれが皆で集まった最後になっちまったな」

 風切り音が絶え間なく激しくなる。
「もうだめか」
「なんでこんな時に思い出したんだ?」

「頭を低くしろ。奴らにすっかり囲まれちまった。四方八方から撃ってくる」

「銃口の火花が連なって動いてくるぜ」
「地獄送りの燐火かよ」

「こんなことになるなんてな」
「俺たちには関係ないと思ってたな、あの時は」
「あの火の行列で俺たちがBBQにされるわけだ」
「旨くねえな」
「まったくだ」
 二人は少し笑った。
「俺、あいつにプロポーズしたかったんだ」
「そうか……」

「お前、壕を北へ走れ。俺が援護する」
「一人で死ぬなよバカやろう」

 間近でひゅんひゅんと音が過ぎた。
二人の会話が続くことは永遠になくなった。

 葬列のごとき火は青白き若き魂を見送った。
火が消えたあとの屍の群れに狐が長く鳴いた。

完 410文字(段落空け、字下げ含まず)


たらはかにさんの毎週ショートショートnote今週のお題
「狐火バーベキュー」に参加させていただきました。

すみません。くらーい内容で。
皆、それぞれで夏を迎えましょう。


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