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獣人十色 #毎週ショートショートnote
「ダメ!カット!」
監督の怒声、主演の若者は項垂れる。
「目の前で恋人を襲われその怒りで獣に化身するんだろ!なんだその芝居は!ハルクの二番煎じみたく身体だけ震わせたって駄目!目が怒ってねえんだよ!」
「はい、ちょっと休憩しまーす。メイク直し」ADが声を掛ける。
「大丈夫、鷹也ならできる」マネージャーのヒヨコが声をかけた。
「無理っすよ。俺なりの怒りの表現、監督は気に入らないんだ」
「新人が俺なりの芝居?十年早いんだよ」
「ったく、なんでこいつ主演?マネージャーの枕営業かあ」
「蓼食う虫も好きずきってことか?マネージャーさ~ん」
聞こえるように罵詈雑言と嘲笑を浴びせる先輩役者やスタッフたち。
鷹也は拳を石として一歩踏み出すのをヒヨコが後ろから抱きしめ止めた。
「ダメ!!」
「うるせぇてめえら!てめえらの芝居にゃ虫もつかねえ! おお鷹也、その目だぜ、いくぞ、このまま正面!」
監督が叫びファインダーをのぞく。
カメラに映る眼に本物の獣が現る。
完410文字
映画「ブラック・レイン」
パラマウントエンターテイメント・JAPAN
30歳代で見た映画でトップクラスの衝撃を覚えた作品。巨匠リドリー・スコットのフィルムワークとマイケルダグラス、アンディガルシア、高倉健、松田優作、若山富三郎ら超一流の演者。凄すぎる作品でした。
松田優作さん、この映画の中で見せる眼はまさに獣でした。
いまだフィルムの中の彼に身体も心も震わされる。
たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「獣人十色」に参加させていただきました。
いやー、私も書かしていただきましたが今回のお題、難しい割には応募作品がバラエティに富んでて、名作揃いの予感がします。
ぜひにできるだけ沢山読んでくださいね。
