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寒波 #ボケ学会

 モチ談義のジジィ二人。今日は寒いので公園ではなく、近所の喫茶店に居座っております。

「今日も寒いなあ」
『そうやな、昨日も一昨日も寒かったな』
「そやけどここはあったかいな」
『あるで』

「え、なにが?」
『喫茶店やねんからそりゃあるわいな』
「あんた、もしかして、また間違ってるんとちゃうか」
『なにが?』
「いや、だから、ここは喫茶店やな?」
『そうや』
「あんたはここが喫茶店やから、なんかがあると思てるねんな」
『そうや、喫茶店やもん』

「やっぱりや。間違ってるわ」
『違わへんがな、ここはきっさてん。カフェとも言うな』
「違うがな」
『違わへんがな』
「あー、このオッサン、ややこしいわ! わしはな、喫茶店の話をしてるんとちゃうねん」
『ほな、なんの話やねんな?』

「今日は寒い」
『あー寒いで』
「けど、ここはあったかい」
『そうや。喫茶店やもん』
「なんや、わかっとるんかい。おちょくっとんかいな」
『そりゃ喫茶店やからココアぐらいあるわいな』
「ココア? わしがいつココアの話したんや」
『あんた、さっき、言うたがな。「ココアはあったかいな?」って』
「違うがな……」

『あんたな、自分の言ったことには責任ちゅうのが発生するねんで。ええか、よう聞けよ。あんたは最初「ココアはあったかいな?」って聞いたな。そやからわしは「あるで」って言うたの。それをあんたはごまかしてやな、「ココア暖っかいなー」って、いわゆる論理のすり替えっちゅうやつをしたんや。ええか、そういうのはやな……』
「わかった、わかった。ココア暖かいから頼むわ、追加で。すんません。マスター! ココア追加で頼んます」
『わしのも』
「…… 二つで!』

 ココアがくるまでしばし沈黙。

『ところであんた、モチ食うた?』
「それ、前回話しました」
『そうか? で、食うたの?』
「はい、食いました……」
『うまかった? わし……』
「はいはい、あんたは娘にあかん言われて食うてないねんな。ほんでわしが小さくしてもらったらいいんとちゃうって言いました。なんせモチはリベラルやから……」

『あんた何の話してんの? モチがリベラルって、ど、どういうこと?』
「もうええがな……」

 ココアがくる。

「あったかくて旨いな」
『な、旨いやろ? わしのおかげやで』
「え、なんであんたのおかげなん?」
『あんたが「ココアあったかいなあ?」って言うたときにな、わしはピンときたんや』
「なにを」
『あーこいつ、老眼進んで、メニューの字が読めんように……』
「ほっといて! もうええわ」

 しばしココアを飲みながら沈黙。

『しかしなんでこんなに寒いんかな』
「そりゃ、冬やからな」
『そりゃそうやけど、節分もすんだしな。そろそろ春やで』
「そうやな、そやけど今年最強の寒波がきてるよってな」
『最強のかんぱってなによ、それ?』

「寒波は寒波やんか」
『誰か困ってるんか?』
「え、誰が?」
『誰か困ってるからカンパするんやろ? わしも1000円くらいやったら協力するで』
「いや、それは有難い話やけどな、ちゃうねん。そのカンパとちゃう」
『ほな、どちらさんへの……』
「いや、違うがな。お金を寄付するカンパやのうて、寒いほうの寒波(かんぱ)」
『いや、だからフトコロ寒い……』
「しょーもないオチつけんな。冬の寒波や、冬将軍!」
『マッカーサーは夏に来たで』
「その将軍ちゃうがな…… マッカーサーって、あんた幾つやねんな……マッカーサーの位って、将軍って言うんか? あー、そんなんどうでもええわ。とにかく冬の寒いやつのほうや!」

『ああ、その寒波ね。わかるわかる。知ってるで。ちなみに歳はあんたと同じ』
「そうやったな……」

 しばし沈黙。

『寒波って、なんで【かんぱ】っていうんやろな』
「あー、それはそうやな、けど読んで字のごとくとちゃうか?」
『それ、どういうこと?』
「こう、大陸のほうからめっちゃ寒い波がどどっーと押し寄せてくる感じやからちゃうか?」

『あんたな、またわしに、ええかげんなこと言ってないか?』
「いや、別にええかげんな事は言ってないと思うぞ」
『ほな、聞くけどな、寒波の寒いのはなんで?』
「それはやな、冷たい風がピューっとやな……」
『ほう、それで?』
「雪がどかーんと降ってやな……」
『ほう、それで?』
「いや、だから寒い……」

『あんたさっきな、読んで字のごとくって言うたよな?』
「はあ、言うたで、そやから、冷たい風がピュー……」
『寒波というのは寒い波と書くんやな』
「そうや……」
『波がピュー言うか?』
「いやそれは風が……」

『波はザザーっとかドンブラこっことか、さぶーんとか、なんかそんなんやろ。ピューとかどかーんとか言わんやろ? なんなら雪かてどかーん言わへんわ。どか雪とかは言うけどな。とにかくや。なめとったらあかんで。雪はしんしんとかや。オノマトペなめとったらあかんで、しかし』

「もう、堪忍してくれよ……」
『あんたがええかげんな事言うからや』
「たかが寒波でそんな」
『たかが? ほな日本全国、寒くて辛いのは【たかが寒波】のせいですか?』

「分かった。わしが悪かった。そんな立て続けにぼんぼんと言われたら、寒波よりあんたのほうが身体に堪えるわ」

『甘えたらあかん。話の波にも呑まれんようにせな』


(だいたい2100文字くらい)

曲名 雪  アーティスト 猫


ボーンさんの企画、ボケ学会のお題「寒波」に参加させていただきました。
宜しくお願いいたします。

文中のジジィ二人組はこの記事でもご覧いただけます👇


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