新しい環境に順応する時に迷うこと
どなたでも生きていれば、新しい場所、新しい環境に身を投じなければなりません。
それは何故かと考えると、過去の自分と今の自分がわずかながら違うからです。
過去より成長した自分が必然的に新しい環境を求めるのだと思います。
それが最初に顕著に表れるのが、中学、高校受験です。少しでも偏差値の高い学校を目指して受験勉強をした記憶が、誰にでもあると思います。
社会人になっても、会社でより高い給料、より高い部署を目指して、向上心をフルに発揮して頑張っている人もたくさんおられると思います。
しかし、実際に成功して物理的、経済的に満足した結果が得られたとしても、精神的には安心した結果が得られないと感じる人も少なくないと思います。
例えば、希望した大学に入り、希望した仕事についたとします。自分が入った場所は、自分と同じか、それ以上の能力を持った同僚と、それをはるかに凌ぐ能力を持った先輩、上司が存在しているわけです。
気負わないはずはありません。精神的なプレッシャーが連日続きます。
五月病が発症する理由もうなづけます。人間の極度の緊張感が持続する時間も限られています。
入社して、新しい顔と場所で、素の自分を出せず、気をゆるす相手もいない環境を1ヶ月続けたら、無気力になることも容易に想像できます。
私も転職の回数が多かったので、新しい場所での緊張感は何度も味わいました。
その中でもやりづらかったのは、自分より年下の上司から仕事を教えてもらう時です。
25歳の時に旅行代理店に中途入社しました。添乗員という仕事をするにあたり、興味半分、不安半分という心境の中で、仕事を教えてくれるのは、大学卒業して1年目の田中という主任でした。
彼も私が年上だという認識で、最初は丁寧な敬語で教えてくれていましたが、私が数ヶ月経っても敬語を使い続けているので、次第にタメ口に変わっていきました。
しかし、これは社会人では当たり前の風景だという認識は、当時の私にもありました。仕事を教えてもらう以上、下手に出らなければ損をするという理解はあったし、組織の常識として、能力がある者がマウントや主導権を握るのは当然のことです。
現在、勤めている運送会社の直属の上司も年下です。川島支店長といって、私より10歳年下です。私が51歳だから、彼は41歳です。
勤続年数も私の方が5年ほど長いから、彼も私には遠慮をした口調で話します。
運送会社という場所は、普通の会社と違って、部署の違いで上下関係を気にしなかったりします。
通常、主任、係長、課長などの役職についている人には、その役職名で呼ぶと思います。
しかし、私の会社では、事務所職員は、そのルールに従っていますが、私たち運転手は、従っている人もいれば、そうでない人もいます。年配の運転手は、支店長を名前で呼び捨てにする人もいます。
しかし、これには意味があって、他の運転手に対して、『俺は支店長にも呼び捨てにできるくらい古株で仕事ができる』という自負と、マウントを取りたい表れです。
要は、自分のいる場所を如何に最適で心地よい場所にすることも、会社員が念頭に置くべきことだと思います。
運送会社のマウントの取り方が、一般の会社で通用するとは思えませんが、基本的には仕事に慣れて、周囲からも一目置かれる存在になるまでは、緊張の糸をほどけないと思います。
しかし、人生は人間関係の連続です。新しい環境だろうが、慣れた環境だろうが、必要なスタンスは、
『謙虚な姿勢』だと思います。
謙虚になりなさいと抽象的に言われても、今の自分をどう変えたら、謙虚な一面を客観的に認められるだろうという疑問はあると思います。
会社員や病院や介護の現場では、一般的に勤続年数が長くて立場的に上であれば、当然タメ口でマウントをとった口調になっていると思います。
マウントをとるのはいいけど、相手から学ぶことがないと決めつけるのは危険な思考です。
相手が立場的に下でも、仕事意外のことでは、様々な経験をしている人も多数います。
異業種から転職してきた人は、違う視点を持っています。
要は、謙虚な姿勢を持っていれば、先入観を持たずに、相手を観察、分析できる柔らかい思考ができるのだと思います。
他者から学ぶというスタンスを持っていれば、自然と物腰が柔らかくなって他者にマウントを取られてなめられると思って、なかなか謙虚になれない人が多いと思います。
しかし、信念さえ持っていれば、なめられることもないし、謙虚な姿勢でいることで、親しみやすい雰囲気をまとって、悪意のない友人が集まりやすくなると思います。
