ダミアンに値札が貼られた。公平を信奉する「かの汚泥」の不存在
公式がXに投稿した一文を読んだ。
「照は『ダミっちに任務を振った』」
【イラスト公開】
— ゼンレスゾーンゼロ公式 (@ZZZ_JP) May 1, 2026
休むことも仕事のうち|氷の温もり
「プロメイアみたいにいっつも『働いてる』人こそ、今日は思いっきり楽しまなきゃ!…本当の意味での、お休みをね!」
「休み…か?照は『ダミっちに任務を振った』と言っていたけど…」… pic.twitter.com/56Z0OAejst
値札を貼られた、と思った。
照というキャラクターには、実装前と実装後で価値観の変化がある。
実装前の照は「等価交換」の人間だった。人は価値を示せるかどうかで全てが決まる。それが彼女の軸だった。
実装後、その軸は動いた。「心はプライスレス」。「貴いものに値段は付けられない」。

この変化自体を否定するつもりはない。なんなら当時、私は心から喜んだ。
(後になって、これが自分で自分を欺いていたことに気づく。)
照様が救われて本当に良かったよおおおおおおおおおおおああああああっッ!!!!!!!!!!!!!!
— ぜあみだのと(あみだむらさき改め。PN変えました (@Amida_mu) December 30, 2025
問題はその運用だ。

照の「プライスレス」は、全員に適用されていない。
彼女が気に入った対象はプライスレス扱いされる。それ以外は評価され、序列に置かれ、支配の対象になる。プライスレスかどうかを決めるのは照自身だ。恣意的に。
恣意的な裁量で権能を振るう組織にいれば、そうなるのも妥当ではある。しかし筋は一本しかない。気に入った相手にだけ適用される「プライスレス」は、原則ではなく特権だ。
ダミアンは後者に分類された。「価値を否定された」わけではない。「使っていい側の人間」として分類された。値踏みされ、値札を貼られ、リソースとして運用される側に置かれた。
照がダミアンに任務を振るという行為には、三つのものが同時に踏み越えられている。
合意していない上下関係。契約していない義務。そして、ダミアンの意思決定権。
これは命令ではない。「お前は使っていいリソースだ」という前提の、一方的な押し付けだ。権限構造を捏造された、と言い換えてもいい。
そしてここが重要だが、仮にダミアンがこれを自ら受け入れたとしても、結論は変わらない。抵抗しても従っても、値札は貼られたままだ。
さらに、この任務には層がある。

ゲームのロア上、照はかつてポーセルメックスの一社員に対して、なんらかの加害を匂わせる一線を越える行為をしている。その事実をダミアンは知らない。知りえない立場にいる。彼は自分の会社の社員がすでに一線を越えられていることを、表の情報として持っていない。
「照はダミっちに任務を振った」——これは、その裏の一線がとうとう表に出た瞬間だ。水面下で越えられていたものが、今回初めて可視化された。
ここまで、ダミアンが一方的に値札を貼られる過程を書いてきた。ただ一つ、手放せない記憶がある。
照のキャラクターEP「Tiny Giant」でのダミアンだ。
彼は動画の中で、下っ端として、秘書として、カメラマンとして、バックダンサーとして動いていた。そのどれも、楽しそうに見えた。あのロールを心から演じている男に見えた。
同時に、こう読むこともできた。これは戦術的な従属だ。いつか噛みつく機会を伺いながら、今は下っ端を演じている。そういう解釈が、十分に成立した。

そして彼は、照の手帳のアイコンに色を塗っていた。カラフルな照のアイコンの隣で、自分のネクタイだけを黒く塗りつぶして。

楽しい深読みができた。あの頃は。

ダミアン・ブラックウッドというキャラクターを、ゲームを知らない人のために軽く説明する。
野心を持ち、自分の頭で動き、誰の駒にもならないために立ち回ってきた男だ。ポーセルメックスCEOの座に最も近い位置にいた人間。主体として生きてきた。
だから値札は、単なる侮辱ではない。存在の否定に近い。
「照はダミっちに任務を振った」。
公式の描写はそれだけだ。ダミアンを疎外する意思があったとしても、そこに悪意があったとは思わない。おそらく無自覚だ。
それが、より深刻だと思っている。
