【ゼンゼロ】裁定官『照』の優秀さを最新テキストのみから読み解く
※上の画像は生成AIイラストに手直しを加えたものです
本記事は、TOPS自主規制組織 “クランプスの黒枝” の照が、いかに優秀で老獪で公平であるかを、克明にするための分析である。
1. 最新テキスト本文
8月5日から始まった常設イベント、「迷い路の謎」にて、ダミアン・ブラックウッドと照(Zhao)の関係を示すシーンが描かれた。
長くなるため全文引用は避けるが、以下、論証に関わる箇所を抜粋する。
ダミアン:H.A.N.D.の依頼で、ポーセルメックスより輝磁の素材が届いたばかりですが、こちらのD・エータ女史は、さらに防護設備を追加したいと仰っていましてね。(中略)私の一存で追加することはできますが……少々、お力添えをいただく必要が。
主人公・プロキシが基地からの依頼としてこれを受け、実際にレコードを回収する。回収先ではバーニスが、自発的にレコードを差し出す。

その後、基地に戻った主人公から経緯を聞いた照は、こう告げる。
照:つまり……ダミっちが職権乱用して、物資をちらつかせながらキミたちにこれを探させてたってことぉ?しかも、冷蔵庫が壊れちゃったバーニスさんから、冷却機能付きレコードを奪い取るよう強要したんだぁ?
以上が今回の争点となるテキストである。
2. プロット都合の役割設定と、そもそもの発端
今回
ダミアンが「職権乱用の役」
照が「それを裁く役」
を与えられていること自体は、プロットの都合として認める。
この記事はその役割配分の是非を問うものではない。
ダミアンの3Dモデルの身長が縮められていたことも扱わない。
その役割がどう遂行されたかである。
そしてもう一点、押さえておくべき前提がある。
今回の騒動の発端は、照がパパゴホロウで私物のレコードを紛失したことにある。ダミアンはそれを知っていたが、照はダミアンにも、基地にも、レコードの捜索を依頼していない。
つまりダミアンは、誰に頼まれたわけでもなく、独断で主人公と基地を巻き込んで捜索を進め、しかもそれを照に内密で進めようとした。
その内密であった事実は、ダミアン自身の口からではなく、主人公の説明によって初めて照の知るところとなっている。
好意的に読めば「照にサプライズで取り戻して株を上げたかった」だろうが、「黙っていたことが第三者の証言で露見する」という展開になっている点は、記憶しておいてよい。
3. ダミアンの立場・仮説
ダミアンの職権乱用がどの程度の重さを持つ行為かは、彼の立場をどう規定するかによって変わる。以下、三つの仮説を立てる。
A. ポーセルメックス責任者:自社の裁量で動く独立した経営主体
B. 照の監督下にある責任者:ポーセルメックスはクランプスの黒枝(照)の監督対象
C. 照の秘書(兼業):職権乱用を行ったのは「責任者」としてのダミアンであり、その後の冷蔵庫の発注・発送を実行したのは「秘書」としてのダミアンである
Cは照への援護として必要なため、強引ながら仮説として持ち出したものだ。
4. 照の立場・仮説
同様に、照の裁定にどれほどの権限的裏付けがあるかも、彼女の立場の規定次第で変わる。
①ポーセルメックス特別監督官:ポーセルメックスの業務を監督・是正する正式な権限を持つ
②ダミアンの監視者:ダミアン個人の行動を監督する立場(組織全体への権限は不問)
③ダミアンのボス:単純な上下関係。個人的な采配がそのまま組織の意思決定になる
5. 対応表――上記の仮説をセッティング
どの仮説を採用しても、照様はクランプスの黒枝の常勝不敗です。
3と4を掛け合わせると、以下のようになる。


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【①特別監督官】
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▼ A. 独立責任者
職権乱用は監督対象内で裁ける。ただし、基地・D・エータという監督権の及ばない他組織まで巻き込んだ乱用を、照が独断で「解決済み」とする根拠がない
▼ B. 監督下の責任者
監督対象内なので裁定自体は成立する。だが「バーニスから奪い取るよう強要した」という事実誤認込みの裁定を下している時点で、監督官としての職務遂行能力が疑わしい
▼ C. 秘書兼業
監督官が、被監督者の"秘書機能"を使って自分の私的な意思決定(冷蔵庫供与)を実行させている。監督する側とされる側の境界が溶けている
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【②監視者】
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▼ A. 独立責任者
監視者にすぎないなら、処分・資源配分(報酬・冷蔵庫)を独断で決める権限の説明がない
▼ B. 監督下の責任者
逸脱の報告・是正は筋が通るが、D・エータの逸脱は監視対象外として黙殺しており、監視の網羅性に穴がある
▼ C. 秘書兼業
監視者が、監視対象の秘書機能を私用に使う。監視者としての中立性が最初から崩壊している(利益相反)
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【③ボス】
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▼ A. 独立責任者
「ボスだから」で処分できるが、それは職務上の正当性ではなく単なる権力関係
▼ B. 監督下の責任者
報酬・冷蔵庫という資源が「会社のもの」である以上、私的な上下関係を公的資源の采配に横流ししている
▼ C. 秘書兼業
照自身が、ダミアンを裁いたのと同じ構造(私物化可能な手駒としての秘書)を使って、自分の私用を通しているという自己矛盾が最も鮮明になる
(コード表での対応表がうまく表示されないときは、上の画像になっている表を参照してください。)
この表からは、二つの傾向が見えてくる。
一つ。
Cを採用した瞬間、どの照の立場を選んでも「ダミアンを裁いた照が、同じ構造で自分の私用を通している」という自己矛盾が必ず露出する。
ダミアンの罪状は「公的な取引の場を使って、照の私物探しという私用を通したこと」だった。
ところが照自身も、バーニスへの「報酬」という私的な感謝を、ポーセルメックスの調達・物流網——「メイキュールから仕入れて」「発送先は猪突猛進」——という公的資源に流し込んでいる。
咎めた相手と同じことを、咎めた直後にやっているのである。
もう一つ。
照の立場をどう振っても、D・エータへの言及がないという穴は共通して残る。
①なら越権、
②なら監視漏れ、
③ならそもそも関係ないというだけで、いずれにせよ「なぜD・エータ=基地側は一切問われないのか」の説明は最後まで出てこない。
補足しておくと、D・エータは基地の人間であり、主人公も基地から探索・回収の依頼を受けている立場である。
つまりダミアンの職権乱用は、自社内で完結したものではなく、取引先である基地の業務リソースまで巻き込んだものだった。
D・エータは、取引先の責任者からの依頼を正式な「関連任務」として処理しただけであり、彼女に非を求めるのは酷である。
だからこそ、この巻き込みの重さを誰も——ダミアン本人はおろか、裁いたはずの照でさえ——一切問題にしていないという事実が、際立って見える。
照は、「ダミっちが職権乱用して、キミたちにこれを探させてた」と言った。
この「キミたち」には、本来D・エータも含まれるはずだった。
照はそれに触れない。
対象選定そのものの恣意性
ここで、対応表をさらに補強する仮説を加えておきたい。
仮に「照がバーニスへの謝礼を私的にダミアンへ指示し、ダミアンはその費用を照に請求できる」という前提を置いたとする。
この場合、報酬〜冷蔵庫の流れは私人対私人の関係として一応閉じ、対応表・Cで挙げた「公的資源への横流し」という批判は、この一点に限っては無効化できる。
しかしこの前提は、それとは別の、より裸の問いを立ち上げる。
なぜ照はダミアンだけを咎めたのか、という問いである。
この前提のもとで関係者の行為を洗い直すと、次のようになる。
ダミアン:職権乱用(確定)
D・エータ:取引先責任者からの私的依頼を、公的な任務システムに乗せた——組織倫理として見れば利益相反の一種
主人公:私的な依頼であることを認識しながら、結果として基地側の正式な任務として処理された依頼を引き受けた
主人公については一点補足が要る。
主人公は、照から直接問われて経緯を正直に話しただけではある。
倫理的瑕疵があるとすれば「私的な依頼と知っていながら引き受けたこと」ではなく「後で話したこと」でもない。
「依頼主の許諾もなしに仕事の経緯を第三者に話したこと」だと考える。
照が “クランプスの黒枝” という立場を離れ、一般的な倫理観で裁くなら、関与の度合いに差はあれど三者とも何らかの説明責任を問われて然るべきだろう。
照とダミアンが私人と私人なら、照と三者は私人と私人である。
ところが照が実際に行ったのは、唯一「自分に対する呼び方」を間違えていた相手だけを咎めることだった。
選別方法の捉え方を私が間違っている可能性もあるので、他の要素も見ておこう。
「ヒト男性だけを咎めることだった」
「白い服装の者だけを咎めることだった」
なんであれ、照は、三者ともに説明責任を求めることはなかった。
「照様」じゃないって、何回言えばわかるのかなあ?
仕事中は役職で呼ぶこと!

この仮説は、対応表の結論——「照は事実確認ではなく好悪で処罰対象を決めている」——を、私物探索の発端部分からさらに補強する。
「次はナシだからね」は何を禁じているのか
もう一点、テキストの語順そのものに疑問が残る。照の台詞を時系列で並べ直すと、
「ダミっちが職権乱用して……」(事実認定)
「『照様』じゃないって、何回言えばわかるのかなぁ?仕事中は役職で呼ぶこと!」(呼称の是正)
「もう……次はナシだからね」(禁止の宣言)
3の「次はナシ」が指しているのは、直前の2(様呼び)なのか、それとも1に遡って職権乱用そのものなのか、テキスト上どちらとも取れる形で発話されている。
もし前者だとすれば、
照は「様呼びするな」という念押しにだけ「次はナシ」という強い禁止形を使い、
職権乱用そのものに対しては、認定はしたが制止の言葉を一度も発していないことになる。
「反省しております」というダミアンの謝罪を、照はそのまま受け取って次の指示(冷蔵庫の手配)に移っており、職権乱用そのものへの明確な処罰・再発防止の言葉は、最後まで確認できない。
(後者の視点で改めて論じる必要がない。処罰・懲罰として冷蔵庫を買わせた場合と処理して、対応表に戻るだけである。)
この曖昧さ自体が、照の裁定が何を問題にしているのかを読者に判別させない構造になっている。
さらに、照はダミアンに対して「私への呼称」を是正しているが、その是正を正当化するために「仕事中は役職で呼ぶ」という一般規則の形を取っている。
しかし照自身はその規則をダミアンに適用していない。
(ダイアリンの「照ちゃん先輩」呼びは本記事では扱わない。)
6.ルールを守らせることが仕事の照が、実際にしたこと
・事実確認をせず
・「奪い取るよう強要した」という描写にない罪状を上乗せし
・ダミアンを役職名で呼ぶことなく、己を役職名で呼ぶことを求め
・咎めた直後に自分も同じ構造で私的な采配を公的資源に乗せる
——これが「ダミアンの職権乱用を咎めた」以外に、照がこのシーンで行ったことの全てである。
7. 結論
照様は疑う余地なく大変優秀です。
