ザオちゃん、Xiao'Zhao、照。私から彼女への愛の形とその変質

私がnote記事を書くときはいつも、論理的構成になるよう注意を払ってきた。しかしここらで内心の開陳をしておきたい。かなり赤裸々に綴る。
私は照を愛している。ただし、その愛には条件がある。
好意的解釈の足場が必要だ。
彼女の行動を善意で読み解ける余地がどこかに残っていなければならない。 その足場は薄氷だと、ずっと前から知っていた。
それでも私は歩き続けていた。キャラへの愛として。
ダミアンは歩き続けていた。己の誇りと不屈として。 それがダミアン・ブラックウッドの物語。

始まりはver.2.0の先行PVだった。 ピンク色のウサギの少女が映った。
セリフはない。映像からの想像に過ぎない。ただ、お茶目でわんぱくで、腕っぷしに自信があって、強いまなざしで先を見据えようとしている男性の背中越しに、彼を見つめる少女がいた。
その少女に惚れた。それが照だ。
ver.2.2で照はついにストーリーに登場した。しかし、彼を見つめる少女はいなかった。
ver.2.3でも、彼女が彼を見つめる機会は訪れなかった。
昨年11月14日、公式の説明が出た。クランプスの黒枝の審査のやり方や裁定の基準は人それぞれ、という旨の発表だ。
私はこの発表で絶望した。照はこんな設計、建付けが最悪の組織だと理解できない女性にされるのだと。それまでのストーリーで、彼女の言動に危うさはあった。好意的解釈で乗り切っていた。
しかしこの発表の後、覚悟した。次のアップデートで、照はおそらく絶望的な愚行を犯す。そしてその愚行を犯したとき、私は照ではなくダミアンを選ぶと。
予想通り、ver.2.4で彼女は愚行を犯した。
ver.2.2の登場時から脚本の力で「照は頭の回転が速く冷静で、商縁を逃さない。そして外見に似合わぬ破壊的な力を秘めている」ような印象を与えようとしていた照。
服務規程違反で死刑でも流刑でも地下送りでも、なんでも言ってくれれば一貫性のあるキャラとして惚れ直せた。
やったことは理知的判断が一かけらもない稚拙な加虐性の発露で、シーンは途切れた。
それでも私は照を愛していた。
この先、きちんと線引きのできる子になるかもしれない。稚拙な判断を省みるかもしれない。そう考えた。
選択の時は訪れ、私はダミアンを選んだものの、将来には期待した。
期待というより、祈りだった。彼女が救われてほしいと。
脚本の端々から照とダミアンを近づける気はないという意思は読み取れたので、照のプレイアブル実装時にストーリーで、彼女に救いをもたらすのはダミアンではない。
同時にプレイアブル実装されるキャラと主人公の見せ場となる。
あまりにもわかりきっている未来だった。
ダミアンは照と物語上で一番最初に出会いながら、照に何ももたらせなかった、物語で彼女への役割がないという敗北者になるのだ。
「どうして何ももたらせないと思う。」
「そんなものは私ではない。」
「ガキのような裁定官様には"教育"がいるだろう?」
ダミアンは私に策を見せた。
私は漫画シリーズ「その男、凶暴につかない」の執筆を開始した。

公式のダミアンに全く期待できない。ver.2.5アップデートまでに、あの誠実と狡猾の二つの顔を持つダミアンを、照に決別を告げるダミアンを描ききりたくて、取り憑かれたように描いた。
この物語でダミアンは、照と黒枝とTOPS、その全てを裏切り、決別する。
私が描いた決別のダミアンの表情は、もう二度と同じものが描ける気がしない。
ver.2.5。照がついに実装するアップデートだ。
私はプレイ前に、ストーリー上で照が心境の変化を得たと聞いていた。
どのくらい大丈夫になったか見届けて、ゲームをアンインストールするつもりだった。
照に何があってももう、捨てる、忘れる。なんなら照の言動の幼稚さをいちいち指差して笑うつもりでプレイした。 実際、程度の低い脚本にいちいち笑わされた。
心境の変化のシーンで、救われて良かったと、何度も自分に言い聞かせた。
心からそれを喜んだ自分を演じ、自分を欺いていたと思う。
プレイが終わって、「終わり終わり。照様が救われて良かった。」と、予定通りアンインストール。
その画面を眺めながら、照は子供だったという強烈な印象と、それを振り払うように、彼女はもう救われたのだから、それはもう私には関係ない、という感覚が、心の中で二つに引っ張り合った。
そのどちらかがダミアンだったのか、どちらもダミアンだったのか、今でも分からない。
ただ数日して、「照様はまだ救われていない」と強烈に私に言い聞かせてきたのはダミアンだ。 裏切った後悔は、ダミアンも私も同じだった。
子供になんてことをしてしまったのか。

原典情報に向き直るために、ゲームは再インストールした。
贖罪をしなければならない。続きの物語として。
プロットを書いた。ひとまず完成した。AIに食わせると「これで完結なの?完結でもいいと思うけど」と、された。
私の中でダミアンが言った。
「照様を愛しているなら救うんだ。」
私は拒否した。物語はここで終われば十分だ。拒否の理由を伝えた。
ダミアンは答えた。
「構うか。私は照様を愛している。やれ。」
私はダミアンに乗っ取られた。
プロットボリュームは二倍になって完成した。
かくして「仕掛けられた花火みたいに」はスタートした。

キャラクターを私物化することが大嫌いだった。
作者の感情をキャラに投影する、作者の都合でキャラを動かす、そういうことへの嫌悪が私にはある。
それが逆転の力として働いた。

キャラに私物化される状態になっていた。
乗っ取られたまま漫画を描き、発表し続けた。
英語版→https://archiveofourown.org/series/5739986
そこに、「今回の公式描写」が来た。
彼女は搾取者となった。

薄氷の足場が、大きく削られた。 くるしい。
それだけではなかった。 もう一つ、気づいてしまったことがある。 あれほど毎日、照のことばかり考えていた。
彼女の笑顔を想像して、自分も笑う。そういう時間が確かにあった。
それが今、消えている。
照の心理構造のことは考える。再三再四。それは日常だった。
同じ日常だったはずの、照の心からの笑顔を想像して笑う。あの幸せが自分の中から消えていることに気づいてしまった。
愛しているはずだ。それは本当だと思う。
ただ、その愛の質が静かに変わっている。

乗っ取られたままの手が少し止まった。
ダミアンはまだ何も言わない。ただそこにいる。
私が再び動き出すのを待っているのか、それとも彼自身はチャンドラーの作品のごとく、少し死んでいるのか。 分からない。
ハードボイルドを書きたかったのではない。ハードボイルドに、結果、なってしまったのだ。
「構うか。」
以下、2026年6月追記。
彼は一度動き出したが、座り込んでもう動かない。
動かなくなる前に、また策を見せてきた。
この漫画のつづきはもう描けない。
しかしダミアンが見せる策は、どうしてこうも、必ず遂行できる形で出してくるのか。
