薬物依存症当事者の家族になった話⑤
依存症と言うと、有名なところでは、アルコール・薬物なのでしょうか。
もし、これを読んでいる方で、ご家族のどなたかが依存症かもしれない、と思っているとしたら、直ちに各都道府県の「保健所・精神保健福祉センター」に躊躇せず、連絡をしてください。
私は、たまたま兄が精神科へ通院をしていたから救われたのですが、もし何も取っ掛かりが無いとしたら、、、あのまま統合失調症だと思い続けていたら、、、、判断を誤る事もあったと思います。
以下、当時の話の続きとなります。
幻覚に支配されている兄
母「ゆうこ!何してるの!早く帰りなさい!こんなところ見るんじゃない!」
と母に言われ、我に返る私。
父が力ずくで兄を制止している。
兄も外の土砂降りの雨に諦め、室内に入ってくるところでした。
母「必ずどうなったか報告するから。お願いだから帰って。あなたを巻き込みたくないの!」
と母が涙ながらに訴えてきます。
傍らには、見えない何かと会話している兄。
力ずくで制止した際に、ずぶ濡れになってしまった父。
高齢の両親に中年の兄。
その姿になんだか悲しくなり、私は帰ることにしました。
私「わかった。直ぐ電話するね。必ず報告してね…..」
次の日
急いで昨日の事を聞くため、朝早くに実家を訪れます。
母「昨日は本当にごめんね。でも、ああいう場所に居ちゃ駄目なのよ。あなただってそんなに強くないでしょう?」
こんなときでも無償の愛で子どもを守ろうとする母。
その後どうなったか話を聞きました。
もちろん、警察にストーカー被害届を出しているA子さんが実家に来る訳はありません。
だけど、「絶対にくる!」と言い張る兄は、その後夜中の1時まで待ったそうです。
父と母は色んな意味で疲労困憊。
その頃には二人とも、心身ともに限界を迎えていたようです。
さすがに12時を過ぎた辺りから、
「やっぱり今日は来ないかもしれないって。寝てていいよ!二人とも、夜中にごめんね♪」
と明るく言い出し、兄も自室に引き上げたそうです。
もちろん、そんな最中に父も母も眠れる訳もなく、不気味な気持ちで朝を迎えた、とのこと。
兄はまだこの時間は自室で寝ていました。
悪夢はまだ続く
昼過ぎに起きた兄は、昨日の出来事をすべて忘れているような態度でした。
A子さんのことも、A子さんが来ると騒いだ事も、なにもかも無かったかのように平然と過ごしている兄。
この時点で尋常ではありません。
そして同日夕方。
家に居る私に母から電話が入ります。
母「今、兄から話があるって呼ばれてね…」
続きを聞くと、兄がこう言ったそうです。
「A子さんは《好き避け》をしている。《好き避け》って分かる?好きなのに避けちゃうことだよ。だから俺の事が凄く好きなのに素直になれないの。色々あって素直になれなかった挙げ句、俺の事を避けて警察に連絡しちゃったんだって。なんかおかしいよね。可愛いなあ。アハハ」
「兄が狂っちゃったよ」と、泣きながら話す母を見て私は「これはもう駄目だ」と思いました。
このままでは兄の前に、私たちの生活が奪われてしまう。
いや、私たちが壊れるのが先かもしれない。
こういう時は、私たちが壊れるのをまず防がなければならないのではないか….
どうする、どうすればいい。
私はこの時、一つの覚悟を決めました。
その日の夕方。
また母から電話が入ります。
母「兄がどうしてもゆうこと話したいって。言う事を聞かないの。どうしてもゆう子を部屋に呼べって」
私も覚悟をして、兄の部屋に向かいます。
~つづく~
