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じしんなき地震予知

今朝8時の空に、お日様が顔を見せ始めた。
9時には台風一過の様相となり、状況的に「清水いはらマルシェ」は開催可能だったことになる。あくまで結果論だ。

中止を決めたのは木曜日の午前。台風はその時点で、日曜日の朝に静岡を直撃する予報となっていた。ただし日ごと予想は裏切られ、台風の進路も時期も、まったく見当がつかない状態にある。

決定打となったのは、出店者からのキャンセルが相次いだためだ。
花市場の屋内を提供頂いているため、大半の出店者は影響を受けない。
キッチンカーと、焼きモノで煙感知器に反応してしまう出店者は屋外となり、こちらの方々かたがたから今回は見送りたいと希望があった。

食材を仕入れる都合から、金曜までに態度を明確にしてほしいという連絡も数件うけている。こちらも木曜日の段階で先行きが見通せず、出店者の大幅減は来場客に対してサービス低下にもつながり、今回は中止しようと結論を下した。

出店者・および関係者には、メールで通知する。来場客に向けては、ホームページ・Instagram・Facebookを通じてお知らせした。
そうはいっても、チラシに掲載したQRコードやSNSから情報にたどり着ける人ばかりと限らず、昨日(土曜日)は電話での問い合わせも頂く。
それだけ開催を楽しみにしてくれている人の存在を思えば、ありがたくもあり、申し訳なくも思う。

我々はその程度の事で済んだが、夏休み最後の10号台風、それ以前にお盆を直撃した「南海トラフ地震臨時情報・巨大地震注意」が、該当する地域のサービス業(ことに観光業・宿泊業)に及ぼした被害は計り知れない。

とくに南海トラフ地震「騒動」に関しては、初めて「南海トラフ」と名のつく地震が発表され、夏休み、お盆休みの真っただ中の観光産業に大きな影響を及ぼした。

広範な地域で旅館・ホテルの宿泊キャンセル、イベントの中止・延期などが発生する。発表から1週間後の15日に注意の呼び掛けは終了したが、書き入れ時の損失が戻ってくることはない。
臨時情報の発表に際して観光・旅行をはじめ、社会経済活動への影響をいかに抑制するか、損失をいかに補うのか、そういった視点が皆無に等しかったのは、大変な問題だろう。

南海トラフ地震臨時情報(以下、「臨時情報」)は、南海トラフ全域を対象に地震発生の可能性の高まりについてお知らせするもので、想定震源域内で大規模地震や地殻変動など異常な現象が観測された場合に、気象庁より発表されます。例えば、南海トラフ沿いの東側で地震が発生し、西側でも地震が続発する(後発地震)可能性が高まった場合などです。
 臨時情報が発表された際は、後発地震に備え、国や府・市町村などからの情報に注意し、家具の固定、家族の安否確認手段の確認、非常用持ち出し袋の準備等日頃からの地震の備えを再確認する防災対応をとりましょう。

京都府ホームページより

大事なポイントは今回の情報が地震予知ではなく、「地震発生の可能性の高まりについてお知らせするもの」だった点だ。
この表現だけでは、可能性10だったものが90に跳ね上がったのか、50だった可能性が55になったのかが、まるでわからない。だいたい数値化したとしても、その根拠の妥当性を誰が客観的に評価しているのか。

ひょっとして勘だけでいってやしないか?と疑いたくもなるのは、過去の地震発生確率が現実の発生と、まるで一致してこなかった歴史があるためだ。

「恣意的な高確率」が生んだひずみ 高い場所に予算集中、低い場所で生じた油断
2022年10月23日 06時00分 TOKYO Web

「地震が起きるメカニズムは非常に複雑で、現在の科学で予知ができないのは地震学の世界的なコンセンサス。それなのに検証されていない計算式を使い、今後30年間で70%程度の確率で地震が起きるなどというハザードマップを作っている。これはもはや予言の類です」(ロバート・ゲラー【元・東大名誉教授、地震学】)

ではなぜ、いまだに多くの研究者が「地震予知」に携わっているのでしょうか。それは「地震予知」が研究予算獲得に非常に効果的なスローガンだからです。地震は怖いものです。その予知が正確にできるのであれば、誰でも(むろん私を含めて)その実現を希望するでしょう。【中略】
もし阪神・淡路大震災の後、日本の地震対策が予知から防災強化へと方針転換していたならば、東日本大震災の犠牲者数、物的被害額が減らせたのではないかと思い、大変残念に思います。
今後日本は、地道な地震学の基礎研究とその応用をもっと強化しなくてはいけません。そして、地震被害の軽減のためには、地震予知の観測機材に大金を費やすのではなく、耐震強化対策や全自動地震早期検知、津波警報システムの設置にこそ力を入れていくべきです。

今こそ問い直すべき「地震予知」偏重主義 平成24年5月発行 NLだより ロバート・ゲラー   

今回初めて予想地域に該当したために(そりゃいつかはそうなるわな)、地震予知に関わる予算は、さらに積み上がる可能性もある。
しかし、当たったためしのない地震予知が経済活動を委縮させ、国力を減衰させる結果しか生まないのなら、これまで通りの国費を注入する意味が、どこにあるというのか。

あおりにあおるマスコミを含め、誰も多大な損害を受けた業界に責任をとる者はいない。
「何にもなかったんだから、良かったじゃないか」は詭弁きべんに過ぎず、「何にもなかったのにお前ら騒いで生じた損害、どうしてくれるねん」こそ、当事者の本音だろう。

イラスト Atelier hanami@はなのす